墜落・転落防止のための新たな機材の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200836008A
報告書区分
総括
研究課題名
墜落・転落防止のための新たな機材の開発に関する研究
課題番号
H20-労働・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
大幢 勝利(独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部)
研究分担者(所属機関)
  • 豊澤 康男(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
  • 高梨 成次(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
  • 日野 泰道(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
  • 高橋 弘樹(独立行政法人労働安全衛生総合研究所 建設安全研究グループ )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 建設業では墜落災害による死亡者数が最も多いため、その対策として、足場先行工法や手すり先行工法のガイドライン制定など順次強化され、死亡災害が減少するなど一定の効果が表れている。しかし、その発生割合は依然として大きなものとなっている。そこで、本研究では、このような墜落災害を減少させるため、安全でかつ普及しやすい墜落・転落防止のための新たな機材の開発を目指す。
研究方法
 本研究では、安全でかつ普及しやすい墜落・転落防止のための新たな機材の開発を目的とするが、そのために次の研究を行った。
1.イギリス、ドイツ、フランスの欧州3ヶ国における、墜落防止措置に関する規制状況を文献等により調査した。また、実際の墜落防止措置の導入状況に関し現地調査を行い、その規制状況と実際の導入状況を比較した。
2.手すり先行工法などの工法を使用することにより、従来工法に比べて安全性が向上するのか、使用しづらい点は何か、等に着目して、実際の作業者に意見聴取を実施した。
3.従来から課題とされているメッシュシートを用いた墜落防止の補助効果について、人体ダミー等を用いた実験により検討し、従来の方法との墜落危険性を比較した。
結果と考察
1.欧州では墜落防止措置として2段手すりが義務付けされており実施率も非常に高いことがわかった。この結果、欧州の基準や導入状況は、2009年6月に施行される労働安全衛生規則と同等なものであることが明らかとなった。
2.意見聴取した作業者のほとんどが、手すり先行工法を使用することによって、墜落落下防止等の安全性が向上すると判断したが、作業性を考慮すると半数以上が使用したくないという意見であった。以上の結果、まずは作業者に使っていただくことを考えた改良が、手すり先行工法など新しい機材の普及に有益であることが明らかとなった。
3.メッシュシートを用いた墜落防止の補助効果を高めるため、次の2つの方法を提案した。
 1)メッシュシートと作業床のすき間を低減する方法
 2)メッシュシートと作業床のすき間を完全に塞ぐ方法
 その結果、2つの方法とも従来の方法に比べ、墜落危険性を大幅に低減できる可能性があることがわかった。
結論
 これらの研究成果に基づき、来年度以降においては、諸外国の規制状況やすでに開発された工法の評価を通じ、安全性と普及しやすさの両方の向上を目指し、提案した墜落防止機材などにさらなる改良を加えていく予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-23
更新日
-