文献情報
文献番号
200712003A
報告書区分
総括
研究課題名
がんの超早期診断・治療のための高感度分子イメージングプローブの開発
課題番号
H17-ナノ-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
佐治 英郎(京都大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 久下 裕司(北海道大学 医学研究科)
- 平岡 真寛(京都大学 医学研究科)
- 近藤 科江(京都大学 医学研究科)
- 福山 秀直(京都大学 医学研究科)
- 中本 裕士(京都大学 医学研究科)
- 村山 秀雄(独立行政法人 放射線医学総合研究所)
- 清水 公治(株式会社 島津製作所)
- 小関 英一(株式会社 島津製作所)
- 北村 圭司(株式会社 島津製作所)
- 小田 一郎(株式会社 島津製作所)
- 河野 理(株式会社 島津製作所)
- 熊澤 良彦(株式会社 島津製作所)
- 伏見 良治(株式会社 島津製作所)
- 山原 亮(株式会社 島津製作所)
- 齊木 秀和(株式会社 島津製作所)
- 原 功(株式会社 島津製作所)
- 矢嶋 敦(株式会社 島津製作所)
- 樋爪 健太郎(株式会社 島津製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
29,127,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究の目的は、がんの発生、転移の超早期から腫瘍細胞特異的に発生あるいは存在する分子をイメージングの標的とする病態生理学的観点と、標的に出来るだけ多くの放射能を集積させる製剤学的観点の両面を統合したアプローチにより、微小がんを超高感度で検出しうる分子イメージングプローブの開発を行い、がんの早期診断・治療に資することである。
これを達成するため、病態生理学的観点から、がんの発生、転移に関係する低酸素状態で安定化するタンパク質を選択し、製剤学的観点から、プレターゲティング法による標的指向性の向上とデンドリマーによる高感度化を行い、腫瘍の低酸素領域イメージング用分子プローブの開発を試みる。
これを達成するため、病態生理学的観点から、がんの発生、転移に関係する低酸素状態で安定化するタンパク質を選択し、製剤学的観点から、プレターゲティング法による標的指向性の向上とデンドリマーによる高感度化を行い、腫瘍の低酸素領域イメージング用分子プローブの開発を試みる。
研究方法
放射標識ビオチン誘導体として123I-IBBおよび18F-FBBを設計・合成し、プレターゲティング法を利用するインビボ核医学イメージングを行った。また、プレターゲティング後に蛍光色素を投与する光イメージングについても検討した。さらに放射能集積部位と、免疫組織化学的手法により同定した低酸素領域との比較検討を行った。また、デンドリマーの18F標識を行い、その腫瘍集積性を調べた。
結果と考察
昨年度までに開発した酸素依存的分解タンパク質であるPCOSと123I-IBBを結合させて投与したときには、投与24時間後に腫瘍が明瞭に描出されたが、PCOSをプレターゲティングした場合では123I-IBB投与6時間後で腫瘍イメージングが達成された。18F-FBBではさらに短時間(投与3時間後)でのイメージングが可能であった。また光イメージングにおいても蛍光色素投与2時間後で腫瘍が描出された。以上の結果から、プレターゲティング法が撮像時間の短縮に有効であることが明らかとなった。さらに低酸素マーカー存在領域の周辺に放射能集積が認められ、PCOSが低酸素領域へ分布することが明らかとなった。また、18F標識デンドリマーの高収率合成に成功するとともに腫瘍への高集積を示すことを見出し、本法が高感度イメージングに有効な手法となり得ることが示された。
結論
本研究成果は、低酸素領域を標的とする高感度分子イメージング法の実現を示すものであり、本法によりがんの早期診断、質的診断、治療方針の決定、治療評価が可能となりうる。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-