文献情報
文献番号
200631004A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ治療における新規生物学的製剤の治療方針の作成及びその検証に関する研究
課題番号
H16-免疫-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 信之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
研究分担者(所属機関)
- 當間 重人((独)国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
- 山中 寿(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
- 沢田 哲治(東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ科)
- 井田 弘明(長崎大学医学部・歯学部附属病院第一内科)
- 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科病態内科学)
- 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センター第二内科)
- 石ヶ坪良明(横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学)
- 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻)
- 針谷 正祥(東京医科歯科大学臨床試験管理センター)
- 朝野 和典(大阪大学医学部附属病院感染制御部)
- 田中 良哉(産業医科大学第一内科)
- 西本 憲弘(大阪大学大学院生命機能研究科)
- 津谷 喜一郎(東京大学大学院薬学系研究科医薬経済学)
- 中島 敦夫(日本医科大学リウマチ科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
関節リウマチ(RA)における生物学的製剤の適正使用のために、治療ガイドラインの作成・検証、生物学的製剤使用患者データベースの構築を行う。
研究方法
1) 生物学的製剤使用RA患者登録システム[REAL]の構築:当事業内科系3班(主任研究者;宮坂信之、竹内 勤、江口勝美)に参加する17施設を対象としてオンライン登録を行う。
2) 当事業内科系3班による生物学的製剤使用ガイドラインの策定と呼吸器感染症鑑別診断フローチャートの作成。
3) 生物学的製剤使用中に発生するニューモシスチス肺炎(PCP)の全国調査: PAT(The study group of Pneumocystis Pneumonia under anti-TNF therapy)研究グループを構築し、全国から収集したPCP症例の臨床的特徴を解析する。
4) RA患者における結核と悪性腫瘍発生頻度の解析:iR-netデータベース(Ninja)を用いる。
2) 当事業内科系3班による生物学的製剤使用ガイドラインの策定と呼吸器感染症鑑別診断フローチャートの作成。
3) 生物学的製剤使用中に発生するニューモシスチス肺炎(PCP)の全国調査: PAT(The study group of Pneumocystis Pneumonia under anti-TNF therapy)研究グループを構築し、全国から収集したPCP症例の臨床的特徴を解析する。
4) RA患者における結核と悪性腫瘍発生頻度の解析:iR-netデータベース(Ninja)を用いる。
結果と考察
研究結果
1) 平成18年11月末現在971例(生物学的製剤群536例、コントロール群435例)が登録された。
2) インフリキシマブとエタネルセプトの使用ガイドラインを統合した統一ガイドラインを作成した。また、生物学的製剤使用時に患者に発熱、咳、呼吸困難などがみられた際の診断フローチャートを作成した。これらは日本リウマチ学会で承認をされた後、臨床現場に配布をされている。
3) 独立したPCP発症危険因子として、年齢65歳以上(ハザード比 3.77)、肺疾患の合併(2.54)、プレドニゾロン投与量6mg以上(3.76)が同定された。
4) RA患者の結核標準化罹病率(SIR)は2.80(男性1.45、女性5.12)であった。また、女性RA患者の悪性リンパ腫SIRは6.64と高値を示した。
考察
本年度の研究を通じて、我が国初の生物学的製剤使用RA患者データベースが構築され、生物学的製剤使用及び非使用患者の対比が初めて可能となった。また、治療ガイドラインの改訂、呼吸器合併症診断フローチャートの作成などによって副作用の実態、副作用の早期診断法及び早期治療法などが確立されつつある。
1) 平成18年11月末現在971例(生物学的製剤群536例、コントロール群435例)が登録された。
2) インフリキシマブとエタネルセプトの使用ガイドラインを統合した統一ガイドラインを作成した。また、生物学的製剤使用時に患者に発熱、咳、呼吸困難などがみられた際の診断フローチャートを作成した。これらは日本リウマチ学会で承認をされた後、臨床現場に配布をされている。
3) 独立したPCP発症危険因子として、年齢65歳以上(ハザード比 3.77)、肺疾患の合併(2.54)、プレドニゾロン投与量6mg以上(3.76)が同定された。
4) RA患者の結核標準化罹病率(SIR)は2.80(男性1.45、女性5.12)であった。また、女性RA患者の悪性リンパ腫SIRは6.64と高値を示した。
考察
本年度の研究を通じて、我が国初の生物学的製剤使用RA患者データベースが構築され、生物学的製剤使用及び非使用患者の対比が初めて可能となった。また、治療ガイドラインの改訂、呼吸器合併症診断フローチャートの作成などによって副作用の実態、副作用の早期診断法及び早期治療法などが確立されつつある。
結論
我が国と欧米との間に存在する人種差、社会経済学的背景の差、医療システム及び水準の差などを考慮すると、RA治療における新規生物学的製剤使用患者のデータベースの作成と継続、生物学的製剤の治療ガイドラインの改訂とその検証は必要不可欠であると思われる。
公開日・更新日
公開日
2007-07-13
更新日
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