情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究

文献情報

文献番号
200823011A
報告書区分
総括
研究課題名
情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究
課題番号
H18-3次がん・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中田 善規(帝京大学 医療情報システム研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 国際教育研究所)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学)
  • 宮腰 重三郎(東京都老人医療センター)
  • 小松 恒彦(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 中村 利仁(北海道大学 医学部)
  • 田中 祐次(東京大学 医科学研究所)
  • 山口 拓洋(東京大学 医学部附属病院)
  • 湯地 晃一郎(東京大学 医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
17,640,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、インターネットを生かした国民・患者のリテラシー向上と患者の納得形成を推進することを目標とする。
研究方法
(1)がん手術患者のための麻酔教育用e-learningの使用
 「がん手術患者のための麻酔教育用e-learningツール」を入院がん患者、一般人、医師、法律関係者に示して、調査研究した。
(2)がん患者の情報開示に関する研究
 悪性リンパ腫患者・家族向け化学療法のシミュレーションを構築した。
(3)医師からの情報発信法に関する研究
 Googleを用いて、「がん 相談 患者」をキーワードに検索結果上位100のHPより、医師等による情報発信のサンプル収集を行った。
(4)さまざまな臨床現場での情報研究
 高齢者がん患者の情報研究、がん患者会との共同研究を臨床現場で検討した。
(5)産婦人科患者の情報研究
 福島県立大野病院事件の判決日以後の情報を収集し、比較検討を行った。
結果と考察
(1)がん手術患者のための麻酔教育用e-learningの使用実施
 e-learningを用いた場合、診察後の麻酔に関する知識は増加し、診察時間は短縮された。また手術麻酔以外の分野で適性が高い。本e-Learningは、医療訴訟の際に医師が説明責任の法的根拠として、一定の有効性があった。
(2)がん患者の情報開示に関する研究
 研究対象は悪性リンパ腫の患者・家族として、化学療法手順をPC上で再現するシミュレーション作成を行った。
(3)医師からの情報発信法に関する研究
 9がサンプルの条件に該当した。運営者は企業やNPOによるHPが3,医療機関が4,医療団体が1,医師個人が1あった。
(4)さまざまな臨床現場での情報研究
①医師の説明83.5%、医師の対応83.5%、および病院全体としての満足度91.8%であった。
②入院生活が長期に及ぶ血液患者が、トイレを重要視していることが明らかとなった。
(5)産婦人科患者の情報研究
 新聞記事では判決から控訴断念無罪確定まで、連日のように報道があったが、以後は記事として取り上げられていなかった。
結論
本研究では患者・国民の医療リテラシー向上について多面的な研究を行った。この研究により、患者とその家族に正確な情報の理解・共有がなされ、メディカル・リテラシーが向上すれば、「患者納得感」形成に大きく寄与する。
こうしたきめの細かい現場での取り組みで、医療に関する国民・患者リテラシーを向上させる一助とする。

公開日・更新日

公開日
2009-05-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200823011B
報告書区分
総合
研究課題名
情報工学等の連携による国民・患者のリテラシー向上に関する研究
課題番号
H18-3次がん・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中田 善規(帝京大学 医療情報システム研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 智博(帝京大学 国際教育研究所)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学)
  • 宮腰 重三郎(東京都健康長寿医療センター病院)
  • 小松 恒彦(帝京大学 ちば総合医療センター)
  • 中村 利仁(北海道大学 医学部)
  • 田中 祐次(東京大学 医科学研究所)
  • 山口 拓洋(東京大学 医学部附属病院)
  • 湯地 晃一郎(東京大学 医科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、情報工学等と連携して国民・患者のリテラシー向上と患者の納得形成を推進することを目標とする。
研究方法
 平成18年度は既存のがん関連ホームページを詳細に調査した。
 平成19年度は患者の求める情報をより分かりやすく提供するためにがん手術患者のための麻酔教育用e-learningの開発と血液がん患者のための教育シミュレーションの開発を中心に行った。
 平成20年度は(1)がん手術患者のための麻酔教育用e-learningの使用実施、(2)がん患者の情報開示に関する研究、(3)医師からの情報発信法に関する研究、(4)さまざまな臨床現場での情報研究、(5)産婦人科患者の情報研究の5分野から国民・患者のリテラシー向上に関する研究を多角的に行った。
結果と考察
 平成18年度はがん関連ホームページを詳細に調査した結果、次のようなことが判明した。すなわちがん関連ホームページの大半は単なる教科書的な文字の記述であって、本来ホームページが持つ視覚性(動画)・ナレーション(音声)・双方向性などの特性を生かした情報提供は皆無に近い状態であった。
 こうした点から、平成19年度は患者の求める情報をより分かりやすく提供するために、がん手術患者のための麻酔教育用e-learningの開発と血液がん患者のための教育シミュレーションの開発を行った。血液がん患者のための教育シミュレーションの開発では、血液がん患者が化学療法を受ける際にどのようなことが起こるのかを動画・ゲームなどを応用して分かりやすく説明するシミュレーションのプロトタイプを開発した。がん手術患者のための麻酔教育用e-learningの開発では、音声・動画を用いた説明アニメーションを作成し、そのつど患者の理解を確認する質問を行うようにした。その質問の回答に応じて、麻酔科医が実際の術前診察時に患者の知りたいことを中心に説明し、診察時間を有効に使えるようにした。
 平成20年度はがん手術患者のための麻酔教育用e-learningを帝京大学病院でがん関連手術患者に使用してもらって、その効果を分析した。また、一般人・法律家・医師にインターネット上で実際に開発したツールを使用してもらった上で、それぞれの立場からその利点・欠点などを分析してもらった。
結論
本研究では患者・国民の医療リテラシー向上について多面的な研究を行った。この研究により、患者とその家族に正確な情報の理解・共有がなされ、メディカル・リテラシーが向上すれば、「患者納得感」形成に大きく寄与する。
こうしたきめの細かい現場での取り組みで、医療に関する国民・患者リテラシーを向上させる一助とする。

公開日・更新日

公開日
2009-05-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200823011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国民・患者の医療リテラシー向上と患者の納得形成を目的とする本研究では、情報工学との連携によって医療の効率化・医療資源の有効配分が可能となることが証明できた。具体的にはインターネット情報の質の検証や患者向け麻酔説明e-learningの開発などの成果を挙げた。
臨床的観点からの成果
臨床的にはがん患者が情報源としてインターネットをどのように利用しているかを具体的に検証した。また患者向け麻酔説明e-learningでは入院がん患者対象に院内で利用して、その結果を成果として報告した。
ガイドライン等の開発
患者向け麻酔説明e-learningを開発した。患者での実用試験及びインターネット上での各専門家の評価を集計して報告した。
その他行政的観点からの成果
本研究結果より情報工学との連携による患者・国民の医療リテラシーを向上させることで、昨今問題の医師不足や医師の過重労働、また増加する医療訴訟への解決の糸口となることが示唆された。
その他のインパクト
専門学会や論文発表とともに、アエラ・産経新聞・日経BPなどで本研究の一部が紹介された。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
2件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Morita T, Narimatsu H, Matsumura T, et al
A study of cancer information for cancer patients on the internet.
Int J Clin Oncol , 12 , 440-447  (2007)
原著論文2
Narimatsu H, Matsumura T, Morita T, et al
Detailed Analysis of Visitors to Cancer-Related Web Sites.
J Clin Oncol , 26 , 4219-4223  (2008)

公開日・更新日

公開日
2015-06-02
更新日
-