文献情報
文献番号
200628013A
報告書区分
総括
研究課題名
SARS、バイオテロ、インフルエンザ対策としてのリアルタイム・アウトブレーク・サーベイランス・システム構築のための基礎的研究
課題番号
H16-新興-一般-042
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
大日 康史(国立感染症研究所感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 杉浦弘明(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 中山裕雄(中山小児科内科医院)
- 村田厚夫(医療法人和白病院)
- 奥村徹(佐賀大学医学部)
- 谷口清州(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 重松美加(国立感染症研究所感染症情報センター)
- 西藤成雄(医療法人西藤こどもクリニック)
- 菊池清(島根県立中央病院)
- 児玉和夫(医療法人児玉医院)
- 岸川政信(済生会福岡総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本年度は3年計画の最終年であるので、これまで行ってきた基礎的な研究をまとめる意味で、自動化されたシステム、また還元情報のコンテンツ作成、また提供に関する検討を行う。
研究方法
外来受診時の症候群サーベイランスについては 医療機関内で情報収集し、解析してきた結果を、一カ所に集約し地域の情報として還元し、「情報収集」から、「解析」、「通信」、「情報還元」までの流れを全自動化し、翌日早朝には配信するシステムを構築する。救急車搬送の症候群サーベイランスについては、より実用的な運用を考え、データ入力から統計学的処理、視覚的な表示までを半自動化したシステムを開発する。院外処方箋における症候群サーベイランスは、同一チェーンに属する15薬局を対象とし、解熱鎮痛剤と総合感冒薬の2種類を検討する。一般用医薬品の症候群サーベイランスでは、OTC売上げで早期探知とする情報を都道府県単位でGISを用いて表現し検討を行う。院内感染早期探知症候群サーベイランスでは、入院時点で該当する症状を有している患者を除外し、病棟単位で、全ての作業を全自動化し、対応までも含めた実用化を実現する。
結果と考察
外来受診時の症候群サーベイランスについてはシステムは構築を完了し、2007年1月からは4医療機関で運用した。救急車搬送の症候群サーベイランスについては、開発を成功裏に終了し、東京消防庁に納め、活用を依頼した。院外処方箋における症候群サーベイランスでは調剤薬局単位での解熱鎮痛剤処方では季節性は弱いか存在しないことがあきらかになった。一般用医薬品の症候群サーベイランスではOTC売上げによる流行探知を、都道府県単位でGISを用いて表現し、都道府県別のインフルエンザ流行状況と比較して、視覚的に表現することができた。院内感染早期探知症候群サーベイランスでは 2006年8月までに、入院時症状の除外を除いたシステムの構築が完了し、全自動で運用を開始した。
結論
NESIDにおいて症候群サーベイランスがそのサブユニットとして構築されている国の症候群サーベイランスは、医療機関からのインターネットを通じて手動での入力であるために、非常に大きな負担を医療機関にかける。そのために常時運用は極めて困難で、網の目の粗い感度の低い情報しか収集できない。その意味で、本研究が提示した完全自動で運用される外来受診時症候群サーベイランスはその具体的な答えであると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2007-03-27
更新日
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