非侵襲的生体膵島イメージングによる糖尿病の超早期診断法の開発

文献情報

文献番号
200812027A
報告書区分
総括
研究課題名
非侵襲的生体膵島イメージングによる糖尿病の超早期診断法の開発
課題番号
H19-ナノ・一般-017
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
稲垣 暢也(京都大学医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 豊田 健太郎(京都大学医学研究科 糖尿病・栄養内科学)
  • 平尾 佳(アークレイ株式会社)
  • 天滿 敬(京都大学薬学研究科 病態機能分析学分野)
  • 上田 真史(京都大学医学研究科 放射線医薬品学)
  • 興津 輝(京都大学医学部附属病院 臓器移植医療部)
  • 佐治 英郎(京都大学薬学研究科 病態機能分析学分野)
  • 河嶋 秀和(京都大学医学研究科 放射線診断学)
  • 松田 哲也(京都大学情報学研究科 医用工学分野)
  • 富樫 かおり(京都大学医学研究科 放射線診断学)
  • 斉藤 美佳子(東京農工大学 共生科学技術研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
38,742,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病の発症過程では、膵島量が耐糖能異常に先行して減少する。この知見に基づき、本研究では糖尿病超早期診断を目的とした、生体内の膵島量を測定する非侵襲的画像診断技術の開発を目標とする。このための新規標識プローブの開発を行う。非侵襲的に膵島量を検知できれば、糖尿病発症の超早期での介入が可能となり、効果的な糖尿病発症予防が実現する。
研究方法
生体内に存在する直径50~500mmの細胞塊である膵島組織を定量化するために、膵島特異的な標的分子の検索、生体イメージングを目的とした分子プローブ設計を行い前駆体を合成する。標識化検討を行い、標識化できた化合物の基礎検討を行う。その結果選定した化合物を用いて、定量性評価、糖尿病モデル動物での評価を行う。
結果と考察
平成20年度は、前年度に作製した標識前駆体化合物の標識化検討から開始し、標識化できた化合物から順次基礎評価を行った。そのうち、GLP-1受容体のリガンド化合物3種類で、膵臓特異性、膵β細胞特性を認め、PET撮像した結果、膵臓への集積を認めた。GPR40リガンドの化合物2種で基礎検討まで進んだ。KATPチャネルリガンド化合物は、基礎評価を行いPET撮像した膵臓への集積を認めた。新規に作製した抗GIP受容体抗体は、GIP受容体選択性が無く開発を断念した。さらに新規プローブ検索で8種類を追加し、前駆体合成、標識化検討を進めた。超高磁場MRIによる撮像では、非プローブ存在下での膵島描出が困難と判明し、プローブを用いた検討に変更した。定量性の評価に必要なOPT ScannerとIVISシステムを用いた実験系を新たに構築した。
今後は、定量性評価実験を行い、基礎評価で有用性が認められている化合物の中から定量性にすぐれたプローブ化合物を選別する。その上で、糖尿病モデル動物を用いて、有用性を検証することが必要である。
結論
平成20年度は、前年度に作製した標識前駆体のうち、標識化した化合物の基礎検討を施行した。4化合物についてPET撮像検討まで進み、画像撮像を含む基礎評価は着実に進行している。また定量性評価のための実験系も構築した。
以上の結果から、平成21年度には定量性評価検討を行い定量性にすぐれたプローブ化合物を選別し、糖尿病モデル動物を用いた最終評価実験、すなわち、耐糖能の変化と膵島量の関係の評価を行うことが可能となった。

公開日・更新日

公開日
2011-11-04
更新日
-