保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究

文献情報

文献番号
202110004A
報告書区分
総括
研究課題名
保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究
課題番号
21FB1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
荒田 尚子(国立研究開発法人 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター母性内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 精一郎(国立研究開発法人国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 山上 須賀(国立がん研究センター がん対策情報センター)
  • 武藤 香織(国立大学法人東京大学 医科学研究所)
  • 高松 潔(東京歯科大学 歯学部)
  • 片井 みゆき(東京女子医科大学 医学部 総合診療科・女性科)
  • 立花 良之(国立研究開発法人国立成育医療研究センター こころの診療部乳幼児メンタルヘルス診療科)
  • 西岡 笑子(防衛医科大学校 医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究)
  • 高橋 幸子(埼玉医科大学 医療人育成支援センター地域医学推進センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 女性の健康の包括的支援政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
14,620,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、①生涯にわたる女性の健康支援のための情報提供・教育体制・相談体制構築に関する基礎資料作成、➁ユネスコ国際セクシュアリティガイダンス(以下「ガイダンス」)に基づく包括的性教育プログラムの作成、③社会決定要因などの把握に基づく女性の健康支援、の3つの観点から、研究を行い、アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常において、女性自身が各ライフステージで直面する様々な健康リスクの回避や対処が行えるように保健・医療・教育期間・産業等の場で適切な教育や支援を提供するシステムの礎を作ることを最終目的としている。
研究方法
①に関して、国民健康栄養調査、国民生活基礎調査、各都道府県調査などの公開データを用いて、地域、男女、年代別の女性の健康の現状を示す基礎データを作成し女性の健康の見える化を行い、問題点をあきらかにした。
➁に関して、「ガイダンス」は先進国から発展途上国まで幅広くカバーするために、日本の現状にそぐわない部分も多々あるため、日本の性教育にガイダンスを反映する際には慎重な検討が必要であり、多くの意見を反映したものとする必要がある。本研究では、ガイダンスに基づいた包括的性教育 レベル2(9-12歳)、レベル3(12-15歳)、レベル4(15-18歳)の教材案および指導案作成を行うと同時に、子どもの性教育に携わっている養護教諭、学校教員、医療職(小児科医、産婦人科医、泌尿器科医)および保護者に個別インタビュー調査を行い、性教育の現状を明らかにし、日本の背景を考慮したガイダンスに基づいた包括的性教育の教材および指導案開発を行った。
③に関しては、新型コロナウイルス感染拡大前後の心身の健康状態の悪化傾向を包括的に把握し、悪化傾向がみられる本人・家族の属性(家族構成、就労状況、経済状況)や、新型コロナウイルス感染症拡大による生活・就労面での変化を1万人規模の全国インターネット調査により把握し、健康面での支援が必要な属性の詳細を明らかにすることを目的として今年度2022年3月に調査が実施された。
結果と考察
①に関して、男女における20代、30代のデータは不足しており、地域別、特に都道府県別データは分母が小さく信頼のおけるものとはいえないが、明らかな男女差とともに、地域差がみられた。特に、20代、30代の女性のやせと肥満、喫煙、飲酒はプレコンセプションケアの視点からも重要な指標と考えられる。さらに、大学での健康支援・保健管理における「性差の視点」導入についての実状調査を行い、多くの記述的は解答が得られ、次年度にこの解析が行われ、実態が明らかになるであろう。さらに、前班で作成された女性の健康教育と包括的な保健・医療・教育機関・産業等の各支援者養成のためのテキストブック、支援者用動画、実際の支援の際に使用するリーフレットやパンフレットなどのコンテンツを収納した、プラットフォームとなるウェブサイト「まるっと!女性の健康教育プログラム」の試作版を基に、改訂、改良を行い、再構築しオープンに至り、本プログラムを次年度以降に実証し、さらに改良する予定である。
➁に関して、関係者への個別インタビュー調査を行い、性教育の現状を明らかにし、ガイダンスに基づいた包括的性教育を日本の社会的背景、文化等を考慮した教材および指導案開発を行った。
③に関して、粗解析として、主にコロナによる変化について集計を行い、女性について、コロナ前後で20%以上の者に変化があった項目は、月額の手取り給料の減少(24%)、貯蓄額の減少(25%)、在宅時間の増加(35%)、他者との会話量の減少(28%)、運動量の減少(31%)、座っている時間の増加(25%)、親と過ごす時間の減少(21%)、子どもと過ごす時間の増加(29%)、配偶者と過ごす時間の増加(32%)、家事をする時間の増加(33%)、自炊するの増加(33%)、外出頻度の減少(60%)などであった。健康状態については、コロナ後に体の健康状態が悪くなったと答えた者は23%、心の健康状態が悪くなったと答えた者は35%であった。上記ほど多くはないが、反対側の変化があった者もある程度いることがわかった。さらに、感染拡大を受け、仕事や生活の中で良くなったなと感じることについて、もっともよくなったと答えた割合が多かった項目は、健康に対する意識が高まった(27%)、次に生活を見直すきっかけになった(19%)、人生や将来を見直すきっかけになった(15%)、出費が減った(15%)であった。特にないと答えた者は40%であった。
結論
アフタコロナ・ウイズコロナの新しい日常を明らかにし、その日常での女性の健康の包括的支援を行うための、女性の健康課題理解・解決のための基礎資料を作成した。

公開日・更新日

公開日
2023-07-10
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-10
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202110004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,000,000円
(2)補助金確定額
16,836,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,164,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,427,028円
人件費・謝金 4,535,404円
旅費 7,009円
その他 6,487,475円
間接経費 4,380,000円
合計 16,836,916円

備考

備考
自己資金916円

公開日・更新日

公開日
2022-11-02
更新日
-