ベッドサイド自動安全監視システムに関する研究

文献情報

文献番号
200634023A
報告書区分
総括
研究課題名
ベッドサイド自動安全監視システムに関する研究
課題番号
H16-医療-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 博史(東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット)
  • 佐久間 一郎(東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境学専攻 人間環境学講座)
  • 美代 賢吾(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 松谷 司郎(東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICタグでマーキングした医療者・患者・医療機器・医療材料・医薬品などを、ベッドサイドで自動識別したり、輸液ポンプの動作状況と電子カルテのオーダー内容との整合性チェックを行うことにより、起こりそうな医療事故アルタイムに警告する新しいタイプの医療事故防止手法の開発をめざす。
研究方法
ベッドサイド点滴環境でのICタグの可読範囲と技術的課題を実機を使用して検証した。次に、輸液ポンプから一定時間間隔ごとに動作状態を読み取って無線LANで送信し、点滴速度等のオーダ情報とリアルタイムで照合するソフトウエアを試作し実験を行った。さらに輸液ポンプなどの医療機器、医療者にアクティブICタグをとりつけ医療機関内に設置した複数の無線LANアクセスポイントに達する電波強度の解析から概略の院内位置情報を検出するシステムの実証をおこない、これと組み合わせたリアルタイム警告システムの可能性を検討した。
結果と考察
点滴ボトルと輸液ライン、輸液ポンプ、設定装置、設定値確認画面と注射処方情報とがマッチすることでエラーを防止できる可能性がある。しかし輸液ラインのクレンメの操作ミスなど検出が不可能なものも多い。ICタグの通信可能性を定量的に計測した実験では、ICタグの傾きがアンテナ面との傾き角0≦θ≦40の範囲内において使用することが望まれた。輸液ポンプの状態とオーダ情報との自動整合性チェックでは、期待された警告が出せることが示されたが、ポンプと患者とを自動的に対応づける簡便な手法の開発が必要であった。院内の位置検出は精度的には数mの誤差があるものの、異常状態にある機器、あるいは警告を伝達すべき医療者の位置把握には活用できる可能性が高い。ただ、4床室など多床病室内での患者相互間の取り違いを検出するには位置精度不足であり、別の方法との組み合わせが必要になると考えられた。
結論
ICタグチップによる輸液バッグの検出は機器、医療者の位置検出は精度的に改善の余地はあるものの医療ミスの自動検出がある程度可能であることが示唆された。また、輸液ポンプ設定状態や動作状態のリアルタイム送信によるオーダ情報との自動照合システムは十分実用になる可能性が高かった。総合的には、ベッドサイドで発生しつつある事故につながる危険のある状態を無線LANなどによりリアルタイムで集中的に監視する医療安全管理方法は実現の可能性が十分にあるといえる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-03
更新日
-

文献情報

文献番号
200634023B
報告書区分
総合
研究課題名
ベッドサイド自動安全監視システムに関する研究
課題番号
H16-医療-一般-026
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 博史(東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット)
  • 佐久間 一郎(東京大学大学院新領域創成科学研究科 環境学専攻 人間環境学講座)
  • 美代 賢吾(東京大学医学部附属病院企画情報運営部 )
  • 田中 勝弥(東京大学医学部附属病院企画情報運営部 )
  • 松谷 司郎(東京大学大学院医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医療安全・医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バーコードやICタグを自動識別することにより、患者の取り違えや誤投薬などを未然にリアルタイムに警告するまったく新しいタイプの医療事故防止手法を開発することを目指す。また輸液ポンプの動作状況と電子カルテのオーダー内容との整合性チェックを行うことにより、起こりそうな医療事故アルタイムに警告する新しいタイプの医療事故防止手法の開発をめざす。
研究方法
次の9事項について研究を実施した。1.患者周辺における医療機材・医薬品、医療者の自動識別手法の基礎実験、2.ベッドサイドモーションキャプチャーシステムの検討、3.ベッドサイド輸液ポンプの動作状況検知システム、4.患者・医療者・医療機器のリアルタイム院内位置把握システムの設計と検討、5.動画・静止画画像解析による医療者等の認識、6.輸液ポンプ使用状況下でのICタグ通信の技術評価、7.安全監視とベッドサイド環境の統合要件の抽出、8.リアルタイムオーダ照合機能とその知識ベース構築の検討、9.大規模に集積された患者情報の中から効率的な異常値発見
結果と考察
ベッドサイドTVカメラによる医療者の顔認識、ネームバーコードの自動認識は実用化は困難と考えられた。一方、アクティブICタグを医療スタッフに装着してベッドへの接近者を自動認識すること、輸液ボトルにアクティブチップを装着し自動識別することは可能であった。パッシブタグの装着では、点滴スタンド下部から上部にむけて指向性の強い電波を発射すれば識別は可能である。医療機器の所在認識については、移動頻度の高い輸液ポンプにアクティブセンサーを装着しセンサーネットワークを形成する実験を行い、10m程度以内に他のセンサーがある環境での連携実験に成功した。輸液ポンプの状態とオーダ情報との自動整合性チェックでは、期待された警告が出せることが示されたが、ポンプと患者とを自動的に対応づける簡便な手法の開発が必要であった。院内の位置検出は精度的には数mの誤差があるものの、異常状態にある機器、あるいは警告を伝達すべき医療者の位置把握には活用できる可能性が高い。
結論
ICタグチップによる医療ミスの自動検出が可能である。また、輸液ポンプ設定状態や動作状態のリアルタイム送信によるオーダ情報との自動照合システムは十分実用になる。総合的には、ベッドサイドで発生しつつある事故につながる危険のある状態を無線LANなどによりリアルタイムで集中的に監視する医療安全管理方法は実現の可能性が十分にある。

公開日・更新日

公開日
2009-04-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200634023C