ASEAN諸国の大学等における安全衛生教育の実態調査及びミャンマー国を例とした安全衛生教育カリキュラムの開発と試行

文献情報

文献番号
202023001A
報告書区分
総括
研究課題名
ASEAN諸国の大学等における安全衛生教育の実態調査及びミャンマー国を例とした安全衛生教育カリキュラムの開発と試行
課題番号
H30-労働-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
田中 寿郎(愛媛大学 理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 和貴(愛媛大学大学院連合農学研究科)
  • R・C Vergin(ルース・キャロル バージン)(愛媛大学国際連携推進機構)
  • 岡野 聡(愛媛大学大学院理工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究費
2,480,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

概要版(繰越課題)
目的
① ミャンマーの工科系大学で、日本式の労働安全衛生に関する講義を継続的に開講し、日本的な安全衛生習慣を持った技術者を育成する
② ASAEN諸国の大学における実験室の安全を含む労働安全衛生に関する教育の実態を調査する.
③高等教育機関における安全衛生教育の国際会議ACSEL(The Asian Conference on Safety & Education in Laboratory)で成果を広める。

研究方法
①モービー工科大学の教員と共同で、ミャンマーの実情に即したカリキュラムになるよう、意見交換を重ね、2018年度及び2019年度に作成したテキスト原案を用いて、教科書を完成させる。
②ASEAN諸国の大学における安全衛生教育の実情調査のまとめを行う。
③令和2年12月初めに松山でWeb開催されたThe Asian Conference on Safety & Education in Laboratory2020にて、本プロジェクトで実施予定の教育プログラムの内容について、発表をおこなう。

結果と考察
本年は、新型コロナウイルス感染症の拡大及びミャンマーにおける軍事クーデターに関連したミャンマーの大学の混乱により、当初予定した研究の一部が実施不可能になったが、本研究の次の主要部分について、完成させることができた。
①ミャンマーの工科系大学で使用する労働安全衛生に関する教科書を完成させた。
②コロナ感染症による教育機関の混乱のため、フィリピン調査ができなかった。フィリピンを除いたASEAN諸国の大学における安全教育の実態について、報告書を作成できた。
③予定していた国際会議で、ミャンマーにおける日本式の労働安全衛生教育の実施に関する発表を行った。
なお、予算のうち海外旅費を含めて大部分を令和3年度に繰り越したが、令和3年においても、国内外の移動は困難であり、訪問調査等を実施できなかった。

結論
①労働安全衛生教育のための教科書(冊子版と電子書籍版)を完成させた。(別冊で報告書に添付)
②調査報告書「ASEAN諸国の大学における安全衛生教育調査報告書」を完成させた。(別冊で報告書に添付)
③「What kind of Topics should be taught in the first step of the safety education in Technological Universities ? 」と題した研究発表を12月にWeb開催された「The Asian Conference on Safety & Education in Laboratory 2020」にて行った。

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202023001B
報告書区分
総合
研究課題名
ASEAN諸国の大学等における安全衛生教育の実態調査及びミャンマー国を例とした安全衛生教育カリキュラムの開発と試行
課題番号
H30-労働-一般-001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
田中 寿郎(愛媛大学 理工学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 伊藤 和貴(愛媛大学大学院連合農学研究科)
  • R・C Vergin(ルース・キャロル バージン)(愛媛大学国際連携推進機構)
  • 岡野 聡(愛媛大学大学院理工学研究科)
  • 宮崎 隆文(岡山大学(安全衛生推進機構))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成30(2018)年度
研究終了予定年度
令和2(2020)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①ミャンマーの工科系大学で、日本式の労働安全衛生に関する講義を実施するためのカリキュラムの策定と教科書の出版。
②ASEAN諸国の大学における安全衛生教育の実態調査
③高等教育機関における安全衛生教育の国際会議(The Asian Conference on Safety & Education in Laboratory)にて成果を公表し広める。
研究方法
ミャンマーのモービー工科大学他、3大学にて継続的に安全衛生セミナーを開催し、現地の事情や必要とされている内容を把握しするとともに、現地日本企業を訪問し、雇用者として必要とされている労働安全衛生の内容について、ヒアリングを行う。それらを基に、カリキュラムの試案を現地で試行し、カリキュラムと教科書を作成する。
結果と考察
平成30年度
①講義の作成に当たっては、原案を伊藤が作成し、それに沿って田中、ルース、岡野、宮崎がそれぞれの専門に近い部分について作成し、伊藤が取りまとめた。その後、ルースが英語講義の様式に調整した。これを用いて、ルースの英語指導の下、英語講義として第1次案としてミャンマーでの講義を行った。

②ラオスとタイの主要大学を訪問し全管理の実情や教育について聞き取り調査を行った。

平成31年度(令和元年度)
①講義の作成に当たっては、現地ヤンゴンで日本式の自動車整備士資格に準拠した教育を行っている日本企業とミャンマー企業の専門学校を訪問し、現地における労働安全衛生教育の課題等について意見交換を行い、その結果を生かしたカリキュラム修正案を伊藤が作成し、それに沿って田中、ルース、岡野、宮崎がそれぞれの専門に近い部分について修正を行い、伊藤が取りまとめた。その後、ルースが英語テキストの様式に調整した。これを用いて、ルースの英語指導の下、英語講義として第2次案としてミャンマーで教員向け講義を行った。

②労働安全衛生教育の実施をミャンマー全土で行うために、ミャンマー教育省の関連する部署を訪問し、本プロジェクトについて、説明し協力を求めた。

③マレーシアの主要大学であるマラヤ大学工学部を訪問し、安全管理責任者あるいは学部長、学科長クラスの教員から、安全管理の実情や教育について聞き取り調査を行った。
④高等教育機関における安全衛生教育の国際会議(The Asian Conference on Safety & Education in Laboratory)で成果を広く海外に公表した。


令和2年度及び令和3年度
①コロナウイルス感染症の蔓延により、国内及び海外での調査活動やセミナーを実施できないので、テキストの完成に注力し、著作権の処理を除いて、完成させた。さらに、令和3年には、教科書の体裁を整え、出版社から冊子版と電子書籍版を出版した。
現地で利用法の説明等のセミナーについては、令和3年度に研究期間を延長して、実施する予定であった。しかし、令和3年2月に発生したミャンマーの軍事クーデターにより、ミャンマーへの渡航ができず、またミャンマーの大学が機能停止しており、現地での説明およびセミナーは実施できなかった。

②コロナ感染拡大のため令和3年に延期したフィリピン現地調査は、コロナ感染症が拡大を続けたため、渡航できず実施できなかった。そのため、令和元年までの調査結果に基づき、報告書を作成した。

③2020年12月にWeb 開催されたThe Asian Conference on Safety & Education in Laboratory2020にて、教科書作りを発表した。2022年3月に東大で開催されたREHSEの研究会にて、本研究で出版した教科書について発表した。
結論
①モービー工科大学での安全衛生セミナーを実施するとともに、同大学の教員と共同で、ミャンマーの実情に即したカリキュラムになるよう、意見交換を重ね、2020年度にカリキュラムと教科書原案と作成した。研究計画通り、2021年度には、海外を含めて広く使えるように、冊子体及び電子Bookの2種類の教科書を出版社から出版し、初期の目的を達成した。
②フィリピンの大学調査は、コロナ感染症のため実施できなかったので、フィリピンの大学を除てASEAN諸国の大学における安全教育に関する調査報告書を研究計画通り取りまとめ、初期の目的を達成した。
③2018年沖縄、2019年インドネシア、2020年松山(Web開催)でそれぞれ開催されたThe Asian Conference on Safety & Education in Laboratoryにて、本プロジェクトで実施している教科書作りを発表した。2022年3月に東大で開催されたREHSEの研究会(Web開催)にて、出版した教科書について発表した。研究計画で予定した通り国際会議及び国内の会議にて研究成果を公表し初期の目的を達成した。

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202023001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
研究成果
ASEAN諸国の大学における安全衛生教育の実態を調査するとともに、労働安全衛生に関して整備が不十分であるミャンマーを例として、工学系大学における労働安全衛生教育に資するためのカリキュラムを作成し、教科書を出版した。

研究成果の意義
ASEAN諸国の安全衛生文化の形成を支援するツールとして活用できる。さらに、我が国置ける留学生教育や技能実習生向けの安全衛生教育にも有効である。
臨床的観点からの成果
工学系大学における労働安全衛生教育のカリキュラムを作成し、英文の教科書を出版したことにより、東南アジアをはじめ、多くの工学系大学教育で労働安全衛生教育を実施しやすくなった。
令和6年度からは、愛媛大学大学院連合農学研究科において、安全衛生に関する講義のテキストとして使用することになっている。
ガイドライン等の開発
安全衛生活動が不十分な国への指導内容の目安の一つにすることができる。
その他行政的観点からの成果
発展途上国からの留学生や技能実習生への労働安全衛生教育に用いる教科書として使用できるものを作成した。2023年度には、フィリピン、インドネシア、ベトナム、米国などの合計34の大学に紹介した。また、国内では、福井工業大学をはじめとする大学に紹介した。
令和5年度には、技能実習生向けのテキストとしての利用について愛媛県とも検討を始めた。
その他のインパクト
大学教育で用いる労働安全衛生の入門的英文教科書は、ほとんど出版されておらず、教育現場では入門的な英文教科書を必要としていた。今回我が国で初めて入門的英文教科書を出版した。大学教育ばかりでなく、技能実習生等の外国人労働者の教育にも有効である。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
大学用教科書 Occupational Safety and Health -An Introduction to Building a Safety Culture- の出版(印刷版および電子版)
その他成果(普及・啓発活動)
34件
フィリピン、インドネシア、ベトナム、米国など

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-06-09
更新日
2024-06-06

収支報告書

文献番号
202023001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,600,000円
(2)補助金確定額
2,214,000円
差引額 [(1)-(2)]
386,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 368,465円
人件費・謝金 206,780円
旅費 0円
その他 1,518,755円
間接経費 120,000円
合計 2,214,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-03-14
更新日
2023-05-25