日本薬局方等医薬品基準の国際ハーモナイゼーションに関する研究

文献情報

文献番号
200637012A
報告書区分
総括
研究課題名
日本薬局方等医薬品基準の国際ハーモナイゼーションに関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 小嶋 茂雄(医薬品医療機器総合機構)
  • 早川 堯夫(医薬品医療機器総合機構)
  • 関田 節子(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 吉岡 澄江(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 中村 洋(東京理科大学 薬学部)
  • 松田 芳久(神戸薬科大学)
  • 青柳 伸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 宮田 直樹(名古屋市立大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方に収載されている試験法や医薬品各条規格などについて、科学技術水準の向上を取り入れながら、国際調和を目指した今後の改定のための提言をまとめた。
研究方法
第15改正日本薬局方以降、国際調和に向けて議論の対象となる事項に関連する研究課題を抽出し、調査研究ならびに実験的検証を行った。
結果と考察
1.化学合成医薬品関連:製薬用水各条の改定に向けて、導電率および有機体炭素を中心に純度試験の規格を設定することの妥当性を検討した;2.生物医薬品関連:欧州薬局方エリスロポエチン標準品の新旧ロットの特性解析を行い、キャピラリー電気泳動法およびSDS-PAGE/イムノブロット法の妥当性と問題点を明らかにした;3.生薬関連:香港市場の加工附子の調査に協力して、加工法の異なる附子片のアルカロイド含量の測定を行った;4.医薬品添加剤関連:各種高分子添加剤について相対湿度と水分吸着能の関連を調べ、水分関連の物性表示に必要な記載内容についての考え方を確立した;5.理化学試験法関連:近赤外分光法を用いて糖(アルコール)類とアスパルテーム混合物の吸湿様式を解析し、糖(アルコール)類の吸湿性の時間変化が吸着等温線に帰属できることを明らかにすると共に、医薬品添加剤の吸湿様式の解析における近赤外分光法の有用性を示した。;6.物性試験法関連:レーザー回折法を用いた粉体粒度測定法について、試料の前処理条件および粒子屈折率の設定法に関する留意点を明らかにした;7.製剤試験法関連:個別の製剤の溶出試験規格の三局間における統一を目的として、新薬に対する溶出試験規格の設定法について検討を行い、規格値設定の基準となる製剤の条件、試験条件の設定、Q値を用いた規格値設定の仕方に至るまでの考えを示した;8.名称関連:我が国の個々の医薬品について、薬食審発第0331013号「日本薬局方の日本名変更に伴う医薬品の一般的名称(JAN)の取扱いについて」に基づき、変更を必要とする一般的名称を明らかにした。
結論
日本薬局方における試験法(生物薬品の理化学試験法、粉体物性測定法、分光学的測定法)ならびに各条規格(製薬用水の純度試験、ブシのアルカロイド含量、医薬品添加剤の吸湿性、溶出性)の国際調和に向けた提言をまとめた。さらに、国際調和された命名法に基づいて変更が必要な我が国の医薬品の一般的名称を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-02-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200637012B
報告書区分
総合
研究課題名
日本薬局方等医薬品基準の国際ハーモナイゼーションに関する研究
課題番号
H16-医薬-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
川西 徹(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 小嶋 茂雄(医薬品医療機器総合機構)
  • 早川 堯夫(医薬品医療機器総合機構)
  • 関田 節子(徳島文理大学 香川薬学部)
  • 吉岡 澄江(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 中村 洋(東京理科大学 薬学部)
  • 松田 芳久(神戸薬科大学)
  • 青柳 伸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 宮田 直樹(名古屋市立大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方(JP)に収載されている試験法や医薬品各条規格などについて、科学技術水準の向上を取り入れながら、国際調和を目指した今後の改定のための提言をまとめた。
研究方法
JPに新規収載される事項、ならびに、国際調和で課題となっている事項に関連する課題を抽出し、調査研究ならびに実験的検証を行った。
結果と考察
1.化学合成医薬品関連:膜法により製した水の信頼性に関する検討、および、製薬用水各条の純度試験の規格に関する検討を行い、製薬用水に関するJPの方針を確立する上での基礎となる重要な知見を得た;2.生物医薬品関連:分子量測定を原理としたタンパク質性医薬品の試験法、および、糖たん白質性医薬品の品質評価法に関する検討を行い、各試験法を各条に適用するにあたっての留意点を示した;3.生薬関連:キューバ、中国、韓国、ヴェトナム、香港の各薬局方における生薬各条の試験法について日本薬局方との比較を行うとともに、各国への技術的支援を行った;4.医薬品添加剤関連:医薬品添加剤の機能性関連物性、添加剤中に添加された添加物、および、水分関連物性について検討し、日本薬局方の今後の方針について提言をまとめた;5.理化学試験法関連:近赤外分光法の新規収載に向けて、高速液体クロマトグラフィー用充填剤の特性解析、製薬原料粉体の品質管理、ならびに、糖(アルコール)類・アスパルテーム混合物の吸湿性測定における近赤外分光法の有用性を明らかにした;6.物性試験法関連:剪断セル法による粉体の流動性測定、ならびに、レーザー回折法による粉体粒度測定に関して、具体的な測定法や測定条件を検討した;7.製剤試験法関連:溶出試験のシステム適合性試験の国際調和に向けて、試験結果の変動要因を検討した。また、溶出試験規格の設定法についての考え方を示した。;8.名称関連:第15改正日本薬局方で採用された新しいJP name(日本名)命名法を確定し、ルールを文書化するとともに、我が国の個々の承認医薬品の一般的名称について具体的な対応を検討し、変更を必要とする一般的名称を明らかにした。
結論
日本薬局方の一般試験法と各条規格について、国際調和を目指した研究を行い、今後の改正に反映されるべき成果を得た。本研究の成果は、ICH(医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議)やPDG(薬局方検討会議)などの国際的な場で、日本側の主張に科学的根拠を与えるものとなる。

公開日・更新日

公開日
2007-04-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-02-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200637012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
日本薬局方(JP)に収載されている試験法や医薬品各条規格などについて、科学技術水準の向上を取り入れながら、国際調和を目指した今後の改正のための提言をまとめた。本研究の成果は、JPの第14改正第二追補および第15改正に反映され、JPが国際社会の中で医薬品の品質の規範書として先進性を保ち、かつ発展させる事に貢献した。また、ICH(医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議)やPDG(薬局方検討会議)等の国際的な場での日本側の主張に科学的根拠を与えるものとして本研究成果が活用された。
臨床的観点からの成果
本研究成果を反映してJPが改正されることにより、収載医薬品の本質や、品質を総合的に保証するための規格及び試験法を正確且つ速やかに医療従事者に周知することが可能になる。また、JPは、製薬企業が医薬品を承認申請、品質管理する際の規格および試験法の標準書として活用されているため、JPの改正によって医薬品の品質確保がより確かなものとなり、国民の安心安全、健康確保に大きく貢献する。
ガイドライン等の開発
第14改正第二追補および第15改正JP告示の原動力となったことにとどまらず、平成18年3月31日付け薬食審発第0331013号「日本薬局方の日本名変更に伴う医薬品の一般的名称(JAN)の取扱いについて」、同3月31日付け薬食発第0331005号「第十五日本薬局方の制定等について」別紙13(旧薬局方日本名を改正した品目など)、同10月2日付け医薬食品局審査管理課事務連絡「我が国における医薬品の一般的名称の変更(案)に関する意見の募集について」など数多くの医薬品品質関連ガイドラインに反映されている。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果は、JP改正に関する審議を行う薬事・食品衛生審議会局方部会関連の各委員会での審議に活用され、委員会での議論に科学的根拠を与えるものとなった。すなわち、本研究は、医薬品の承認審査における品質審査の基準、あるいは、監視指導での品質確保の標準書として活用されるJPの改正を通じて、医薬品の品質に関する薬事行政の円滑かつ効率的推進に貢献するものである。また、薬局方の国際調和が進展することにより、日米欧の行政当局が医薬品の品質を同じ基準で評価することが可能になる。
その他のインパクト
JPの改正を通じて、医薬品の品質に関する情報を国民に適切に伝えることができた。また、国際的学術雑誌や国内の専門誌にも本研究の成果を掲載し、我が国の承認医薬品の品質確保に関する最新動向を広く周知することができた。医薬品の名称の改正と国際調和に関する研究の成果の一部は、日本医薬品一般名称データベースとしてインターネットで公開されている。生物薬品の試験法研究に基づき開発された糖鎖試験法に関連して、特許出願を行った。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
39件
その他論文(和文)
35件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計4件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
31件
その他成果(普及・啓発活動)
13件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
T. Kobayashi, H. Kawai, T. Suzuki, et al.
Improved sensitivity of insulin in matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry by premixing α-cyano-4-hydroxy- cinnamic acid with transferrin.
Rapid Commun. Mass Spectrom. , 18 , 1156-1160  (2004)
原著論文2
T. Suzuki, T. Mogami, H. Kawai, et al.
Screening of novel nuclear receptor agonists by a convenient reporter gene assay system using green fluorescent protein derivatives.
Phytomedicine , 13 , 401-411  (2006)
原著論文3
S. Itoh N. Kawasaki, N. Hashii, et al.
N-linked oligosaccharide analysis of rat brain Thy-1 by liquid chromatography with graphitized carbon column/ion trap- Fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometry in positive and negative ion modes.
J. Chromatogr. A. , 1103 , 296-306  (2006)
原著論文4
S. Niimi, M. Harashima, M. Gamou, et al.
Expression of annexin A3 in primary cultured parenchymal rat hepatocytes and inhibition of DNA synthesis by suppression of annexin A3 using RNA interference.
Biol. Pharm. Bull. , 28 , 424-428  (2005)
原著論文5
H. Kawai, T. Suzuki, T. Kobayashi
Simultaneous real-time detection of initiator- and effector-caspase activation by double FRET analysis.
J. Pharmacol. Sci. , 97 , 361-368  (2005)
原著論文6
N. Hashii, N. Kawasaki, S. Itoh, et al.
Specific detection of Lewis x-carbohydrates in biological samples using liquid chromatography / multiple- stage tandem mass spectrometry.
Rapid Commun. Mass Spectrum. , 19 , 3315-3321  (2005)
原著論文7
S. Itoh, N. Kawasaki, A. Harazono, et al.
Characterization of a gel-separated unknown glycoprotein by liquid chromatography/ multistage tandem mass spectrometry. Analysis of rat brain Thy-1 separated by sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis.
J. Chromatogr. A. , 1094 , 105-117  (2005)

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-