院内感染の防止のための監視体制の整備、細菌検査室の機能向上に関する研究

文献情報

文献番号
200501267A
報告書区分
総括
研究課題名
院内感染の防止のための監視体制の整備、細菌検査室の機能向上に関する研究
課題番号
H15-医療-072
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 惠三(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 哲哉(東京医科大学微生物学講座)
  • 藤本 修平(群馬大学大学院医学研究科生体防御機構講座細菌感染制御学)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所細菌第二部)
  • 一山 智(京都大学大学院医学研究科医学部臨床病態検査学講座)
  • 尾家 重治(山口大学医学部附属病院薬剤部)
  • 賀来 満夫(東北大学大学院医学系研究科医学部病態制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
感染症患者の発生状況や耐性菌の分離状況の把握は院内感染を早期に発見し、適切な対策を実施する上で必要不可欠である。ところが、中小規模病院では細菌検査室が小規模あるいは存在しないところも多く、このような監視体制は実施困難な状況であった。そこで、我々は中小規模病院と検査会社をネットワークシステムで結び、検査会社から送られてきたデ-タを解析できる院内感染監視システムを構築した。平成17年度は実際に本システムを病院内において試験的に導入して、運用にあたっての問題点の抽出を行った。
研究方法
本システムでは検査会社と病院細菌検査室がネットワークで接続されており、検査結果はリアルタイムで検査室内のコンピュ-タ-に転送される。転送された結果はデータベースに蓄積され、院内の感染管理に関わる種々の解析が自動的に得られるようになっている。平成17年度は中小規模病院6施設と検査会社6社の参加協力のもとに4月から本システムを各病院・検査会社間で試験的に導入し、9月8日の会議と2月末のアンケート調査にて、実際に現場で使用した際の意見や感想を収集し、本システムの評価および今後の改善点について検討した。
結果と考察
本システムは、導入した6施設のうち5施設で不定期ではあるが使用されていた。また、院内感染対策委員会用の資料作成には半数の施設が部分的に利用していた。システムの操作性については全ての施設で“使用に堪えうる”あるいは“操作マニュアルを読めば使用できる”との回答を得た。以上の結果から、本システムは実用的なレベルで稼動可能であることが確認できた。また、電子カルテ、看護、薬剤情報など病院システムとの連携ができるようになれば迅速化・省力化のもとにさらに詳細な感染管理が可能になると思われた。
結論
本研究班で平成16年度に開発した中小規模病院・院内感染監視システムを各病院・検査会社間で試験的に導入し、本システムの評価および今後の改善点について検討した。その結果、本システムは実用的なレベルで稼動可能であることが確認できた。さらに、本システムの普及を図るため第21回日本環境感染学会において発表紹介した。中小規模病院における院内感染監視の方法として、検査部をコントロ-ルタワ-とし、検査部・検査会社間で本システムを導入することは、新たな労力負担を強いることなく、リアルタイムで院内感染監視ができるという点で有用であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200501267B
報告書区分
総合
研究課題名
院内感染の防止のための監視体制の整備、細菌検査室の機能向上に関する研究
課題番号
H15-医療-072
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
山口 惠三(東邦大学医学部微生物・感染症学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松本 哲哉(東京医科大学微生物学講座)
  • 藤本 修平(群馬大学大学院医学研究科生体防御機構講座細菌感染制御学)
  • 荒川 宜親(国立感染症研究所第二部)
  • 一山 智(京都大学大学院医学研究科医学部臨床病態検査学講座)
  • 尾家 重治(山口大学医学部附属病院薬剤部)
  • 賀来 満夫(東北大学大学院医学系研究科医学部病態制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
院内感染を早期に発見し、適切な対策を実施するには院内における感染患者の発生状況や耐性菌の分離状況を迅速かつ的確に把握する必要がある。ところが、大規模病院とは異なり200床未満の中小規模病院ではマンパワ-の問題に加えて、細菌検査室が小規模あるいは存在しないことが多く、継続的なサ-ベイランスの実施は困難な状況にある。そこで、我々は中小規模病院と検査会社をネットワ-クシステムで結び、検査会社から送られてきたデータをリアルタイムで細菌検査室において解析できる院内感染監視システムを構築することで検査室を中心とした省力的かつ効率的な院内感染対策を実施できる環境を整え、これまで十分に機能しているとは言い難かった中小規模病院の院内感染対策の向上を目的とした。
研究方法
平成15年度は検査会社向け説明会を開催するとともに、ネットワーク化についての技術面の検討を行った。また、感染監視ソフトの基本開発を行った。平成16年度は本研究班への協力を受諾した検査会社6社との打ち合わせ会議を開催し、さらにそれぞれの検査会社に微生物検査を委託している中小規模病院の中から、本研究班に協力可能な施設を選択し、7月に病院施設を対象とした説明会を開催した。また、感染監視ソフトの開発を引き続き行った。平成17年度は中小規模病院6施設と検査会社6社の参加協力のもとに4月から本システムを各病院・検査会社間で試験的に導入し、評価および今後の改善点について検討した。
結果と考察
平成15年度はネットワ-クシステムと院内感染監視システムのソフトのデ-タフォ-マットに関する検討を行った。平成16年度は検査会社から病院へのネットワ-クを介した検査デ-タの送信試験を行った。感染監視ソフトには特定菌の異常集積を自動的に検出できるシステムや感染症状を有する症例が、一部の病棟に異常に増加していないかを判別してアウトブレイクを迅速に探知するシステムを取り入れた。平成17年度には本システムを試験的に導入し、実用的なレベルで稼動可能であることを確認した。
結論
検査部をコントロールタワーとし、本研究班で開発した中小規模病院・院内感染監視システムを用いて継続的に院内感染監視を行うことは中小規模病院にとって新たな労力負担を必要とせずにリアルタイムで院内感染監視ができるという点で有用であるとともに検査の質および機能向上に繋がるものであると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200501267C