乳癌診療におけるグローバルスタンダードの導入と質的評価検討に関する研究

文献情報

文献番号
200622037A
報告書区分
総括
研究課題名
乳癌診療におけるグローバルスタンダードの導入と質的評価検討に関する研究
課題番号
H18-がん臨床-一般-008
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
中村 清吾(NPO法人日本乳がん情報ネットワーク)
研究分担者(所属機関)
  • 黒井克昌(都立駒込病院 臨床試験科・外科)
  • 大野真司(国立病院九州がんセンター 乳腺科部)
  • 岩田広治(愛知県癌センター 乳腺科部)
  • 秋山太(癌研究会癌研究所 病理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
13,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
標準治療を実践する上で根幹をなす乳癌診療ガイドラインの策定方法、内容、アウトカムの分析手法を日米欧間で比較検討し、世界の標準治療を遅滞なく日本に導入するための支援システムを構築する。
研究方法
米国臨床腫瘍学会ASCOおよびサンアントニオ乳癌シンポジウムなどで発表された最新のエビデンスに基づき、タイムリーにガイドラインを作成することで定評のあるNCCNのガイドライン策定グループと連携し、世界の標準治療を遅滞なく配信するシステムをWEB上に構築する。その際、専門家により日本の実情に照らし合わせて、すぐに臨床応用できない部分や日米の診療ガイドラインとの相違点を抽出する。必要に応じ、インターネットもしくは公開討論会にて意見交換を行う体制を確立する。また、各種ガイドラインの相違点が容易にわかるような比較表をデータベース化して配信すると共に、病気を決定するうえで重要な病理診断基準の比較もデータベース化する。



結果と考察
NCCNがん診療ガイドラインを翻訳し、WEB上で公開した。
また、非浸潤性乳がんに対する診断・治療の、我が国における実態調査を行い、NCCNのガイドラインに照らし合わせ、比較検討を行なった。その際、病理診断に関しては、実際の症例をもとに、診断基準に関する意見交換を行った。さらに、日本の乳癌診療ガイドラインのうち、①検診・診断 ②手術・放射線治療の骨子の部分を英訳し、NCCNに送付し、相違点に関するコメントを求めた。2007年1月13~14日にはNCCNより腫瘍外科医、腫瘍放射線科医、緩和ケア医を招へいし、日米のガイドラインの相違点を明らかにし、その是正に向けた行動計画を立案するためのカンファレンスを行いそれをもとに、(1)相違点(比較表)(2)それぞれの根拠(3)改善すべき点及びその方法について、日米研究者間で討議した。
結論
標準治療を実践する上で根幹をなす乳癌診療ガイドラインの策定方法、内容、世界の標準治療を遅滞なく配信するシステムをWEB上に構築した。人種差や保険制度の違い等による相違点を明確にしつつ、根幹を共有することで、共通の尺度で医療の質を評価し向上させることに寄与した。各地からの医師も参加しての濃密なカンファレンスを行なうことにより、国際レベルでのがん医療の均てん化、地域差是正に貢献したと確信する。

公開日・更新日

公開日
2007-04-25
更新日
-