糖鎖プライマー法を利用した白血病等の発現糖鎖パネル化と発現糖鎖プローブの開発による診断・治療への応用

文献情報

文献番号
200607062A
報告書区分
総括
研究課題名
糖鎖プライマー法を利用した白血病等の発現糖鎖パネル化と発現糖鎖プローブの開発による診断・治療への応用
課題番号
H18-ゲノム-一般-005
研究年度
平成18(2006)年度
研究代表者(所属機関)
藤本 純一郎(国立成育医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 智典(慶應義塾大学 理工学部)
  • 清河 信敬(国立成育医療センター研究所 )
  • 片桐 洋子(国立成育医療センター研究所 )
  • 梅澤 明弘(国立成育医療センター研究所 )
  • 中島 英規(国立成育医療センター研究所 )
  • 齋藤 実(株式会社グライコメディクス)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 ヒトゲノム・再生医療等研究【ヒトゲノム遺伝子治療研究】
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
細胞に発現する糖鎖は、細胞の成熟やがん化により発現パターンが大きく変化することが知られている。本研究では、生物系特定産業技術支援機構のプロジェクトで開発推進され、NEDOのプロジェクトでも糖鎖大量生産技術として採用された「糖鎖プライマー法」を活用して、未分化細胞である組織幹細胞や小児がん細胞などに発現している糖鎖を網羅的に解析してパネル化する。更に大量に生産した糖鎖を抗原として利用し、優秀な糖鎖抗体を樹立する。将来的にこれら糖鎖パネルや糖鎖抗体を診断・治療へ応用することを目指す。
研究方法
本研究では、1)糖鎖プライマー法への適用を目的とした、正常未分化細胞の分化誘導培養系の確立と、培養細胞の糖鎖プライマー法処理条件検討、2)発現糖鎖解析、効率的プロファイリングのための基盤技術の確立、3)各種細胞の発現糖鎖パネル化、4)糖鎖抗体樹立、5)発現糖鎖パネルと糖鎖抗体の細胞規格化への応用、をそれぞれ順次進めていく。本年度は1)と2)を中心に研究を進めた。
使用する細胞及び培養技術として、国立成育医療センター研究所が有している細胞単離・培養技術を用いる。糖鎖プライマー法では、特殊な培養条件が必要なため、それぞれの細胞に対する糖鎖プライマー法に適した培養処理、分化誘導条件を確立する。糖鎖プライマー法で産生した糖鎖は培地より逆相固相カートリッジを使用して抽出した後、糖鎖を高精度に分離するキャピラリー高速液体クロマトグラフィー (Cap LC)と高度な構造解析が高感度に行うことが可能なマススペクトロメトリー (MS) を組み合わせたLC/MSで糖鎖分離・構造解析系を確立する。
結果と考察
平成18年度計画では、白血病細胞株である、未分化大細胞性リンパ腫細胞株、前駆B細胞性リンパ性白血病細胞株、バーキットリンパ腫、前骨髄性白血病細胞の全4種6株において糖鎖プライマー投与条件を決定し、糖鎖の産生を確認した。前骨髄性白血病細胞株では、分化誘導条件で発現糖鎖が変化することを確認した。未分化細胞としてマウス胚性幹細胞 (ES) 及び胚性癌腫細胞 (EC) 4株で糖鎖プライマー処理条件を決定した。その他神経芽腫細胞株3株で産生糖鎖を高速液体クロマトグラフィーと質量分析(LC/MS)で分析し、14種の糖鎖の産生を確認した。
結論
白血病等未分化細胞への糖鎖プライマー投与条件最適化を行った。一部の細胞では、糖鎖プライマー法で産生した糖鎖の糖配列を決定した。今後、順次糖鎖プライマー法で産生した糖鎖の構造決定及び定量を行い、発現糖鎖パネルの充実を図る。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
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