高齢者と障害者のケアの統合化と効率性に関する政策研究

文献情報

文献番号
200626026A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者と障害者のケアの統合化と効率性に関する政策研究
課題番号
H18-障害-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
岡田 進一(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡田 まり(立命館大学 産業社会学部)
  • 所 道彦(大阪市立大学・大学院 生活科学研究科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、高齢者および障害者の特性を考慮しながら、どのような点が高齢者と障害者のケア提供で共通している点なのかを明らかにする。そして、地域の高齢者と障害者に対する統合ケア提供のガイドラインとその研修方法を明示する。本年度は、高齢者および精神障害者に対するケアマネジメントを行っている者(介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士など)に対する共通点および相違点を明らかにする。
研究方法
アンケート質問紙を用いた量的調査およびインタビューを用いた質的調査を併用しながら本研究を進めた。量的調査における対象者の選択においては、WAMNETなどを活用し、全国の居宅支援事業所、精神障害者関連施設などを抽出し、回答を依頼した。また、インタビューでは、分担研究者が関わっているプログラムなどの職員にインタビューを実施した。
結果と考察
高齢者に対するケアマネジメントを担っている介護支援専門員が行っているケアマネジメントは、プロセスなどではかなり標準化されて、実施されていることが明らかとなった。サービス決定でのプロセスでは、地域内の事前アセスメントや目標設定の基準を明確に捉えている介護支援専門員が、具体的支援を適切に行っていた。介護支援専門員が研修を受けている内容は、ケアマネジメント論および認知症ケアの割合が多く、次いで、面接技法および権利擁護となっていた。従って、統合化を意識する場合、研修内容に、障害者福祉論および地域資源論などを含めると、現在の介護支援専門員でも、障害者ケアマネジメントを実施できる可能性が高いことが明らかとなった。精神障害者に対するケアマネジメントにおいては、病院等の精神保健福祉士が行っていることが多いが、研修内容が整備されていないことが多く、必ずしもプロセスなどの標準化がなされていないことが明らかとなった。ただし、地域ケアに関する関心は高く、標準化された精神障害者ケアマネジメントを行う準備段階ではあるが、精神保健福祉士の地域格差が大きいことも明らかとなった。
結論
 ケアの統合化においては、障害者特性を配慮しながら行われなければならないが、潜在的な可能性として、現在の介護支援専門員の再教育の徹底を図り、障害者福祉論、社会資源論、地域ケア論、相談援助論、エンパワメント論などの科目の充実を図れば、ケアマネジメント部門における統合化は可能性が高いと考えられる。その場合、精神保健福祉士に対しても介護支援専門員資格を取得できるように配慮することが求められる。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
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