男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究

文献情報

文献番号
200830042A
報告書区分
総括
研究課題名
男性同性間のHIV感染対策とその介入効果に関する研究
課題番号
H20-エイズ・一般-008
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
市川 誠一(名古屋市立大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 俊広(独立行政法人国立病院機構仙台医療センター)
  • 佐藤 未光(ひかりクリニック)
  • 内海 眞(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 鬼塚 哲郎(京都産業大学 分化学部)
  • 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 健山 正男(国立大学法人琉球大学大学院医学研究科感染病態制御学講座分子病態感染症学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
49,040,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
男性同性間の性的接触(以下、MSM)におけるHIV感染対策として、1)仙台、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄地域でゲイCBOによるコミュニティベースの啓発普及促進、2)自治体におけるMSM対象のエイズ施策構築、3)MSMの社会的・性的ネットワークの調査解析と啓発介入の評価、4)啓発プログラムや人材育成のマニュアル作成による啓発活動の継続化、他地域への施策モデルの提示、を行う。
研究方法
1.各地域での男性同性間のHIV感染予防介入研究(括弧内は分担と協力CBO)
東北(伊藤俊広、やろっこ)、東京(佐藤未光、Rainbow Ring)、名古屋(内海眞、ALN)、大阪(鬼塚哲郎、MASH大阪)、福岡(山本政弘、LAF)、沖縄(健山正男、NANKR) の地域で、ゲイCBOと協働しMSMへの啓発普及をコミュニティベースで行う。
2.行動学的・社会学的ネットワーク調査
地域の啓発効果を質問紙調査等により評価し、結果をCBOやコミュニティに還元しつつ、効果的なHIV感染対策を検討する。
結果と考察
各地域のCBOによる啓発活動は商業施設等の協力を得て継続された。MSMへの啓発活動が目に見える状況を作り出す「コミュニティセンター事業」は有効であり積極的な事業展開が望まれる。
HIV感染予防介入のプロセスやプログラム等の効果を評価する調査(クラブイベント参加者調査、バー顧客調査、MSM人口調査、携帯電話によるRDS調査、エイズ拠点病院受療者対象の調査)を検討し、一部を実施した。大阪ではクラブイベント参加者調査(856件)において「distaに行った」25.2%、「情報誌SAL+の購読」36.8%と啓発普及の進展が示された。福岡では初めてのバー顧客質問紙調査(412件)により「CBO配布コンドーム認知率」76.1%、「使ったことがある」42.0%とアウトリーチの効果が示唆された。名古屋ではMSM対象啓発イベントNLGRと同時開催の無料HIV抗体検査会(HIV陽性率1.8%)に比べ、12月実施のM検(同5.4%)は保健所やNLGRの検査に行きにくい層を取り込んでいた。沖縄ではMSM対象のHIV検査が実施され、無料STD検査やプライバシー保護が検査環境条件の上位にあることを示した。HIV検査は受検者の求める環境が多様であることを念頭におき、検査を必要としている層に届く方法で広報することが大切である。
結論
コミュニティベースの啓発普及はコミュニティセンターを軸に継続され、各地域で初年度計画をほぼ進行した。大阪、名古屋、福岡、仙台地域の調査で、検査行動の上昇や啓発効果を示す結果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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