生体の作用点、特に核内受容体及び関連転写因子群に着目した化学物質の毒性発現機構の解明や毒性予測手法の開発を行う研究

文献情報

文献番号
200501168A
報告書区分
総括
研究課題名
生体の作用点、特に核内受容体及び関連転写因子群に着目した化学物質の毒性発現機構の解明や毒性予測手法の開発を行う研究
課題番号
H17-化学-007
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高木 篤也(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究分担者(所属機関)
  • 小野 敦(独立行政法人医薬基盤研究所基盤研究部)
  • 小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所生物試験研究部)
  • 板井 昭子(医薬分子設計研究所)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
内分泌かく乱化学物質(EDCs)問題の解決に向けて厚生労働省「内分泌かく乱化学物質の健康影響に関する検討会、中間報告追補」における「試験スキーム(拡張版)」に沿った大規模スクリーニングを実施すると共に、標的分子である核内受容体について、転写共役因子との相互作用への影響や、その下流に位置する制御の遺伝子の発現への影響を解析し、分子標的作用メカニズムに基づく次世代評価系への応用を目指す。
研究方法
(1)EDCsスクリーニング研究として、ERα、ERβレポーターアッセイ系につき各70物質、AR、TR系につき各50物質の測定を実施した。In silicoスクリーニングはERα及びERβ系評価のため改良・追加再計算と、OECDへの提案を行った。(2)核内受容体作用物質による生体標的分子相互作用への影響の解析と評価手法の開発においては、表面プラズモン共鳴(SPR)解析系の拡張により、化合物特異性の解析と特異的相互作用分子の探索を行った。(3)受容体転写制御関連分子の研究では、標的細胞種を選択し核内受容体及び関連因子の発現プロファイルを定量解析する条件検討を行った。(4)見落としの無い網羅的な核内受容体活性のスクリーニングを目的とした、マイクロアレイ情報と電算検索手法による“Pathway screening” の検討を行った。
結果と考察
レポーターアッセイ系において、ERアゴニスト活性陽性は、ERα7物質、ERβ1物質、ERαβ共通8物質であった。AR系はアゴニスト2物質、アンタゴニスト活性10物質、TR系についてはアゴニスト活性2物質が検出された。In silicoスクリーニング系では、ERα及びERβ活性予測に用いる予測式および計算条件を確定した。SPR系を用い、ERβに特異的な相互作用分子を見出した。核内受容体及び関連因子の発現プロファイルの定量解析が可能となった。“Pathway Screening”研究ではER、AR、TR各リガンド化合物情報による結果が得られた。
結論
EDCsの大規模スクリーニングにより、新規のアゴニスト、アンタゴニス作用を有する物質を同定し、優先順位付けに供する新情報を得るとともに、内分泌かく乱化学物質の分子標的作用メカニズムに基づく次世代評価系の基盤技術を確立した。

公開日・更新日

公開日
2006-06-06
更新日
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