世界ドライアイ診断基準の作成と我が国への応用

文献情報

文献番号
200732022A
報告書区分
総括
研究課題名
世界ドライアイ診断基準の作成と我が国への応用
課題番号
H17-医療-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坪田 一男(慶應義塾大学医学部眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 村戸 ドール(慶應義塾大学医学部 J&Jオキュラーサーフェス眼光学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)新診断基準と旧診断基準のドライアイ診断への応用性を比較する。
2) 日本独特なドライアイ自覚症状調査票の作成を試み、その調査票のドライアイ診断への応用性について検討する。
3) 疫学調査時に短期間で涙液の状態を反映できるobjectiveな検査法を開発し、ドライアイへの応用性について検討する。
研究方法
1−2:本年度は日本予防医学会の東京、大阪、福岡の3ヶ所の検診センター及び慶應大学病院で新調査票と涙液機能検査(シルマーテスト、涙液層破壊時間、生体染色)を施行した。対象例は238例476眼である。新診断基準と旧診断基準のドライアイ診断への応用性を比較した。症例を正常 、ドライアイ確定診断例,ドライアイ疑い例の3群に分け、新診断基準のもとで診断率の変化を調べた。日本独特なドライアイ自覚症状調査票の作成を試み、調査票の重症度スコアーとドライアイ診断の関係についても検討した。涙液量の検査法としてシルマ—テストの変わりに短期間で非侵襲的に検査が出来るストリップメニスコメトリー(SM)を開発し、ドライアイ診断への応用についても検討した。ドライアイと確定診断された例と正常例で上記の検査を施行し(正常例:67例、134眼;ドライアイ確定例:84例、155眼)比較検討を行なった。
結果と考察
ドライアイ確定例の新調査票の各質問項目スコアーと総合症状スコアーは正常人や疑い例に比べ有意に高かった。臨床医によるドライアイの診断を有するものでも同様な結果を得た。調査票の総合ドライアイ重症度スコアーは高ければ高いほどドライアイの診断率が向上した。SMと格涙液機能、また生体染色検査の値の間に有意な相関を認めた。SM検査の感度とspecificityに関してはROC法にてAUC値は0.76で検査のcut-off値を4ミリに設定した場合のsensitivityは86%、specificityは96%であった。新調査票にて62.5%以上の重症度スコアーのものは確定診断される可能性が非常に高く、本調査票は疫学調査に妥当だと思われる。
結論
本研究によって標準となる症状聴取項目の設定することが期待でき、疫学調査時に本調査表を実施すれば十分なドライアイのscreeningができる可能性がある。ストリップメニスコメトリー法は再現性が良く、痛みを伴わないので大規模の疫学調査時でも応用できる涙液量の優れた検査法であると思われる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200732022B
報告書区分
総合
研究課題名
世界ドライアイ診断基準の作成と我が国への応用
課題番号
H17-医療-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
坪田 一男(慶應義塾大学医学部眼科学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 村戸 ドール(慶應義塾大学医学部 J&Jオキュラーサーフェス眼光学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
不定愁訴を日本ドライアイ診断基準に加え世界の診断基準・定義との統一性を得る。新診断基準と診断率の関係を検討する。世界ドライアイワークショップ(DEWS)を構成する。
Schaumberg調査票を日本の疫学調査に使用し、ドライアイの頻度とリスクファクターを検討する。日本独自の調査票作成に挑戦し、疫学調査への応用性について検討する。
DEWSについてsymposium/市民講座を行い、医師と市民の新診断基準の知識を高める。DEWSの報告書を和訳し、全ての眼科学教室、角膜専門医に提供し、日本ドライアイ研究会とTear Film Ocular Surface Societyのwebpageに載せる。
疫学調査時に涙液状態を反映できる検査法を開発する。
研究方法
* 国内・海外ドライアイ専門家よりDEWSを構成し、ドライアイの定義、分類、治療ガイドライン、疫学とリサーチの現状、治験やclinical studyの方法について検討する。
* Schaumberg調査票を4379人のVDT作業者と3433人の高校生に実施した。また、新調査票を作成し、日本予防医学会の検診センターと慶應大眼科にて238人を対象に実施した。
* 第30回日本角膜カンファランス、第111回日本眼科学会、2007年米国眼科学会でシンポジウム、2006年に日本ドライアイ研究会主催の市民講座を開催した。
* ドライアイ確定診断例(84例、155眼)及び正常人(67例、134眼)を対象に新涙液貯留量検査を行なった。
結果と考察
ドライアイの新定義と診断基準が定着し、DEWS最終報告書が日本語も含めて7カ国語で作成された。
*VDT作業者ではドライアイの診断ならびに重症の自覚症状を有する者は女性では21.5%、男性では全体の10.1%を占め、4時間を超える作業とCL装用はドライアイの有意なリスクファクターであった。高校生における調査では女性の8%にドライアイの診断と重症の自覚症状があり、CL装用はドライアイのリスクファクターであった。新調査票重症度スコアーはドライアイ確定例の診断に有用であった。新診断基準にて確定ドライアイの診断率が低下した。
*新貯留量検査は涙液の質的量的異常・眼表面上皮障害の程度を相関していた。

結論
D.結論
ドライアイ新診断基準と定義の確立に伴い、ドライアイ診療のqualityが高まることとドライアイ病態の理解が深まることが期待される。本研究によって標準と成りうる調査票を設定することができ、VDT作業者と高校生におけるドライアイとその自覚症状の実態が明らかになった。新貯留量検査はドライアイ診断に有用であった。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200732022C