文献情報
文献番号
200829009A
報告書区分
総括
研究課題名
ハンセン病の啓発と難治症例に対する予防・診断・治療に関する研究
課題番号
H18-新興・一般-010
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
向井 徹(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・病原微生物部)
研究分担者(所属機関)
- 松岡正典(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・生体防御部)
- 牧野正彦(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・病原微生物部)
- 石井則久(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・生体防御部)
- 前田百美(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・病原微生物部)
- 福富康夫(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・病原微生物部)
- 寺尾恵治(医薬基盤研霊長類医科学研究センター)
- 儀同政一(国立感染症研究所 ハンセン病研究センター・生体防御部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
40,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ハンセン病は、世界的にWHOの推進するMDT療法により登録患者数は減少した。しかし、新規ハンセン病患者数は未だ減少傾向を示さず、薬剤耐性菌・再発を繰返す難治性ハンセン病が新たな問題として浮上している。そのため、ハンセン病の包括的対策のため1.ハンセン病の分子疫学、2.難治性ハンセン病治療薬の開発、3.ワクチンおよび難治性ハンセン病に対する免疫療法開発、4.ハンセン病診療のネットワーク構築および啓発・普及を目的とした。
研究方法
1.世界規模でのハンセン病伝播経路解明のため、メキシコ国内のらい菌型別調査を行った。2.新規抗らい菌薬開発のため、新規ニューキノロン系薬剤DC-159aおよびリファブチンRFBのヌードマウス足蹠法による抗らい菌活性を検討した。3.らい菌蛋白であるMMP IIのHsp70融合型および分泌型を発現するurease遺伝子破壊BCG株の各種免疫誘導能の検討を行った。また、らい菌接種幼若サルの経過観察を行った。4.ハンセン病診療に欠けている要素を抽出し、それを補う資料・情報の提供を行った。皮膚科医を中心にハンセン病に関する講習会を開催し、各種パンフレットを作成・配布を行った。
結果と考察
1.メキシコ東部および南部分離株は、西部分離株と異なる遺伝子型であった。これらの菌分布はモンゴロイド移動によるハンセン病の伝播を示唆した。2.DC-159aおよびRFBの抗らい菌活性は10mg/kgであった。両薬剤に既存薬より強い抗らい菌活性を認めた。3.今回作製された改変BCGは、現行のBCGより強くT細胞を活性化した。菌接種サルのうち1頭は、低レベルながらも菌蛋白に対する免疫応答を持続した。4.ハンセン病の知識向上・理解が増加してきた。回復者の一般医療機関受診への努力は必要であった。2007年は日本で7名の新規患者がいた。
結論
1.世界的伝播経路の解明は、感染地の同定に有益。2.新規薬剤は、患者負担軽減に大きく寄与。3.改良型BCGおよびらい菌感染モデルサルは、ワクチンや免疫療法の開発に繋がる。4.医療関係者に対する継続的な教育と、回復者に対する一般医療機関への受診の促し、鑑別診断にハンセン病を入れる必要があった。
公開日・更新日
公開日
2010-01-12
更新日
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