文献情報
文献番号
200821019A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症における標準的なケアモデルの構築に関する研究
課題番号
H18-長寿・一般-030
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 伸司(認知症介護研究・研修仙台センター)
研究分担者(所属機関)
- 阿部哲也(認知症介護研究・研修仙台センター )
- 内藤佳津雄(日本大学文理学部心理学科)
- 佐々木心彩(日本大学文理学部人文科学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,980,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
認知症高齢者の生活行為(入浴、摂食、排泄)障害に関する介護方法のモデルを整理し、認知症介護に関するケア評価指標開発の基礎資料とすることを目的としている。
研究方法
(1)【 認知症高齢者に対する日常生活介護のニーズと状態像に関する研究】では、高齢者の状態と摂食、排泄、入浴時の課題の関連を明らかにすることを目的に、昨年度実施した利用者の状態像に関する調査によって収集した18,236名のデータについて再分析を実施した。(2) 【認知症介護の成功事例分析に関する研究】では、食事、入浴、排泄に関する9つの障害場面におけるモデルケアの抽出を目的とし、1場面906?907カ所の認知症介護共同生活介護事業所を抽出し、障害場面に対する解決方法及び有効情報に関する郵送調査を実施した。(3)【認知症ケアにおけるアウトカム指標に関する研究】では、認知症ケアのアウトカム指標作成を目的とし、認知症介護指導者894名を対象に非言語的側面45項目に関する感情状態の評価と表出の頻度について郵送調査を行った。
結果と考察
(1)【 認知症高齢者に対する日常生活介護のニーズと状態像に関する研究】では、摂食、排泄、入浴について、高齢者の属性(18領域)と課題の有無の関連についてロジスティック回帰分析を実施した。その結果、認識と動作(複雑動作や模倣)機能の低下や意欲低下による影響が示唆され、ADL低下がみられない場合の状態像の特徴について明らかになった。(2) 【認知症介護の成功事例分析に関する研究】では、平均回収数は270.8件(30.4%)であった。共通アセスメント視点は、心理・興味、環境、人間関係、声かけ、様子、習慣、体調、認知機能、病歴、排泄、水分状況であり、高齢者の心理を重視する傾向が顕著であった。解決方法は、高齢者の心理や認知機能、生活習慣、人間関係、体調に応じた声かけ、誘導方法の工夫、環境調整、活動の工夫や、食事、入浴に関する方法の工夫が実施される傾向が認められ、障害場面を解決するケアの組合せのモデルパターンが明らかとなった。(3) 【認知症ケアにおけるアウトカム指標に関する研究】では、有効回答数270名について解析した結果、快感情、不快感情の評価視点は明確な特徴が示唆されたが、目をみひらく、じっとしている、髪を触る等の行動は評価困難であり、再検討の必要性が示唆された。
結論
以上の結果より、身体機能の高い認知症高齢者について、食事、入浴、排泄障害へのアセスメント視点とケアのモデル及び評価視点が明らかとなり、認知症介護評価ツールの基礎資料を得ることができた。
公開日・更新日
公開日
2009-11-02
更新日
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