新たな手術用ロボット装置の開発に関する研究

文献情報

• 文献番号: 200611002A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: 新たな手術用ロボット装置の開発に関する研究
• 課題番号: H15-フィジ-指定-002
• 研究年度: 平成18(2006)年度
• 研究代表者(所属機関): 垣添 忠生(国立がんセンター)

研究分担者(所属機関)

• 土屋　了介(国立がんセンター中央病院)
• 小林　寿光(国立がんセンターがん予防・検診研究センター)
• 佐久間　一郎(東京大学大学院工学系研究科)
• 伊関　洋(東京女子医科大学先端生命医科学研究所)
• 土肥　健純(東京大学大学院情報理工学系研究科)
• 舘　暲(東京大学大学院情報理工学系研究科)
• 橋爪　誠(九州大学大学院医学研究院災害・救急医学)
• 藤江　正克(早稲田大学理工学術院)
• 石山　和志(東北大学電気通信研究所)
• 雨宮　隆太(茨城県立中央病院・県地域がんセンター)
• 土田　敬明(国立がんセンター中央病院)
• 中馬　広一(国立がんセンター中央病院)
• 木下　貴之(国立がんセンター中央病院)
• 宮北　康二(国立がんセンター中央病院)
• 藤元　博行(国立がんセンター中央病院)
• 女屋　博昭(国立がんセンターがん対策情報センター)
• 松村　保広(国立がんセンター東病院臨床開発センター)
• 猪俣　博(株式会社日立メディコ)
• 大原　健一(ペンタックス株式会社ライフケア事業本部医用機器事業部)
• 堀内　敏彦(株式会社日立製作所機械研究所)
• 渡部　滋(株式会社日立メディコ)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 身体機能解析・補助・代替機器開発研究
• 研究開始年度: 平成15(2003)年度
• 研究終了予定年度: 平成19(2007)年度
• 研究費: 275,798,000円
• 研究者交替、所属機関変更: -

研究報告書（概要版）

研究目的

　手術療法をこれまで以上に低侵襲で効果的、正確で安全にすることを目的に、外科医が直接確認できない領域では、手術中に病変の状態や周囲の解剖学的な構造、リンパ流等の機能を高度に解析して提示することで手術を補助する。外科医の手や手術器具が入りづらい領域に対しては、新たな手術用ロボット装置を開発して手術する。

研究方法

　術中画像補助環境の開発は、高度な画像補助の可能な手術室を実際に導入して、高度な外科療法を開発すると共に広範な外科領域を補助する環境を構築する。手術用ロボット装置は、高機能内視鏡的な新たな概念の装置を開発するが、将来の画像補助環境との統合にも配慮する。

結果と考察

　これまでにＭＲＩとＣＴ、フラットパネルＸ線透視装置を設置した画像補助手術室を、実際に国立がんセンター中央病院の９階手術室フロアに導入した。脳神経外科、整形外科、乳腺外科それぞれに、包括的な臨床試験を作成して臨床応用を開始した。今年度も臨床応用を継続すると共に、画像補助環境の構築のために安全指針や利用規程の作成や、研究者に麻酔医や看護師を含めた組織構築を行った。外科領域の拡大を目的に疾患と画像機器の特徴を生かした、悪性黒色腫の皮膚科的な初期外科治療におけるＭＲＩの効果に関する臨床試験を作成し、倫理審査委員会の許諾をもって臨床応用を開始した。画像補助手術室内における手術と患者移動を高度に補助する、ＭＲＩ・Ｘ線適合型手術台兼患者移送台を開発し、画像補助手術室外でも使用することで、既存の手術室の患者に対しても画像補助環境を提供するシステム開発を開始した。
　新たな手術用ロボット装置は、早期臨床応用に配慮して外径15.8cmの親内視鏡的ユニット内に4本の手術アームを備えた装置を開発し、腹腔内でのドレナージや腔内照射用の低侵襲な経路作成に有効であることを示した。高度な手術を目的とした装置は、外径45mmの親内視鏡的ユニットに精緻な動作を可能とした5本の手術アームを装備した装置を開発して、動物実験（ブタ）で胆嚢切除や肺葉切除を行うことが可能であることを示した。
　各種要素技術の開発と併せて、高度外科技術の開発のみならず標準化をも目標に、今後も開発研究を継続していく。

結論

　画像補助手術環境の構築と手術療法の開発を標準化にも配慮して行った。高機能内視鏡的手術装置は、動作検証にて適切な動作が可能であった。

公開日・更新日

• 公開日: 2007-04-09
• 更新日: -