超急性期脳梗塞患者の救急搬送及び急性期病院受け入れ体制に関する実態調査研究

文献情報

文献番号
200825042A
報告書区分
総括
研究課題名
超急性期脳梗塞患者の救急搬送及び急性期病院受け入れ体制に関する実態調査研究
課題番号
H19-心筋・一般-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木村 和美(川崎医科大学 脳卒中医学)
研究分担者(所属機関)
  • 有賀 徹(昭和大学 救急医学講座)
  • 岡村 智教(国立循環器センター 予防検診部)
  • 宮松 直美(滋賀医科大学 臨床看護学講座)
  • 鈴木 幸一郎(川崎医科大学 救急医学)
  • 井口 保之(川崎医科大学 脳卒中医学 )
  • 芝崎 謙作(川崎医科大学 脳卒中医学 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
18,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
t-PAを使用した経静脈的血栓溶解療法により、急性期脳卒中の発症早期における治療が進歩し、脳卒中患者の予後の改善が可能となった。この治療法が広く実施されるためには、医療施設側の体制だけでなく、一般市民の脳卒中に対する認識、発症から治療開始までの時間的制約など、多くの要素が関わっている。本研究は一般市民、救急隊、医療施設を対象に質問紙調査を行うことにより、治療の現状を分析し、発症から治療開始までの円滑なシステムの構築と効果的な市民啓発方法について明らかにし、関係諸機関に提言することを目的としている。
研究方法
①H18年7月-H20年4月まで啓発活動(新聞広告、ちらし/小冊子の配布、ポスター掲示・市民講座等)を実施し、5-6月に啓発活動後の脳卒中に関する知識調査(二次調査)を実施した。②H20年9-11月に全国807消防本部を対象に「脳卒中の救急搬送システム及び病院前脳卒中スケール使用状況等に関する調査」を実施した。③超急性期脳梗塞患者の受け入れ体制に変化が見られるかを全国の病院に対して調査し、前年と比較した。④テレビ機能付き携帯電話を用いた遠隔診療(stroke mobile telemedicine; SMT)の急性期脳卒中患者受け入れ体制改善に対する可能性を検証した。
結果と考察
①アンケート結果解析から「脳卒中の症状理解」は新聞広告を用いて強力に介入すると理解が高まることが明らかになった。②調査から病院院前脳卒中スケール使用を取り決めている消防本部は少なく、脳卒中救急搬送に関するいずれの項目も管轄内人口規模が小さいほど実施割合が低く、管区内人口規模を勘案した検討が必要と考える。
③t-PA療法を実施可能な医療施設が前年と比較すると減少し、急性期脳卒中患者の受け入れ体制の整備が急務であることが明らかとなった。④SMTの導入で、発症早期から適切な治療が受療可能となり、急性期脳卒中患者の受け入れ体制が整備される可能性が高くなることが示唆された。
結論
今回の研究結果から、脳卒中に関する知識啓発活動の有用性、搬送システムや医療提供側の整備充実が必要であることが明らかになった。脳卒中患者は増加の一途をたどり、患者本人や家族の負担だけでなく、自治体の医療費の負担も社会問題となりつつある。限られた医療資源を有効に利用しながら、日本中に「急性期脳卒中患者への対応」が可能な医療体制を構築することが急務である。

公開日・更新日

公開日
2009-03-26
更新日
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