薬事・食品衛生審議会における「審議参加に関する遵守事項」の運用上の課題に関する研究

文献情報

文献番号
200838080A
報告書区分
総括
研究課題名
薬事・食品衛生審議会における「審議参加に関する遵守事項」の運用上の課題に関する研究
課題番号
H20-医療・指定-032
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 隆一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 齋藤 充生(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
製薬企業からの奨学寄附金等の活用と審議会委員としての活動に関して、利益相反が指摘されている。本研究では、審議会委員の現状や組織に対する利益相反を加味した審議会委員の現状や組織に対する利益相反を加味した審議会の参加に関する基準の早急な改訂に資することを目的として、国公立・私立大学の医学及び薬学部の一部、それに所属する教授の一部、及び薬事・食品衛生審議会委員を対象に奨学寄附金等に関するアンケート調査と欧米での最近の状況についての調査を実施した。
研究方法
医学部及び薬学部それぞれの約1/3、当該学部に所属する教授5名及び審議会委員に対してアンケート調査を実施し、組織に対する利益相反とその考え方等について調査・解析した。海外当局への照会、website検索、現地調査等により、審議会委員の利益相反の取り扱いの最新情報について調査した。
結果と考察
学部調査では、殆どの大学で奨学寄附金に関する規程があり、機関経理がされているものの、全てが明文化されてはいないことが判明した。情報公開については、あまり学外に公表されておらず、情報公開請求があっても全く公表していない学部もあるなど公開は十分ではないと考えられた。教授調査では、講座内関係者の寄附金等は良く把握しているが、それ以外はあまり把握していないこと、奨学寄附金等の受領に関連してバイアスを感じるとの回答は、低いが存在することが判明した。審議会委員調査では、現在の奨学寄附金等に関する申告様式について、概ねこれで良いか、やむを得ないという意見が多く、受け入れられていると考えられた。海外調査について、欧米とも寄附金等に関する統計データはなかった。欧州は2009年にガイダンス改訂予定とのことであった。米国では、FDA改革法施行に合わせて2008年にガイダンスが改訂されたが、組織に対する利益相反の金額水準については規定されておらず、今後の動きが注目される。
結論
アンケート調査からは、組織に対する利益相反については、同一講座外への影響は少ないと考えられ、米国でも明確に規定されていなかった。現時点では企業から研究者への研究費の受領についてあまり公開されていないと考えられ、今後は研究費のより透明化が進み、研究費の受領に関して国民に受け入れられることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-04-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-26
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200838080C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大学における奨学寄付金等の管理の実態、組織における利益相反利益に対する考え方等を把握することが出来、また、審議会委員の利益相反申告フォーマットに対する考え方、海外の利益相反に関する最新の動向についての調査と合わせて、製薬企業からの奨学寄付金等に関する薬事食品衛生審議会「薬事分科会審議参加規程」の作成に協力出来た。これらは社会的信頼性を維持し、適正な研究環境を整備するために必要な研究であった。
臨床的観点からの成果
医薬品の治験や市販後安全対策に関わる研究は主として医科大学病院で行われており、そのためには関連する医薬品の製薬会社からの研究費が必須である。こうした現状を踏まえ、個人と組織に対する利益相反等の実態を反映した奨学寄附金等に関するガイドライン等が社会的信頼性を維持し、適正な研究環境を整備するために必要である。
ガイドライン等の開発
調査研究結果の一部が、第3回(平成20年10月15日)及び第4回(平成20年11月7日)審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会で参考にされた。
その他行政的観点からの成果
調査研究結果の一部が、第3回(平成20年10月15日)及び第4回(平成20年11月7日)審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会において、薬事食品衛生審議会「薬事分科会審議参加規定」の作成の基礎資料として使用された。
その他のインパクト
研究成果が分かるホームページを作成
http://www.nihs.go.jp/mss/kouseikagaku11.html

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
第3回(平成20年10月15日)及び第4回(平成20年11月7日)審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会において、薬事食品衛生審議会「薬事分科会審議参加規定」の作成の基礎資料として使用。
その他成果(普及・啓発活動)
2件
審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会で「薬事分科会審議参加規定」作成資料として使用。HP作成。http://www.nihs.go.jp/mss/kouseikagaku11.html

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
齋藤充生,長谷川隆一
製薬企業からの研究資金提供の実態に関する調査研究:医学部・薬学部、これらの学部所属教授、製薬企業に対するアンケートの解析
国立医薬品食品衛生研究所報告 , 126 , 120-126  (2008)
原著論文2
齋藤充生,林讓,長谷川隆一
欧米における利益相反の取り扱いに関する調査及び日本における産学連携活動に対する医師及び薬剤師の意識調査に関する研究
国立医薬品食品衛生研究所報告 , 126 , 111-119  (2008)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-