都道府県における医療計画の現状把握と分析に関する研究

文献情報

文献番号
200634091A
報告書区分
総括
研究課題名
都道府県における医療計画の現状把握と分析に関する研究
課題番号
H18-医療-一般-012
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学大学院政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 河口 洋行(国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、全国の一般的な三次救急医療を担う医療資源への地域住民のアクセスの公平性を検討するとともに、特に埼玉県を対象としてより詳細に救急医療提供体制を明らかにし、二次救急医療体制の集約化等の問題点の解決方策を提示すること、そして東京都の在宅療養支援診療所の実態の解明が目的である。
研究方法
GIS(Geographical Information System)ソフトウェアを用い、日本全国を対象に市区町村単位で役場の位置から最寄りの3次救急施設までのアクセス時間ならびにより詳細に埼玉県の救急医療体制の分析を行った。茨城県については、予備的調査を実施した。加えて在宅療養支援診療所の東京都内での普及状況および日常診療活動の現状をアンケート調査を通じて分析し、機能上の問題点を明らかにした。
結果と考察
全国の市町村単位でのアクセス時間の平均値は47.14分、中央値は39分であり、標準偏差は33.1分であった。埼玉県、茨城県も救急搬送時間や取り扱い人口の地域格差が認められた。これらは道路整備状況や医療機関の立地、人口の偏在が誘因となっていると考えられる。東京都の在宅療養支援診療所は、訪問診療に特化する診療所が全体の11.5%、外来診療が中心で訪問診療も行っているところが31.0%であった。地域連携パスがないと答える診療所が86.9%あった。まだ、制度が定着していないことがこれらの一因と考えられる。
結論
国民に対して公平な救急医療体制の提供は至上命令であるが、救急アクセス時間の短縮と救急施設の充実や機能分化との間には、いわゆるトレードオフ関係があるので、それを念頭において最適なバランスを取る必要がある。本研究により全国の三次救急医療提供体制の地理的・時間的問題点が描出されたが、今後は、その結果を医療計画の立案・評価に活かすことが重要であると考える。在宅医療については、診療所の中にも在宅医療に関わるスタイルは個性があり、診療の規模に応じた仕組みづくりを再考すべきである。医療計画の中でも地域に密着した在宅医療提供体制を構築すべきである。

公開日・更新日

公開日
2008-04-08
更新日
-