要介護認定における要支援及び要介護1の要介護度の推移の状況とその要因からみた介護予防プログラムの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200619035A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護認定における要支援及び要介護1の要介護度の推移の状況とその要因からみた介護予防プログラムの開発に関する研究
課題番号
H17-長寿-一般-024
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
和泉 京子(大阪府立大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 阿曽 洋子(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
  • 津村 智恵子(甲南女子大学看護リハビリテーションセンター )
  • 上野 昌江(大阪府立大学看護学部)
  • 山本 美輪(明治鍼灸大学看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
要介護認定における要支援者および要介護1者に関する要介護度の推移の状況とその要因を明らかにし、介護予防対策の示唆を得ること。
研究方法
研究デザイン:前向きコホート研究、対象:大阪府下22市町村の要支援認定者5,130人と要介護1認定者5,734人の計10,864人、方法:郵送調査、調査内容:身体的・心理的・社会的項目、期間:平成16・17年度、分析:1年後の要介護度の推移を従属変数とし、平成16年度調査時の各項目について単変量解析より、1年後の要介護度の推移と有意であった項目を独立変数とし、ステップワイズの変数増減法にて多重ロジスティック回帰分析を行った。
結果と考察
平成16、17年度調査のいずれも回答があり、有効回答であった要支援者1,555人、要介護1者1,357人の合計2,912人について分析した。1年後の要介護度の推移の関連要因として、老研式活動能力指標得点の1点あがる毎(要支援者オッズ比0.85,95%CI:0.81-0.88,P=0.000、要介護1者オッズ比0.81, 95%CI:0.76-0.86,P=0.000)、すなわち活動能力があがる毎が要介護度の悪化の負の因子として抽出された。要支援者では、外出頻度の1週間に1回未満(オッズ比1.39, 95%CI:1.01-1.91,P=0.043)、過去1年間の転倒経験あり(オッズ比1.38, 95%CI:1.08-1.76, P=0.010)、うつ傾向(オッズ比1.32, 95%CI:1.01-1.73,P=0.044)が、要介護1者では、歩行の介助(オッズ比1.93,95%CI:1.33-2.81,P=0.001)、排泄の失敗あり(オッズ比1.58, 95%CI:1.08-2.31,P=0.019)が正の因子として関連していた。要支援者と要介護1者では、同じ軽度認定者でも1年後の要介護度の推移の状況もその要因も異なることが明らかになった。
結論
要支援者と要介護1者では、1年後の要介護度の推移の状況もその要因も異なることから、介護予防対策は、軽度認定者をひとまとめに支援するのではなく、各々のに応じて検討する必要性が示唆された。要支援者(現行の要支援1者)に対しては、地域支援事業に含まれる閉じこもり予防・支援、うつ予防・支援に加えて新予防給付の運動器の機能向上事業の転倒予防の強化、要介護1者(現行の要支援2者および要介護1者)に対しては、運動器の機能向上事業の下肢機能の筋力向上の強化、排泄の失敗の予防・支援が介護予防につながると考えられる。平成19年度は、明らかになった要因を基に介護予防事業を実施し評価していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2007-03-13
更新日
-