成人がん患者と小児がん患者の家族に対する望ましい心理社会的支援のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
200824082A
報告書区分
総括
研究課題名
成人がん患者と小児がん患者の家族に対する望ましい心理社会的支援のあり方に関する研究
課題番号
H20-がん臨床・若手-023
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
平井 啓(大阪大学 コミュニケーションデザイン・センター/大学院医学系研究科生体機能補完医学講座/人間科学研究)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 壽記(大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座)
  • 森田 達也(聖隷三方原病院緩和支持治療科)
  • 宮下 光令(東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻 緩和ケア看護学分野)
  • 盛武 浩(宮崎大学医学部生殖発達医学講座 小児科学分野)
  • 尾形 明子(宮崎大学教育文化学部)
  • 太田 秀明(大阪大学大学院医学系研究科小児発達医学)
  • 天野 功二(聖隷三方原病院ホスピス科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,856,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上を目標とした相談支援や情報提供等のための実態把握を行い、望ましい心理社会的支援のあり方と指針を得て支援ツールを作成する。
研究方法
対象は、ホスピス・緩和ケアを利用している患者の家族や遺族、子供をもつ乳がん患者、治療終了後の小児がん患者の家族、そしてがん医療に従事する医療者や心理職者であった。研究内容は対象施設の倫理委員会に申請、承認され、対象者の参加同意を得たうえで面接調査および内容分析を行った。
結果と考察
がんの告知は、患者より家族に対して積極的におこなわれていた。また、患者への余命告知において家族が重要な役割を果たすこと、また家族自身と比較して患者への告知には消極的な傾向があることが明らかとなった。
がん患者における 積極的治療の中止においては、6割の遺族がアンビバレントな感情状態であることが明らかになった。最も多くの家族が感じていた大変さ・つらさは、自分自身の身体的・心理的・経済的負担であることが示されたが、最も多くの家族が望むケアは、患者への十分な気遣いや身体的ケアであることが示された。治癒が望めないと診断されて以降に困難と感じた課題としてもっとも多くの遺族から発言が得られたのは、「死別後の心理的苦痛」であった。医療者に期待される支援としては、特に死別後1年間のケアに対する要望が多かった。
母親が乳がんを罹患したことよる子供の変化が母親に与えるポジティブ・ネガティブな影響が観察された。
終末期の小児がん患児の家族が経験すると考えられる課題、困難を増大させるリスクファクターが見出され、期待される家族支援の内容は、「病状説明の工夫」「多職種での支援」「きょうだいのケア」「付き添いの負担軽減」「家族関係の悪化防止」「患者会等サポート源の提供」「家族との関係維持」であった。
医療現場でがん患者に携わっている心理職の問題点として『依頼経路が不明確』、『心理職の役割に関する他職種への情報発信』、『依頼の本質の理解』、『心理職の専門外の依頼への対処』、『家族に対する支援』があげられた。
現在も対象者のリクルートおよび内容分析が継続中である。
結論
がん患者の遺族や家族から、移行期の家族への意思決定支援として配布できるWebページやパンフレット、心理的支援プログラムなどの開発につながる詳細な資料が得られた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-