全国的実態調査に基づいた人工妊娠中絶の減少に向けた包括的研究

文献情報

文献番号
200620039A
報告書区分
総括
研究課題名
全国的実態調査に基づいた人工妊娠中絶の減少に向けた包括的研究
課題番号
H18-子ども-一般-001
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
武谷 雄二(東京大学大学院医学系研究科産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 邦夫(社団法人日本家族計画協会)
  • 中村 好一(自治医科大学公衆衛生学教室)
  • 安達 知子(総合母子保健センター愛育病院産婦人科)
  • 新野 由子(医療経済研究機構研究部)
  • 竹下 俊行(日本医科大学産婦人科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
母体保護法(旧優生保護法)に基づくわが国の人工妊娠中絶の届け出件数は、1955年が1,170,143件とピークであり以降、多少の変動はあるものの、総数は減少の一途を辿っている。2005年度には史上初めて30万件を割り289,127件になっている。その一方、ここ10年間を概観すると、20歳未満についてはわが国の20歳未満の人工妊娠中絶実施件数は01年の46,511件をピークに、02年44,987件、03年度40,475件、04年度34,745件、05年度30,119件とここ4年ほど減少傾向を示しているものの、依然として高率であることは変わらない。しかも、15歳未満の中絶実施件数が308件を数えるなど憂慮すべき状況にある。
研究方法
本研究班では、わが国における人工妊娠中絶の実態を把握するために初年度、①16?49歳の国民男女3千人を対象とした「男女の生活と意識に関する調査」、②母体保護法指定医が所属する日本産科婦人科医会の定点モニターを対象とした中絶手術の実態調査、③「緊急避妊ネットワーク」会員1300人余の産婦人科医に向けた調査を実施した。
結果と考察
その結果、①生殖可能年齢女性の14.2%が中絶を経験しており、そのうちの23.6%が中絶を反復していること。さらには過去一年間に中絶を経験している女性は2.07%に相当している。②589施設より得られた3,888件の人工妊娠中絶症例について分析した結果、5歳階級別人工妊娠中絶実施割合ではわが国の05年度中絶統計とほぼ分布が一致している。③「緊急避妊ネットワーク」会員の72.2%が20歳未満の人工妊娠中絶実施率が減少し、その理由として多くの産婦人科医が低用量経口避妊薬・緊急避妊法の周知と普及を挙げていた。
結論
これら全国規模の調査結果を総合することによって、わが国の中絶の実態を明らかにするとともに、中絶減少の要因についてさらに探ることとしている。さらに、本研究班では、緊急避妊薬の本邦での普及を考慮し、その作用機序についての臨床研究ならびに補助的な基礎研究を企画していること、ならびに、効果的な避妊教育プログラムを開発するために国内外の文献を収集分析した結果、目的を明確にした上で、かつ介入する時期や対象別の枠組みの整理が重要であることが判明した。

公開日・更新日

公開日
2008-03-25
更新日
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