シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究

文献情報

文献番号
200738021A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス症候群の診断・治療法及び具体的対応方策に関する研究
課題番号
H18-健危-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坂部 貢(北里大学 薬学部)
  • 木村 穣(東海大学 医学部)
  • 熊野 宏昭(東京大学 医学部附属病院)
  • 吉野 博(東北大学 大学院工学研究科)
  • 池田 耕一(国立保健医療科学院 建築衛生部)
  • 森 千里(千葉大学 大学院医学研究院)
  • 石川 均(北里大学 医療衛生学部)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域健康危機管理研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
15,282,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群(SHS)について、患者や一般医療機関での理解度が十分でなく適切な診療を受けにくいとの指摘があることから、診断・治療法及び具体的対応策に関する検討を行った。
研究方法
1)概念整理2)機序未解明な病態研究3)環境対策の3点より本研究を行った。
結果と考察
1)SHSの臨床分類(広義)を、1-4型(中毒症状の出現、化学物質曝露の可能性大、心理・精神的関与、アレルギー疾患等の発症・増悪)に概念整理を行った。通常は狭義のSHSを用いることが妥当であり、秋山班と定義・診断基準(案)を作成合意した。2)トルエン低濃度曝露時のfMRIによる脳画像解析により、患者群と対照群で反応が異なった。QEESIの質問票の日本独自のカットオフ値の設定が可能であった。TVOC濃度の変化により副交感神経活動の抑制と交感神経活動の賦活が示唆され、TVOCと心拍変動の指標との相関が確認され、VOCへの曝露が自律神経活動に影響を及ぼしていると考えられた。電子瞳孔計で、対光反応による縮瞳からの戻り率より、原因物質の相違による特徴的な所見がしるされた。有機リンは、摘出した家兎の瞳孔括約筋の神経末端からのアセチルコリン活性を増加させ収縮を増強させる。生体負荷時、眼内への移行、房水動態などに左右される。遺伝要因に関して、一塩基多型(rs480208)の遺伝子型AAとNTE遺伝子の発現量との相関傾向が一部観察された。CYP2E1、グルタチオン、GSTP1の遺伝子多型とQEESIによる質問票調査結果との検討より、いずれの遺伝子多型頻度も、質問項目のスコアに統計学的有意差を認めなかった。3)SHSが疑われる住宅を対象に室内環境および医学的治療について調査した。室内空気は一般住宅よりも高濃度のホルムアルデヒドやp-ジクロロベンゼンなどに汚染され、換気量不足が原因の1つであることが判明した。環境改善型予防医学の実践的対応としてケミレスタウンを提唱し、実証実験施設の整備とその啓蒙活動、実験評価法の検討を行った。施設における揮発性化学物質の濃度パターンの解析ができ、TVOC濃度の削減で症状の改善が見られた。生育環境による真菌の成長過程とMVOCの発生量との関係を文献調査を行い、MVOC小型チャンバー法の適用法について検討した。
結論
新臨床分類を提唱することは今後明確な臨床診断基準のもと、治療に向けての活用が期待できる。個々の研究は診断に際し有用であり、病態解明に少なからず貢献しており症状の改善を認めるなどの実績を認めている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-02
更新日
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