「国連の持続可能な開発目標3(SDG3)‐保健関連指標における日本の達成状況の評価および国際発信のためのエビデンス構築に関する研究」

文献情報

文献番号
202005004A
報告書区分
総括
研究課題名
「国連の持続可能な開発目標3(SDG3)‐保健関連指標における日本の達成状況の評価および国際発信のためのエビデンス構築に関する研究」
課題番号
20BA1001
研究年度
令和2(2020)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 知子(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 宏子(北海道医療大学 歯学部)
  • 欅田 尚樹(産業医科大学 産業保健学部)
  • 松本 俊彦(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
  • 松岡 佐織(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 大澤 絵里(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地球規模の保健課題は、近年、世界保健機関(WHO)のみならず、国連総会や主要国際会合でもしばしば主要議題として扱われる等、国際社会においてその重要性が高まっている。ミレニアム開発目標の後継として2015年9月に採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)では、開発国のみでなく先進国においても保健分野のゴールが設定され、国際的な取組が一層強化された。本研究では、SDG Goal3保健関連指標において、現在国内で実施されている統計調査等の結果を基にデータの集計・算出、近似値の推計を行う方法を開発し、各国と推計値の比較を行い、国際社会に向けて発信することを目的とする。
研究方法
初年度はSDG3保健指標におけるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)、生涯を通じた健康の確保(母子保健・高齢化)、感染症(HIV/エイズ、結核)対策、非感染性疾患の予防と治療、薬物乱用の予防と治療、人体に有害な環境(化学物質、空気、水、土壌)の改善に関する指標について、国内既存の厚生労働統計や行政報告、および国連メタデータの活用について検討した。さらにUHCサービスカバレッジインデックス14指標についてOECD加盟国のprimary data(自国内での調査データ)入手状況についてWHO報告書をもとにレビューした。
結果と考察
研究班では、2019年における国内UHCサービスカバレッジインデックス14追跡指標の算出を行った(マラリア予防指標は非蔓延国で対象外のため除く)。8指標(小児予防接種、結核治療、HIV治療、心血管系疾患の予防、糖尿病の管理、タバコの規制、病院へのアクセス、保健人材)については、primary data(自国内での調査データ)による算出が可能であったが、心血管系疾患予防やたばこ規制に関する指標では、公表値に合わせた年齢区分の再定義が必要であった。健康危機対応と水・衛生指標についても自国データを反映した国際機関サイトでのデータ入手が可能であった。一方、家族計画、妊娠と出産指標は、定義を準拠すると国連メタデータ推計値を用いる必要があり、これらの指標は他のOECD加盟国でも同様にprimary dataデータ入手率が低いことが明らかとなった。小児の治療指標も同様に国内primary dataはなく、OECD加盟国でもデータ入手率が最も低い(3/37カ国)指標であった。現在Tier分類IIである薬物乱用の予防・治療に関する指標について、国内主要データベース(全国住民調査、薬物乱用防止教室開催状況、精神科医療施設における実態調査、精神保健福祉資料等)の活用により、地域住民における違法薬物の生涯経験率、学校における薬物乱用防止教室の実施率、精神科医療施設における物質使用障害者の主たる薬物の構成比率、薬物依存症の患者数および診療機関数薬物乱用防止教室の実施率、等の候補指標を算出することができ、今後の国際発信が期待できる。3.9.1環境因子に関する指標は、現在日本では算出されていない。国内文献レビューにおいて、室内寒暖差と死亡率、近年急増するアレルギー疾患と準揮発性有機化合物(SVOC)やダンプネス、大気中の微小粒子状物質と呼吸器・循環器系疾患との関連性が示唆される文献報告を確認した。また、3.9.2はTier Iであるが、過去30年間の国内水質事故事例の情報収集等をもとにした水系感染症死亡事例による推計値は、国連指定のコーディングによる報告値よりも極めて低いため、WHOのWASH定義疾病コードが開発国向けの定義となっていることが示唆された。高齢化に関する指標は現在SDG3に含まれていないが、国家レベルのHealthy Aging指標としてはActive Aging Index(AAI)が国際的に最も実績があり、国内からも既存統計資料の活用が期待できることが明らかとなった。また、AAIはUHCサービス・カバレッジ指標のサービスアクセスに関する下位尺度スコアと有意な関連性を示した。
結論
保健領域におけるSDGs達成のためには、SDG3の指標等を通じて統一的な指標で評価・モニタリングすることが重要である。UHCに関する指標の多くは算出可能であったが、社会背景や保健医療システムに差異があるため、primary dataの使用に際しては、疾患定義の確認や修正、モニタリング指標としてのコンセンサス形成が重要であることが示唆された。特にリプロダクティブヘルス・小児の治療指標については、国内状況を反映したデータとなるよう検討が必要である。このようなプロセスを経て、 “誰一人取り残さない”保健向上に貢献することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2021-08-12
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2021-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202005004Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,825,379円
人件費・謝金 371,115円
旅費 0円
その他 1,803,506円
間接経費 0円
合計 4,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-02-04
更新日
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