健康日本21こころの健康づくりの目標達成のための休養・睡眠のあり方に関する根拠に基づく研究

文献情報

文献番号
200722001A
報告書区分
総括
研究課題名
健康日本21こころの健康づくりの目標達成のための休養・睡眠のあり方に関する根拠に基づく研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
内山 真(日本大学医学部精神医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 大川匡子(滋賀医科大学医学部精神医学講座)
  • 清水徹男(秋田大学医学部精神科学講座)
  • 兼板佳孝(日本大学医学部公衆衛生学分野)
  • 千葉茂(旭川医科大学医学部精神医学教室)
  • 井上雄一(神経研究所代々木睡眠クリニック)
  • 内村直尚(久留米大学医学部神経精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
5,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
こころの健康づくりのための休養・睡眠のあり方を以下の点から検討し、現代の社会状況に即した実効性のある休養プログラムおよび指針を開発し、研究成果の迅速な普及啓発を通じて、健康日本21こころの健康づくりの目標値を戦略的に達成することを目的とする。
研究方法
健康日本21こころの健康づくりの目標値を達成のための休養プログラム・休養指針を開発するため、昨年度までに行ってきた一般人口およびハイリスク者に関して行った休養・睡眠に関する実態研究をもとに、今年度はこころの健康づくりに役立ちうる休養・睡眠対策を抽出し、睡眠指導による介入研究を行った。
結果と考察
1.一般国民における休養・睡眠とこころの健康の関連解明
平成15年国民健康・栄養調査のデータを解析し、睡眠による休養を十分にとれていない人を減少させるためには、喫煙、食事、運動などに関する包括的な生活習慣指導が重要であることがわかった。企業の勤労者では、業務量が多いほどストレスは大きく、自己裁量権が大きいほどストレスは少なかった。
2.ハイリスク者における休養・睡眠とこころの健康の関連解明
勤務医では定期的な運動が睡眠の改善、および疲労感の軽減につながる可能性が示唆された。地域住民で不眠は精神健康度の低下要因であり、不眠治療により精神的健康度の向上が見られることがわかった。うつ病の不眠に対する薬物治療の問題点が抽出された。
3.睡眠に対する介入の効果の検証
企業における研修会で勤務者に不眠に対し短期間の睡眠衛生教育を行い効果がみられた。高校生において、短時間午睡のプログラムを作成し、健康増進に効果があることが分かった。

結論
今年度は要因分析を進め、こころの健康づくりに役立ちうる休養・睡眠対策を抽出した。一般成人への休養対策として包括的な生活習慣指導の重要性、勤労者の休養対策や運動指導がストレス対策として実効性があること、不眠の治療が精神的健康度を高める可能性などの結果が得られた。さらに、介入研究を行い、勤労者に対する睡眠衛生教育が睡眠の質的向上に役立つこと、高校生への午睡指導は午後の眠気改善に有効なだけでなく夜間の睡眠習慣の改善にも効果があることを検証した。この普及啓発は、今後健康日本21こころの健康づくりの目標値達成に資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-30
更新日
-

文献情報

文献番号
200722001B
報告書区分
総合
研究課題名
健康日本21こころの健康づくりの目標達成のための休養・睡眠のあり方に関する根拠に基づく研究
課題番号
H17-循環器等(生習)-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
内山 真(日本大学医学部精神医学系)
研究分担者(所属機関)
  • 大川匡子(滋賀医科大学医学部精神医学講座)
  • 清水徹男(秋田大学医学部精神科学講座)
  • 兼板佳孝(日本大学医学部公衆衛生学分野)
  • 大井田 隆(日本大学医学部公衆衛生学分野)
  • 伊藤 洋(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
  • 井上雄一(神経研究所代々木睡眠クリニック)
  • 千葉 茂(旭川医科大学医学部精神医学教室)
  • 内村直尚(久留米大学医学部神経精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究課題においては、こころの健康づくりのための休養・睡眠のあり方を、一般国民における休養・睡眠とこころの健康の関
連、ハイリスク者における休養・睡眠とこころの健康の関連、ハイリスク者におけ討し、現代の社会状況に即した実効性のある休養プログラムおよび指針を開発し、研究成果の迅速な普及啓発を通じて、健康日本21こころの健康づくりの目標値を戦略的に達成することを目的とした。
研究方法
平成17年度は、国民における休養・睡眠とこころの健康の実態把握、ハイリスク者における休養・睡眠とうつ病との関連の実態把
握、勤務形態による睡眠習慣およびこころの健康度の関連の3点について現状の把握を行った。平成18年度は休養と心の健康の関連についての検討をおこなった。平成19年度は、こころの健康づくりに役立ちうる休養・睡眠対策を抽出し、睡眠指導による介入研究を行った。

結果と考察
平成17年度の実態把握では、いずれの年代においても心の健康づくりのための休養対策として睡眠保健が重要であることが抽出された。さらに、勤労者の中にハイリスク者が多いことも明らかになった。平成18年度の休養と心の健康の関連に関する解析では、国民における睡眠不足者の実態把握と心の健康度の検討や勤労者の勤務形態と休養・心の健康に関する調査などを通じて、休養対策はストレス対策と一体として考えるべきであり、これによりこころの健康づくりに寄与することができると考えた。平成19年度の研究では、睡眠による休養を十分にとれていない人を減少させるためには、喫煙、食事、運動などに関する包括的な生活習慣指導が重要であることがわかった。企業における研修会で勤務者に不眠に対し短期間の睡眠衛生教育を行い効果がみられた。高校生において、短時間午睡のプログラムを作成し、健康増進に効果があることが分かった。一定の成果を得た。
結論
一般成人への休養対策として包括的な生活習慣指導の重要性、勤労者の休養対策や運動指導がストレス対策として実効性があること、不眠の治療が精神的健康度を高める可能性などの結果が得られた。さらに、介入研究から、学生、勤労者に対する睡眠衛生教育が睡眠の質的向上に役立ち、心の健康の増進に役立つことを明らかにした。この普及啓発は、今後健康日本21こころの健康づくりの目標値達成に資するものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200722001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
心の健康づくりにおける休養・睡眠のあり方について、一般国民、若年者、勤労者、ハイリスク者に関する現状の把握を行い、休養と心の健康の関連について多面的な検討の上、心の健康づくりにおける休養・睡眠対策の重要性を明らかにした。さらに休養対策はストレス対策と一体として考えるべきであることを示し、こころの健康づくりに役立ちうる休養・睡眠対策を抽出し、睡眠指導による介入研究を行った。これらから得られた成果が、国内および国際誌に発表された。
臨床的観点からの成果
ハイリスク者に関する実態把握および心の健康づくりにおける休養・睡眠対策の重要性検討の中で、不眠症患者、うつ病患者などに焦点を当て、その治療実態を明らかにし、治療の問題点について検討した。心の病の臨床における睡眠障害治療の重要性が明らかになった。さらに、睡眠障害治療が心の健康度を増進することを明らかにできた。今後の心の病の臨床における睡眠障害治療のあり方について、疫学的側面から提案できたとともに、心の病の臨床における休養対策の問題について焦点を当てることができた。
ガイドライン等の開発
本研究課題でガイドラインの開発には至らなかったが、実証データから国民における睡眠不足者の実態把握と心の健康度の検討や勤労者の勤務形態と休養・心の健康に関する調査などを通じて、休養対策はストレス対策と一体として考えるべきであり、これによりこころの健康づくりに寄与することができることを明らかにした。これをもとに、休養指針の骨子となる心の健康回復因子としての休養・睡眠と心の健康低下因子としてのストレスを一体化してとらえ、健康日本21の心の研究に関する3つのテーマを有機的に関連させることができた。
その他行政的観点からの成果
調節的に行政政策に反映された物はまだないが、本研究課題の成果として出版された論文や著書は多く、専門家から評価を受けたと同時に、20年度以降に心の健康と休養に関する新たな班研究がスタートすることになった点で今後の行政への貢献が期待されるものと思われる。さらに、本研究班の成果を基本として平成19年度に行われた国民健康栄養調査の休養・睡眠および心の健康と関連した主要な生活習慣項目の作成が行われた。これらは、今後の休養に関する研究をリードする物となっている。
その他のインパクト
本研究班で行われた個々の研究事業のなでいくつかのものがマスコミに取り上げられた。分担研究者である兼板佳孝がうつ病と睡眠に関する大規模実態調査を米国国際誌に投稿した際には平成18年に多くの新聞で睡眠時間とうつ病の関係が取り上げられた。分担研究者である内村直尚が久留米大学医学部神経精神科で行った高校生に対する睡眠保健教育についてはNHKニュースで取り上げられ、さらに平成19年10月16日のNHK総合のクローズアップ現代に取り上げられ、主任研究者である内山真が出演した。

発表件数

原著論文(和文)
7件
原著論文(英文等)
25件
その他論文(和文)
40件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
45件
学会発表(国際学会等)
10件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
2件
NHKテレビニュースなど、NHKクローズアップ現代

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Kaneita Y, Uchiyama M, Yoshiike N, et al
Associations of usual sleep duration with serum lipid and lipoprotein levels
SLEEP , 31 (5) , 642-652  (2008)
原著論文2
Léger D, Poursain B, Uchiyama M, et al
An international survey of sleeping problems in the general population
urr Med Res Opin , 24 (1) , 307-317  (2008)
原著論文3
Okawa M, Uchiyama M.
Circadian rhythm sleep disorders: characteristics and entrainment pathology in delayed sleep phase and non-24-h sleep-wake syndrome.
Sleep Med Rev , 11 (6) , 485-496  (2007)
原著論文4
Ohida T, Kaneita Y, Uchiyama M, et al
Is passive smoking associated with sleep disturbance among pregnant women?
SLEEP , 30 (9) , 1155-1161  (2007)
原著論文5
Kaneita Y, Uchiyama M, Ohida T, et al
Use of alcohol and hypnotic medication as aids to sleep among the Japanese general population.
Sleep Med , 8 (8) , 723-732  (2007)
原著論文6
Kaneita Y, Ohida T, Uchiyama M, et al
The relationship between depression and sleep disturbances: a Japanese nationwide general population survey
J Clin Psychiatry , 67 (2) , 196-203  (2006)
原著論文7
Hayakawa T, Uchiyama M, Kamei Y, et al
Clinical analyses of sighted patients with non-24-hour sleep-wake syndrome: a study of 57 consecutively diagnosed cases
SLEEP , 28 (8) , 945-952  (2005)
原著論文8
Kuriyama K, Uchiyama M, Suzuki H, et al
Diurnal fluctuation of time perception under 30-h sustained wakefulness
Neurosci Res , 53 (2) , 123-128  (2005)
原著論文9
Watanabe T, Ueda M, Okawa M, et al
High plasma concentrations of paroxetine impede clinical response in patients with panic disorder
Ther Drug Monit , 29 (1) , 40-44  (2007)
原著論文10
Inoue Y, Itoh H, Shimizu T, et al
Effects of zolpidem on cyclic alternating pattern, an objective marker of sleep instability, in Japanese patients with psychophysiological insomnia: a randomized crossover comparative study with placebo
Pharmacopsychiatry , 41 (3) , 106-114  (2008)
原著論文11
Ito SU, Kanbayashi T, Shimizu T, et al
Acute effects of zolpidem on daytime alertness, psychomotor and physical performance
Neurosci Res , 59 (3) , 309-313  (2007)
原著論文12
Echizenya M, Mishima K, Shimizu T, et al
Dissociation between objective psychomotor impairment and subjective sleepiness after diazepam administration in the aged people
Hum Psychopharmacol , 22 (6) , 365-372  (2007)
原著論文13
Enomoto M, Inoue Y, Namba K, et al
Clinical characteristics of restless legs syndrome in end-stage renal failure and idiopathic RLS patients
Mov Disord , 23 (6) , 811-813  (2008)
原著論文14
Miyamoto T, Inoue Y, Hirata K, et al
Reduced cardiac 123I-MIBG scintigraphy in idiopathic REM sleep behavior disorder
Neurology , 67 (12) , 2236-2238  (2006)
原著論文15
Inoue Y, Kanbayashi T, Shimizu T, et al
Narcolepsy without cataplexy: 2 subtypes based on CSF hypocretin-1/orexin-A findings
Sleep , 29 (11) , 1439-1443  (2006)
原著論文16
Nomura T, Inoue Y, Nakashima K
Clinical characteristics of Restless legs syndrome in patients with Parkinson's disease
J Neurol Sci , 250 (1) , 120-123  (2006)
原著論文17
Habukawa M, Uchimura N, Maeda M, et al.
Sleep findings in young adult patients with posttraumatic stress disorder
Biol Psychiatry , 62 (10) , 1179-1182  (2007)
原著論文18
Uchimura N, Nakajima T, Hayash K, et al
Effect of zolpidem on sleep architecture and its next-morning residual effect in insomniac patients: a randomized crossover comparative study with brotizolam
Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry , 30 (1) , 22-29  (2006)
原著論文19
Tamura Y, Chiba S, Takasaki H,
Biperiden-induced delirium model in rats: a behavioral and electroencephalographic study
Brain Res , 1115 (1) , 194-199  (2006)
原著論文20
Ikemoto K, Hirano S, Okawa M, et al
Effects of sunbathingon insomnia and behavioral disturbance of mental retardation
Sleep and Biological rhythms , 4 (2) , 175-178  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-10-06
更新日
-