小型動物を用いたエイズワクチン・エイズ薬の予防治療効果評価系の開発

文献情報

文献番号
200500993A
報告書区分
総括
研究課題名
小型動物を用いたエイズワクチン・エイズ薬の予防治療効果評価系の開発
課題番号
H16-創薬-004
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
田中 勇悦(国立大学法人琉球大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 本多三男(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 小柳義夫(京都大学 ウイルス研究所)
  • 伊藤守((財)実験動物中央研究所)
  • 西澤雅子(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 小端哲二(独協大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
エイズ医薬品等の開発においては、動物感染実験系が必要である。ヒト以外の霊長類を用いる実験系は高いコストと動物の供給に難点があり、多数の検体の評価には不向きである。そこでヒトの免疫細胞群を移植した免疫不全マウスである(hu-PBL-SCIDおよびSCID-hu)を用いる評価系を開発改良し、HIV-1感染症克服の目標に寄与することを目的とする
研究方法
hu-PBL-SCIDマウス体内で人の免疫応答を誘導するには培養自家樹状細胞(DC)に抗原を感作して免疫した。不活化HIV-1で感作したDCを免疫する系では、Th1免疫応答ならびに中和抗体の誘導能も検討した。ヒト幹細胞移植SCIDマウスの作製も試みた。新規経口投与可能なアンタゴニストのX4 HIV-1感染阻害効果を試すためにhu-PBL-SCIDマウスにはIL-4を投与した。新規SCIDマウスとして人IL-4産生トランスジェニックSCIDマウスの開発を試みた。さらにHIV-1に対するB細胞免疫応答を促進する方法の可能性をBAFF受容体に求めた。
結果と考察
ヒトTh1免疫応答誘導を可能とする樹状細胞(DC)の分化誘導法として単球のケモカイン受容体を架橋する方法を開発した。このDCを用いることにより、ワクチンのTh1型抗HIV-1免疫誘導能を評価できる。新規経口投与CXCR4アンタゴニストがX4HIV-1の感染を抑制することを確かめるために人IL-4を投与したhu-PBL-SCIDマウスを使ってその効果を実際に証明した。ヒトIL-4を分泌するトランスジェニックSCIDマウスを開発した。このマウスでは、CXCR4アンタゴニスト評価とワクチンの抗HIV-1中和抗体の誘導能評価が可能となると期待している。さらにBAFF受容体架橋法によりワクチンの中和抗体誘導能が高められる可能性がある。一方、感染実験に用いるHIV-1パネルの充実のため種々のHIV-1臨床株の分離を進めている。また、HIV-1感染による神経組織破壊とその抑制の評価を可能とするモデル動物の作製に着手した。
結論
エイズワクチン・エイズ薬のin vivoでの評価を可能にする独自の小型動物実験系として主にhu-PBL-SCIDマウスの実験系の開発を進めてきた。今後、さらなる改良を加えてこの評価系の可能性を高めて行きたい。

公開日・更新日

公開日
2007-03-27
更新日
-