個別施策層に対するHIV感染予防対策とその介入効果の評価に関する研究

文献情報

文献番号
200830028A
報告書区分
総括
研究課題名
個別施策層に対するHIV感染予防対策とその介入効果の評価に関する研究
課題番号
H19-エイズ・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
仲尾 唯治(山梨学院大学 経営情報学部)
研究分担者(所属機関)
  • 沢田 貴志(神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所)
  • 樽井 正義(慶應義塾大学 文学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
在日外国人定住者に対するHIV感染予防と医療支援の促進に関する効果的な介入方法の策定
研究方法
1. 在日外国人HIV陽性者に対する医療環境の整備 a.研修会の開催 b.医療従事者調査 c.医療機関調査 d.成功事例カンファレンスの開催 2. 外国人支援・互助NGO会合の開催 3.外国人コミュニティへの受検・受診・予防啓発の促進 a.アフリカ系民族 b.タイ人c.ラテンアメリカ系民族 4. 出身国の医療事情の収集と提供 5. 外国人対応クリニックのモデルづくり
結果と考察
①研修会を通して外国人対応についてのスキルをインプットすることにより、徐々に医療従事者の意識や態度に改善の変化が見られはじめた。②NGO会合において、NGOが介在することによる成功事例の蓄積がなされており、これらを通したモデル化の可能性が確認された。③外国人コミュニティへの予防啓発活動やフォーカス・グループを通して、改めてHIV/AIDSに対するスティグマ軽減の必要性が確認された。④安心して受診できる「外国人対応クリニック」を増やし運営していくことが、結果として受検者数を増やすことに繋がるという示唆が得られた。在日外国人が受療する際の阻害要因となっている医療費や言語対応の問題、さらには入国管理事務所による検挙体制の面等での改善が図られる必要がある。これらのことは、医療環境の整備と同様に容易ではない、もうひとつの社会的障壁であり、予防啓発の場合にも妥当する。
結論
わが国におけるHIV/AIDSの累積患者・感染者数のほぼ1/4が外国人となっている。これらの外国人HIV陽性者の特徴として①重症化してからの受診が多い②受診中断率が高い③死亡率が高い④特定エリア出身者である、という点をあげることができる。このことは当事者である外国人HIV陽性者の健康障害の問題に終わらない。なぜなら、その帰結として、わが国の医療システムに対する未払い医療費の増加や診療体制への負荷などの問題を惹起するからだ。そしてこれらが負のスパイラルを形成する。この状況に対応するための方策として、さらなる在日外国人HIV陽性者の医療環境の整備と、外国人コミュニティへの予防啓発の促進が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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