知的障害者の地域移行を困難にする二次的障害とその対策に関する研究

文献情報

文献番号
200626004A
報告書区分
総括
研究課題名
知的障害者の地域移行を困難にする二次的障害とその対策に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 浩(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,985,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

文献情報

文献番号
200626004B
報告書区分
総合
研究課題名
知的障害者の地域移行を困難にする二次的障害とその対策に関する研究
課題番号
H16-障害-一般-006
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
遠藤 浩(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設 のぞみの園)
研究分担者(所属機関)
  • 網野 豊(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園)
  • 柳田正明(独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園)
  • 加我牧子(国立精神・神経センタ-)
  • 西脇俊二(国立秩父学園)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、知的障害者の地域移行推進の視点から、二次的障害のある知的障害者の実態を明らかにし、福祉・医療の両面にわたる支援の方法と支援体制について提言することである。
研究方法
本研究は、国立のぞみの園、国立精神・神経センタ-、国立秩父学園の三機関の連携協力による研究体制を組んで、実態把握のための全国調査を実施し。地域移行推進の視点から、二次的障害に対応した適切な日常生活支援、地域における医療へのアクセスの改善や健診体制の整備、行動障害のある人に対する地域リハビリテ-ションといった、福祉・医療の両面にわたる支援システムを提示しようとするものである。
結果と考察
柳田班は、二次的障害の実態把握と日常生活支援をパーティション分析により、神経系疾患、精神科疾患、先天奇形・変形、染色体異常(以上ICD-10大項目)、行動障害、脳性マヒ、視覚障害、てんかん(以上ICD-10小項目)、精神機能、神経筋骨格と運動に関する機能(以上ICF心身機能)が地域移行に影響する二次的障害であること、これに関連した日常生活支援に関わるICF項目は、参加の基本的な経済的取り引き、活動のストレスとその他の心理的要求への対処、活動の調理以外の家事、活動の身体を洗う、環境因子の家族、活動の下肢を使って物を動かすこと、参加の調理、参加のコミュニティライフ、活動の飲む、活動の複数課題の遂行、参加の物品とサービスの入手、であるとの結果を得た。
網野班は群馬県の医療アクセスの実態と課題を明らかにし、「医療を考える会」を組織し、検討を重ね、「受診サポートメモリー」や受診可能な医療機関の情報提供という具体的な支援の例としての結果を得た。加我班は、特に地域生活のQOL向上に密接に関係する視聴覚機能の健診体制を担当した。さらに、西脇班は、二次的障害の一つとされる自閉症による行動障害のある人に対する適切な日常生活支援方法の効果の確認を実施した。
結論
知的障害者の地域移行を困難にする二次的障害の実態及び日常支援の実態を把握し、その対策として、知的障害者の地域移行を支援する医療に関わるシステムの構築への取り組み、知的障害者の視聴覚健康診断の有効性及び眼科を例にした外来システムの確立、また、自閉症児者の精神機能障害と行動障害の調査及び必要な支援方法について、実践的モデルを含めた研究成果を示した。これらをエビデンスとし地域移行には医療へアクセスすることへの支援を含め基盤整備を更に充実させることが必要であると提言する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-03
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200626004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
先行研究の希少なICFを活用した調査が行われており、他の調査も実践と並列で編成しているゆえ、学術的な意義を有していると考えられる。
臨床的観点からの成果
視聴覚健康診断及び専門外来等による、知的障害者への地域生活における医療の提供のあり方をモデル提示した。またIBRとCBRの中間点としてアウトリ-チによる問題行動改善の効果を確認した。
ガイドライン等の開発
知的障害者の地域移行を促進するには、移行した地域で安心して生活できる環境が整っていることが前提となる。知的障害者は、知的障害以外の疾病や障害を二次的障害として有している人が少なくない。本ガイドライン・マニュアルは、二次的障害とその対策について、医療と福祉の両面からの視点で、実態把握、具体的な対策を示している。これによって、二次的障害への日常支援、地域の医療的支援の基盤整備に役立て、地域移行を促進することを願うものである。
その他行政的観点からの成果
障害者自立支援法の地域移行促進に寄与する結果をもつものとして行政的意義をもつと考えられる。
その他のインパクト
第54回全国大会日本社会福祉学会において、「知的障害のある人の地域移行支援の現状と課題」との研究テ-マで自主企画シンポジウムを行った。各シンポジストからの報告・提示、そして、それらの検討を通して、本研究テ-マの“地域移行支援”の研究に関する議論を深め、また積み上げることができた。

発表件数

原著論文(和文)
1件
知的障害者の視聴覚健康診断の試み-視覚健診の結果を中心に- 臨床眼科
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
7件
知的障害者の地域移行を困難にする二次的障害とその対策に関する研究  さぽ-と等
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
7件
日本小児神経学会、臨床眼科学会、日本社会福祉学会、日本特殊教育学会等
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
山崎広子、紫玉珠、加我牧子
知的障害者の視聴覚健康診断の試み-視覚健診の結果を中心に-
臨床眼科 , 60 (5) , 743-746  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-