日本人の食事摂取基準を改定するためのエビデンスの構築に関する研究-微量栄養素と多量栄養素摂取量のバランスの解明

文献情報

文献番号
200825022A
報告書区分
総括
研究課題名
日本人の食事摂取基準を改定するためのエビデンスの構築に関する研究-微量栄養素と多量栄養素摂取量のバランスの解明
課題番号
H19-循環器等(生習)・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
柴田 克己(公立大学法人 滋賀県立大学 人間文化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡野 登志夫(神戸薬科大学 薬学部)
  • 吉田 宗弘(関西大学 化学生命工学部)
  • 佐々木 敏(国立大学法人 東京大学大学院医学系研究科)
  • 由田 克士(国立健康・栄養研究所 )
  • 森田 明美(国立健康・栄養研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
31,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
五年ごとに改定が予定されている「日本人の食事摂取基準」の精度向上,①エビデンスの乏しい栄養素の資料を,実験を通じて得ること,②摂取した栄養素の妥当性,つまり,摂取した栄養素をどの程度ヒトが利用できたかを評価する実用的な方法の創出,③生活習慣病の一次予防のためのエビデンス,つまり,多量栄養素の代謝潤滑油となる微量栄養素の多量栄養素当たりの必要量に関する科学的根拠を得る,ことである.
研究方法
食事調査,血液・尿・母乳中の栄養素ならびに関連物質を分析する.
結果と考察
1.乳児の微量栄養素必要量の検討:ビタミンDとB6に関しては差異が認められた原因を特定できた.B12は未だ不明.
2.微量栄養素の栄養評価の生体指標の創出と評価:小学生,大学生および高齢者の24時間尿を分析して,ビタミンの栄養評価を試みた.尿を用いるミネラル栄養の評価を開始した.
3.70歳以上の微量栄養素の必要量の検討:現在の食事摂取基準の考え方を肯定するものであった.
4.エビデンスのある成人(18歳~69歳)からエビデンスのない高齢者(70歳以上)への微量栄養素の外挿法の検討: 施設入居高齢者のビタミン摂取量と血液中の含量との関係を調べ,若年成人と比較検討した.
5.妊婦の微量栄養素必要量の算定方法の統一化:妊婦の栄養素摂取量と尿中の栄養素排泄量との関係を調査中である.
6.授乳婦の微量栄養素必要量の算定方法の統一化: {(哺乳量×栄養素濃度)÷相対生体利用率}で求めることにした.
7.代表的な1日の食事で摂取される微量栄養素の相対生体利用率の検討: 8種類のビタミンの相対生体利用率(遊離型ビタミンに対する食事性ビタミンの活性比率)を算出した.
8. 微量栄養素の必要量をエネルギーあるいは多量栄養素当たりで示す表示方法の検討: パントテン酸の必要量は脂質摂取量当たりで示した方が適切である.
9.有事における栄養素必要量の変動と回避に必要な栄養素量の検討: 先行実験として,絶食時,アルコール多飲時,エネルギー代謝亢進時の栄養素必要量をラットを用いて検討した.
10.微量栄養素の上限量に代わる指標の創出: 先行実験としてラットを使用して,異化代謝応答の変動を指標とした「異化代謝飽和値」を求めた.
結論
食事摂取基準の精度が向上し,国民が望む,寿命の限界まで若年成人の体力と美貌を維持できるための栄養素摂取量を提言することができた.

公開日・更新日

公開日
2009-05-13
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
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