長寿命型人工関節の臨床応用推進に関する研究

文献情報

文献番号
200615009A
報告書区分
総括
研究課題名
長寿命型人工関節の臨床応用推進に関する研究
課題番号
H17-トランス-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
高取 吉雄(東京大学医学部附属病院整形外科・脊椎外科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学医学部付属病院整形外科・脊椎外科)
  • 川口 浩(東京大学医学部付属病院整形外科・脊椎外科)
  • 茂呂 徹(東京大学大学院医学系研究科)
  • 石原 一彦(東京大学大学院工学系研究科)
  • 塙 隆夫(東京医科歯科大学生体材料工学研究所)
  • 岩崎 泰彦(東京医科歯科大学生体材料工学研究所)
  • 水野 峰男(財団法人ファインセラミックスセンター試験研究所)
  • 橋本 雅美(財団法人ファインセラミックスセンター試験研究所)
  • 瀧川 順庸(大阪府立大学大学院工学研究科)
  • 山脇 昇(日本メディカルマテリアル株式会社)
  • 秋山 治彦(京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 基礎研究成果の臨床応用推進研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
44,893,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人工関節の最大の合併症である弛みの阻止を目指し、生体適合性と潤滑性に優れた2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine (MPC)をナノスケールで表面にグラフトした人工関節摺動面を創製した。本研究では、この技術を臨床の現場に迅速に応用するため、昨年度に引き続き① 長寿命型人工股関節の臨床応用のための検討、② 長寿命型人工膝関節の臨床応用のための検討、③ MPCポリマー処理したポリエチレン表面の生体内安全性の検討、④ 臨床試験データ登録・管理システムの構築、を行った。
研究方法
長寿命型人工股関節の臨床応用のための検討としては、MPC処理の至適濃度を検索した。また、股関節シミュレーターを用い長期の耐摩耗試験を行った。さらに、骨頭種が耐摩耗特性に与える影響を検討した。長寿命型人工膝関節の臨床応用のための検討としては、関節摺動面へのMPC処理方法を確立し、膝関節シミュレーター試験を行った。また、金属表面のMPC処理を検討した。MPC処理したポリエチレン表面の生体内安全性の検討としては、亜慢性毒性試験を行った。臨床試験データ登録・管理システムの構築では、日本整形外科学会インプラント委員会を中心に人工股・膝関節の登録用紙を作成し、システムの試行を開始した。
結果と考察
MPC処理の濃度条件を変え、XPS分析、FT-IR分析、接触角の測定、蛍光染色、TEM観察、摩擦試験等により至適処理濃度を決定した。股関節シミュレーター試験においては、金属あるいはアルミナ骨頭と組み合わせて試験を行い、MPC処理が長期にわたりポリエチレンライナーの摩耗を抑制すること、長期の歩行負荷をかけても処理効果は残存することを明らかにした。
人工膝関節への応用としては、上記の評価方法を用い、ポリエチレンインサート、金属表面へのMPC処理方法を確立した。さらに膝関節シミュレーター試験を行い、人工股関節と同様の摩耗抑制効果がみられることを明らかにした。
MPC処理したポリエチレン表面の生体内安全性については、ISO 10993に準拠して亜慢性毒性試験を行い、安全性を確認した。
データ登録・管理システムの構築については、昨年度作製した登録用紙を用い、日本整形外科学会インプラント委員の属する10施設で登録を行った。
結論
以上の結果は、長寿命型人工関節の臨床応用推進の確信を得るに十分な結果であった。

公開日・更新日

公開日
2007-04-10
更新日
-