新しい診断機器の検診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200720008A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい診断機器の検診への応用とこれらを用いた診断精度の向上に関する研究
課題番号
H18-3次がん-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 豊(国立がんセンター中央病院 内視鏡部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 哲也(獨協医科大学 消化器内視鏡センター)
  • 関口 隆三(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 杉村 和朗(神戸大学大学院 医学研究科  放射線医学)
  • 井上登美夫(横浜市立大学医学部  放射線医学教室)
  • 中山 富雄(大阪府立成人病センター 調査部疫学課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
46,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年開発された診断装置の診断能の検証ならびに既存の診断装置の改良および対象臓器の拡大などの検討から,効果的かつ効率的にがんを早期発見するための新しい検診法の開発を目的とする.
研究方法
(1)狭帯域分光内視鏡(NBI)および自家蛍光内視鏡(AFI)システムにおける消化管がん診断の有用性に関する検討,(2)バレット食道に対する小腸用カプセル内視鏡(PillCamTMSB)画像, (3) Tissue Harmonic Imaging(THI)法およびsonazoid造影剤を導入した超音波検診システムの有用性, (4)汎用型MRIによるがん全身スクリーニング法の開発, (5)PETがん検診における登録分析, 診断支援システムの開発について検討し, (6)各研究の成績に基づき、モデル分析の手法を用いて検診に投入した場合の効果予測や医療経済学的な問題点を探る.
結果と考察
(1)咽頭・食道癌に対する陽性的中率は,AFI, NBI, NBI拡大でそれぞれ85%, 92%, 93%であった.胃癌に対する視認性における優良の割合:AFIは通常の76%に比し84%であった。
(2)食道用カプセル内視鏡は,通常内視鏡とほぼ同等の所見が得られ,患者満足度も高かった.
(3)非侵襲的な超音波検査 (THI法)による癌発見率は従来法の0.05%に対し0.09%と著増を示した.また,造影剤超音波検査は転移性肝腫瘍の描出能がCT検査と同等かそれ以上であった.
(4)被曝のないDWIBS法を用いた大腸がんスクリーニングで感度,得意度共好成績が得られている.また撮像時間延長を起こさず撮像可能なTRON法を考案した.
(5)①「FDG-PETがん検診」の総受診件数は50施設で31,874件.このうちの1.06%にがんが発見された.②PET読影診断支援システムは,実用性の高いシステムであった.
(6)PETの費用を個別臓器の費用として4分の1で設定すると,大腸・肺がんにおいてPET検査が推奨された.
結論
(1)内視鏡検診において特殊光観察(NBI・AFI)の有用性が示唆された.
(2)カプセル内視鏡は,今後の改良により食道癌も含めた検診への応用が現実化する可能性が高い.
(3)腹部超音波検査においてTHI法および造影剤超音波検査は有用である.
(4)拡散強調画像を用いたMRIによるがんスクリーニングは有望である.
(5)PETがん検診は複数臓器を一度にスクリーニングすることが可能であり,経済性を考慮しても今後が期待される.

公開日・更新日

公開日
2008-05-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-01-22
更新日
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