高磁場MRIと核医学・分子イメージングに基づく動脈硬化の高感度かつ定量的な診断と新しい予防戦略の構築

文献情報

文献番号
200812038A
報告書区分
総括
研究課題名
高磁場MRIと核医学・分子イメージングに基づく動脈硬化の高感度かつ定量的な診断と新しい予防戦略の構築
課題番号
H20-ナノ・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 秀博(国立循環器病センター研究所 放射線医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 野々木 宏(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 野口 輝夫(国立循環器病センター 心臓血管内科)
  • 内藤 博昭(国立循環器病センター 放射線診療部)
  • 石田 良雄(国立循環器病センター 放射線診療部)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病センター 動脈硬化代謝内科)
  • 飯原 弘二(国立循環器病センター 脳血管外科)
  • 山田 直明(国立循環器病センター 放射線診療部)
  • 植田 初江(国立循環器病センター 病理部)
  • 福島 和人(国立循環器病センター 放射線診療部)
  • 古本 祥三(東北大学 加齢医学研究所)
  • 渡部 浩司(国立循環器病センター研究所 放射線医学部 )
  • 林 拓也(国立循環器病センター研究所 放射線医学部 )
  • 寺本 昇(国立循環器病センター研究所 放射線医学部 )
  • 佐藤 博司(国立循環器病センター研究所 先進医工学センター 先進診断機器開発室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
48,178,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
主任研究者が開発したPET/SPECT画像との高精度重ね合わせ技術や、高解像度・高感度MRI撮像を可能にするハードウエアと撮像シーケンスプログラムなどの新規技術、分担研究者が有する分子プローブ合成技術を基に、不安定プラークの形成過程における構造的かつ分子機能的プロセスの変化を明らかにすること、さらに、これらを応用した病態診断と抗動脈硬化治療薬の評価法を確立することである。
研究方法
基礎部門では、3テスラMRI装置を使い、独自開発した専用コイルや最適化したシーケンス群を用いて動脈血管壁の微細構造の撮像法を開発した。また、プラークの脆弱化に関与しているMMP、および低酸素状態を可視化する分子プローブの合成と有効性評価を行った。一方、臨床部門では、1.5テスラ汎用MRI装置および冠動脈CTを用いてヒト冠動脈不安定プラークの画像上の特徴を評価した。また、1.5テスラMRI検査の拡散強調画像および頸動脈エコーを用いて、多角的にプラークを評価し、頸動脈内膜剥離術の至適時期の検討を行った。
結果と考察
基礎部門は線維性コラーゲン分解作用を有するMMPについて、F-18標識MMP阻害剤によるイメージングの開発と有効性評価、さらに、18F-ミソニダゾルの開発を行った。また、3テスラMRI装置を用いて、ヒト頸動脈プラークおよび脳内動脈のプラークを明瞭に描出するシークエンスの最適化を行った。この技術の開発は、プラークの成長と破綻に関与する分子プロセスの系統的なイメージングの臨床応用への大きな進歩となった。
一方、臨床部門は、MRI画像でのヒト冠動脈不安定プラークの特徴を明らかにした。この成果により、1.5テスラ汎用MRI装置を用いた冠動脈不安定プラークの安定化プロセスを非侵襲的に評価する技術の確立、および新規薬剤の治療効果をMRIで非侵襲的に画像診断するシステムの構築を目的とした新たな臨床研究を開始する基盤が整った。
結論
不安定プラークの構造的かつ分子機能的な特徴を評価できる分子プローブの開発および高磁場MRIシークエンスの最適化を行った。また、汎用MRI装置を用いて冠動脈、頸動脈の不安定プラークの画像上の特徴を明らかにした。本研究は、虚血性心疾患や脳卒中患者の二次予防のみならず、虚血性心疾患や脳卒中発症の一次予防に役立つ画期的な診断法につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2011-05-30
更新日
-