文献情報
文献番号
200813005A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の寝たきり予防に役立つナノ表面構築型人工股関節の開発に関する研究
課題番号
H20-活動・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高取 吉雄(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
- 中村 耕三(東京大学 医学部附属病院)
- 川口 浩(東京大学 医学部附属病院)
- 石原 一彦(東京大学 大学院工学系研究科)
- 茂呂 徹(東京大学 医学部附属病院)
- 苅田 達郎(東京大学 医学部附属病院)
- 伊藤 英也(東京大学 医学部附属病院)
- 金野 智浩(東京大学 大学院工学系研究科)
- 塙 隆夫(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
- 岩崎 泰彦(関西大学 化学生命工学部)
- 橋本 雅美((財)ファインセラミックスセンター 材料技術研究所)
- 山脇 昇(日本メディカルマテリアル(株) 股関節事業部)
- 京本 政之(日本メディカルマテリアル(株) 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(活動領域拡張医療機器開発研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
45,101,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、我々が開発してきた、生体適合性材料・MPCポリマーの人工股関節摺動面へのナノ表面処理技術を応用し、安定性と耐摩耗性に優れ、高齢者の寝たきり予防に役立つ革新的なナノ表面構築型人工股関節を開発することである。
研究方法
MPC処理の至適条件の検索では、MPCによるナノ表面処理時の条件を変化させ、得られた試料表面を解析して至適条件を検索した。ポリエチレン(PE)厚がMPC処理効果に与える影響の検討では、MPC処理したPE板の物理的・機械的特性を検討した。摩耗抑制効果の検討では、手術後の歩行を再現する股関節シミュレーターで検討した。関節摺動面の安定性の検討では、21年度以降のコンポーネント形状の検討に使用するため、変形性股関節症患者のCT画像を元に、当該患者の承諾を得て三次元積層造形法を用いて股関節の三次元モデルを作製した。
結果と考察
MPC処理の至適条件の検索では、まず、MPC処理CLPE表面の解析として、表面の元素分析、官能基の分析、水の静的接触角測定等からグラフト層の解析を行った。また、至適処理条件検討の結果、光照射時間により表面に生成するMPC鎖の密度が制御できた。光照射時間90分間において、十分に高密度のMPC鎖で覆われたCLPEの調製ができた。PE厚がMPC処理効果に与える影響の検討では、MPC処理PE板について、引張り強度、衝撃強度、硬度、クリープ変形等を計測し、物理的・機械的強度を測定したところ、MPC処理自体は基材となるPEの材料特性に影響を与えないことが明らかになった。また、pin-on-disc型摩耗試験装置を用いた、MPC処理PE板の疲労特性試験の試験条件の検索を行った。摩耗抑制効果の検討では、ライナーの重量変化による摩耗量の測定、ライナー表面の解析、潤滑液中の摩耗粉の回収及び解析による摩耗動態の分析、により、骨頭径を大きくしても、顕著な摩耗抑制効果が期できることが明らかとなった。関節摺動面の安定性の検討では、三次元CADから出力された三次元データを0.5 mm幅のスライスデータに変換し、インクジェット粉末積層装置を用いて三次元股関節モデルを作製した。
結論
以上の研究成果は、高齢者の寝たきり予防に役立つナノ表面構築型人工股関節の開発を推進しうるものであり、革新的な人工股関節の臨床応用が期待できる内容であった。
公開日・更新日
公開日
2011-05-30
更新日
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