文献情報
文献番号
200821025A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の腰痛に及ぼす脊柱変性、生活習慣要因および生活習慣病の影響と相互作用の解明
研究課題名(英字)
-
課題番号
H18-長寿・一般-037
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
中村 利孝(産業医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 吉田 英世(東京都老人総合研究所)
- 細井 孝之(国立長寿医療センター)
- 井上 聡(東京大学大学院医学系研究科)
- 斎藤 充(東京慈恵会医科大学)
- 藤原 佐枝子(放射線影響研究所)
- 吉村 典子(東京大学大学院医学系研究科)
- 青柳 潔(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 白木 正孝(成人病診療研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
12,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、高齢者の腰痛に及ぼす脊柱変形、生活習慣要因および生活習慣病の影響を明らかにすること、さらに最終年度は、腰痛や生活習慣への介入もしくは縦断的な調査、解析を行うことを目的とした。
研究方法
1)成人健康調査集団2929人を対象に、10年間追跡で腰痛の発生率と危険因子を検討した。2)地域在住中高年男女120人に運動介入、栄養介入、対照群に割り振って6ヶ月の介入を行い腰痛の発生を観察した。3)前年に腰痛のなかった156名を対象に腰痛発生とその要因、ADLの悪化を調査した。4)65歳以上の地域在住高齢者346名の12年間の追跡研究より腰痛とQOLついて検討した。5)閉経後女性818名を5.7年にわたり腰痛と骨折リスクを観察し、また、閉経後女性1312例に前向き試験で寝たきりにいたるリスクを解析した。6)HTRA1遺伝子やビタミンD受容体の遺伝子多型と変形性脊椎症との関連を解析した。7)白色家兎に卵巣摘除を行い、持続的な高ホモシステイン血症を誘導し、骨コラーゲン分析、骨強度試験を行った。8)60歳以下の肥満かつ腰痛がある男性従業員43名を介入群と非介入群に無作為にわけ、介入群に腹筋、殿筋運動、体重記録を毎日行わせ、2ヵ月後に健診を実施した。
結果と考察
1)腰背痛の発生率は、女性は男性の1.26倍であった。女性では、体重が多い、身長低下は腰背痛発生と関係あり、握力が高いことは腰背痛発生に予防的に働いた。2)腰痛の発生に対する運動介入と栄養介入はいずれもリスクを減少させる傾向にあった。3)BMIは腰痛発生のリスクと考えられた。4)女性では腰痛の有訴者はQOLが低下することが示された。5)腰痛は新規骨折のリスクとなり、また、寝たきりリスクとして年齢、どの部位であれ痛み、既存骨折、骨粗鬆症の罹患、認知症が抽出された。6)HTRA1遺伝子のSNPとVDRの TaqI多型が椎間板狭小化と有意に相関した。7)1%メチオニン負荷群で、血中ホモシステイン濃度は有意に上昇、生理的架橋の低形成とペントシジンの増加がみられた。8)肥満で腰痛のある者に対する減量と運動促進という生活習慣改善指導は、腰痛並びにQOLの改善効果があった。
結論
縦断的研究、介入研究の結果、体重と筋力は腰痛発生に重要な要因であり、また、腰痛はQOLを低下させ、寝たきりのリスクとなる。
公開日・更新日
公開日
2009-05-22
更新日
-