骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究

文献情報

文献番号
200500366A
報告書区分
総括
研究課題名
骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 邦夫(大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原佐枝子(放射線影響研究所臨床研究部)
  • 白木正孝(成人病診療研究所)
  • 橋本淳(大阪大学大学院医学研究科)
  • 小林千益(信州大学医学部)
  • 小池達也(大阪市立大学大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
12,350,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、骨粗鬆症にともなう骨折の有効かつ効率の良い予防及び治療法を確立することである。骨粗鬆症にともなう脆弱性骨折の発生頻度とその要因を明らかにするために、疫学的および環境医学的調査を行うとともに、ヒッププロテクターの大腿骨頸部骨折予防効果を検討した。
研究方法
広島コホートではコホート調査集団の追跡調査から、QUS測定値とその後の骨折リスクを調べ、骨密度の骨折リスク予測力と比較した。長野コホートでは、大腿骨頸部骨折発生につき前向き検討を行い、1993年より2005年までに合計32例の新規大腿骨頸部骨折を観察し得た。ヒッププロテクター(HP)は高齢者の大腿骨頸部骨折(HF)予防に有用と考えられるが、評価項目を増やした大規模RCTにてHPの有効性を検討した。
結果と考察
広島では追跡期間中に、大腿骨頸部骨折発生は13人、骨粗鬆症性骨折102人、その他の骨折は、148人であった。大腿骨頸部骨折のリスクは、SOS、SI1標準偏差(SD)低下で、3.5倍になった。長野では本骨折の発生に寄与する独立した危険因子は、年齢、体重、身長、総蛋白、クレアチニン、尿デオキシピリジノリン、および25-OHDであった。プロテクターは3年を経て、600名を越えるRCTの結果を出すことが出来た。エントリー数は2005.3.31の時点で689名(HP:357, C:332)であり、HFは計38件(HP:11, C:27)発生した。Cox 比例ハザードモデルによりHF発生に対して有意であった因子はHP装着・BMI・過去の転倒回数であった。多変量解析では、HP装着によるハザード比は0.45(95%CI 0.21-0.95, P=0.036)であった。
結論
広島の結論として、QUS測定値は、将来の骨折リスクを予測し、その予測力は骨密度と差はなかった。長野では、骨折ハイリスク集団を選別する方法が明らかとなった。HPでは我が国初の大規模RCTでHPが高齢者のHF予防に有効であることを証明した。


公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200500366B
報告書区分
総合
研究課題名
骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の効果的かつ効率的予防に関する臨床的研究
課題番号
H16-痴呆・骨折-014
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
高岡 邦夫(大阪市立大学大学院医学研究科整形外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 藤原佐枝子(放射線影響研究所臨床研究部)
  • 白木正孝(成人病診療研究所)
  • 橋本淳(大阪大学大学院医学研究科器官制御外科学)
  • 小林千益(信州大学医学部整形外科)
  • 小池達也(大阪市立大学大学院医学研究科リウマチ外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究【痴呆・骨折臨床研究(若手医師・協力者活用に要する研究を含む)】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、骨粗鬆症にともなう骨折の有効かつ効率の良い予防及び治療法を確立することである。骨粗鬆症にともなう脆弱性骨折の発生頻度とその要因を明らかにするために、疫学的および環境医学的調査を行うとともに、ヒッププロテクターの大腿骨頸部骨折予防効果を検討した。

研究方法
広島コホートでは大腿骨頸部骨折と関連する因子の抽出を行った。一般住民を対象とするコホート調査から、臀部周囲の脂肪組織量を反映すると考えられる臀部周囲径、脂肪量、体重及びQUS測定値が、大腿骨頸部骨折発生を予知するかを検討した。長野コホートからは、高齢女性の骨折発生に関して前向き研究を行い、その危険因子解析を行うことで、病前の臨床的特徴を骨折部位別に明らかにした。最後に、介入試験としてヒッププロテクター(HP)の評価項目を増やした大規模RCTにて有効性を検討した。
結果と考察
広島での結果から、年齢、性を調整した単変量解析で、大腿骨頸部骨折発生と統計的に有意に関連があったのは、大腿骨頸部骨密度と体重であった。大腿骨頸部骨折のリスクは、SOS、SI1標準偏差(SD)低下で、3.5倍になった。結論として、QUS測定値は、将来の骨折リスクを予測し、その予測力は骨密度と差はなかった。長野からは骨折の発生には低骨密度(骨粗鬆症)、高代謝回転、ビタミンD不足、コラーゲン代謝の異常および脊椎変性の違いがそれぞれの骨折に関与していた。結果的に本骨折の発生に寄与する独立した危険因子は、年齢、体重、身長、総蛋白、クレアチニン、尿デオキシピリジノリン、および25-OHDであった。介入試験では3年を経て、エントリー数は2005.3.31の時点で689名(HP:357, C:332)であり、HFは計38件(HP:11, C:27)発生した。Cox 比例ハザードモデルによりHP装着によるハザード比は0.45(95%CI 0.21-0.95, P=0.036)であった。これまでのRCTに欠けていた評価項目も考慮した我が国初の大規模RCTでHPが高齢者のHF予防に有効であることを証明した。
結論
各集団における危険因子を解析し、最も適した集団に介入することで大腿骨頸部骨折を予防することが出来る。

公開日・更新日

公開日
2006-04-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-10-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500366C

成果

専門的・学術的観点からの成果
大腿骨頸部骨折に関する危険因子を2つのコホート研究から抽出し、骨密度(超音波を含む)・年齢・体重・身長・総蛋白・クレアチニン・尿デオキシピリジノリンおよび25-OHDが浮かび上がり、介入試験にてヒッププロテクターが大腿骨頸部骨折を予防しうることを証明した。
臨床的観点からの成果
海外における危険因子の同定ではなく、我が国独自のコホートからの危険因子であり、臨床に寄与する程度は非常に大きい。また、我が国初の大規模RCTでヒッププロテクター効果を証明した意義は大きい。
ガイドライン等の開発
我々の研究は、広島の一般住民コホート、長野の病院受診者コホート、高齢者施設に居住する高齢女性に対する介入試験の結果であり、これを一般的なガイドライン作製に使用するにはデータが不足している。さらに例数を増やし、観察期間を伸ばせば十分にガイドラインの作成も可能である。
その他行政的観点からの成果
行政レベルで言えば、介入費用を最小限にし、最大限の効果を得ることが必要となる。我々の結果から、危険因子を有する高齢者集団を選別することが可能であり、その集団に対して最も効果的な介入方法を取ることが出来る。薬剤を用いにくい施設在住高齢者に対して、ヒッププロテクターは非常に有効であろう。
その他のインパクト
平成17年度日本骨粗鬆症学会奨励賞および第二回転倒予防医学研究会転倒予防大賞の受賞者が出た。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
公開シンポジウム

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-