文献情報
文献番号
200500543A
報告書区分
総括
研究課題名
心筋微小血管造影装置の開発による糖尿病性心筋微小循環障害の可視化
課題番号
H16-循環器(生習)-009
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
盛 英三(国立循環器病センター研究所 心臓生理部)
研究分担者(所属機関)
- 越後茂之(国立循環器病センター・臨床栄養(小児科))
- 後藤葉一(国立循環器病センター・心臓血管内科)
- 内藤博昭(国立循環器病センター・放射線科)
- 吉政 康直(国立循環器病センター・動脈硬化代謝内科)
- 竹下 聡(国立循環器病センター・心臓血管内科)
- 福山直人(東海大学)
- 佐藤英一(岩手医科大学教養部物理学科)
- 田口明彦(国立循環器病センター・循環動態機能部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 循環器疾患等総合研究【脳卒中・生活習慣病臨床研究】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
38,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病は末梢冠動脈病変を高頻度に合併し、無症候性心筋虚血や難治性心筋虚血の原因となる。これらの末梢病変が集中する血管床のサイズは既存の冠血管造影の解像度より小さいので臨床評価が困難である。本研究の目標は糖尿病性心筋微小循環障害の臨床評価に向けて病院設置型のャ血管造影法を開発することである。
研究方法
①病院設置型1号機は連続照射が可能で動画撮影ができる。本年度は昨年度に引き続き、循環器病センターに設置した臨床用試作機(病院設置型1号機)を用いて、安全性と有用性を検討するための臨床試験を継続中である。対象は下肢循環障害の症例である。単色度はそれ程高度ではないので、微小血管の検出下限に制限が生じる可能性がある。②プラズマ単射型X線撮影装置はセリウムの蛍光X線(34keV)が主成分の疑似単色X線源であるので、微小血管の検出下限に優れると予想できる。本年度は体厚15センチまでの被写体を単射で撮影できる高線量化を実現した2号試作機が完成したので微小血管検出能の評価等を行った。③回転カリウム陽極連続照射型X線撮影装置は34keVにピークを有する疑似単色線を得て、微小血管中の微量ヨード検出を連続撮影で実現しようというものである。本年度はx線管ターゲットの試作を実施した。④病院設置型装置の到達目標を明らかにするために、放射光微小血管造影装置を用いた動物実験を行った。
結果と考察
平成16-17年度に実施された連続照射型X線造影装置(病院設置型1号機)の臨床試験から、以下の中間報告が得られた。①生命の危険を伴うような副作用、皮膚潰瘍の合併などは認められなかった。②既存の血管造影装置より血管径の小さい血管床の観察を実現できた。③視野の狭いことに基づく使い勝手の改良が必要である。④時間差分機能を付加することで画質の改善のる必要がある。プラズマ単射型X線装置では、摘出臓器を用いて微小血管検出能を検討した。回転セリウム陽極連続照射型X線装置に関してはセリウムと保護膜を陽極に蒸着する技術の改良を行った。④放射光微小血管造影法ではマウスの摘出心で拍動下の冠血管造影で20ミクロン程度の心筋内微小血管まで4,5ミクロンの解像度で定量性を保持しつつ可視化できることが示された。また、血管拡張刺激にともなう心筋内微小血管内径の変化も観察できた。
結論
糖尿病性心筋微小循環障害の臨床評価と再生血管の視覚的評価法となる装置の開発が進行中である。
公開日・更新日
公開日
2006-04-21
更新日
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