インフルエンザワクチン需要予測に関する研究

文献情報

文献番号
200637013A
報告書区分
総括
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学 健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
 医療機関等に対し、シーズン前(平成18年9月)に協力を依頼し、シーズン終了後(平成18年3月)に調査票の回収を行った。調査対象施設数は、(社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が平成15年度に1本以上を供給した全国75,997施設から、都道府県を層として抽出した4,874施設とした。調査項目はワクチン購入本数、年齢・接種方法別接種人数とした。
2.住民を対象とした接種意向調査
 高齢者,幼児・児童,成人の3グループを対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。調査対象は調査会社とモニター契約を結んだ2,615世帯である。調査項目は、平成18年度におけるワクチン接種希望と実際の接種の有無(有りの場合は自己負担額)および平成19年度のワクチン接種意向とJoint Estimationのための設問とした。
結果と考察
1.平成18年度における実際のインフルエンザワクチン使用本数は厚生労働省調べで1,878万本であり、本研究者等の昨年度の推計値は、医療機関調査で22.0-21.3%多く、住民調査で14.3%多かったことが明らかとなった。
2.平成18年度のインフルエンザワクチン接種率は、1歳未満9.0%、1歳以上6歳未満51.8%、6歳以上13歳未満37.0%、13歳以上65歳未満18.4%、65歳以上51.3%で、世代間格差がみられ、全体では28.0%と推定された。この接種率を平成17年度と比較すると、全ての年齢区分で減少していた。
3.医療機関等を対象とした接種状況調査にもとづいて、回答医療機関等の偏りの補正、過去2シーズンの経験よる予測接種者数の補正および廃棄量の推定により、平成19年度のワクチン需要数を推計すると、約1,951万本から約2,006万本となった。
4.住民を対象とした接種意向調査から平成19年度のワクチン需要数は約2,081万本と推計された。
結論
 インフルエンザワクチンの需要動向は、インフルエンザの流行状況、他疾患の流行状況、接種勧奨の程度、マスコミ等の報道のされ方などによって、大きく変化することを考慮すると、インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期に渡る継続した調査が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-12-24
更新日
-

文献情報

文献番号
200637013B
報告書区分
総合
研究課題名
インフルエンザワクチン需要予測に関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-014
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
三浦 宜彦(埼玉県立大学保健医療福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 延原 弘章(高崎健康福祉大学健康福祉学部)
  • 大日 康史(国立感染症研究所)
  • 渡辺 由美(高崎健康福祉大学健康福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はインフルエンザワクチンの需要量の推計方法を確立することを目的とする。
研究方法
1.医療機関等を対象とした接種状況調査
 医療機関等に対し、シーズン前に協力を依頼し、シーズン終了後に調査票の回収を行った。
 社)日本医薬品卸業連合会加盟の医薬品卸売業者が15年度に1本以上を供給した医療機関、老人保健施設および福祉施設(以下「医療機関等」)75,997施設の中から、都道府県を層として無作為に調査対象施設の抽出を行った。抽出した医療機関等の施設数は、平成16年度が5,083施設、17年度が5,099施設、18年度が4,874施設である。
2.住民を対象とした接種意向調査
 高齢者,幼児・児童,成人の3グループを対象としてインフルエンザワクチンの接種意向調査を行った。調査対象世帯は平成17年度880世帯、18年度2,615世帯、19年度2,615世帯である。
結果と考察
1.平成6年の法改正により、インフルエンザ予防接種は任意接種に変わり、全国的な接種率の把握については困難な状況にあるが、継続的な調査により、全体の接種率は低いものの上昇傾向にあることや世代間格差の大きいことが判明した。
2.医療機関調査では、本調査によるワクチン使用量と厚生労働省が公表しているワクチン使用量との比によって補正を行なったが,この補正を都道府県別に行なうことによってさらに正確な補正が可能となると考えた。
3.平成18年度には,上記の補正のほかに,1回の接種量を薬事法の用量どおりとし,さらに廃棄率を推計して加味する方法へと改良を試みた。
4.住民調査では、平成17年の需要量について、SARSや鳥インフルエンザが国内で発生した場合の検討を行い、最大2,500万本近い需要があるものと予測されたが、実際に発生した場合、マスコミ等の報道のされ方によっても需要動向は大きく変化することが考えられた。
結論
1.医療機関調査による需要本数の予測に際して、1回あたりの接種量は、薬事法の用量どおりと仮定して、数パーセント程度の廃棄量を加算するのが適当である。また、この予測には、接種者数の予測が重要であり、そのためには、接種者数や接種率についての動向を経年的に把握することが不可欠である。
2.インフルエンザワクチンの需要動向には、SARSや鳥インフルエンザの流行が影響するものと考えられたが、マスコミ等の報道のされ方によるところも大きい。
3.インフルエンザワクチン需要量の定型的な推計方法を確立するためには、長期にわたる継続的な調査が必要である。

公開日・更新日

公開日
2008-12-24
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637013C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ここ7年にわたる研究の結果、我が国のインフルエンザワクチン接種率の年次推移(平成12年-18年)を初めて明らかにした。
臨床的観点からの成果
重症化予防やインフルエンザ流行を抑える効果のあるインフルエンザワクチン接種が、任意接種となっているため需要量の把握が困難な状況下である。その需要量を予測することはインフルエンザ対策に寄与している。
ガイドライン等の開発
平成17年、18年のインフルエンザワクチン需要検討会において研究成果を報告。平成19年度の検討会においても報告予定。
その他行政的観点からの成果
本研究結果は平成14年度以降のインフルエンザワクチン需要検討会の資料として提出され、各年度のインフルエンザワクチン製造量が決定されている。
その他のインパクト
需要検討会の結果はマスコミが報道した。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦,中井清人
2004/05年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
厚生の指標 , 52 (13) , 30-37  (2005)
原著論文2
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦,中井清人
2005/06年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
厚生の指標 , 53 (6) , 15-23  (2006)
原著論文3
延原弘章,渡辺由美,三浦宜彦,中井清人
2006/07年シーズンにおけるインフルエンザワクチンの需要予測
厚生の指標 , 54 (13) , 44-52  (2007)
原著論文4
Ohkusa.Y
Policy evaluation for the subsidy for influenza vaccination in elderly
VACCINE , 23 , 2256-2260  (2005)

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-