健康寿命延長に関する戦略的研究

文献情報

文献番号
200500301A
報告書区分
総括
研究課題名
健康寿命延長に関する戦略的研究
課題番号
H16-長寿-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
本山 昇(国立長寿医療センター・研究所・老年病研究部・早期老化症研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 洋文(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 分子病態・診断部門・教授)
  • 渡辺 研(国立長寿医療センター・研究所・運動器疾患研究部・室長)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
カロリー制限(CR)による健康寿命の延長とゲノムDNA安定化にいたるカスケードを明らかにすることを目的として研究を行った。
研究方法
細胞に過酸化水素処理、グルコース除去培地処理により酸化ストレスを与え、FOXOの局在、転写活性などを免疫染色、免疫沈降法、ウエスタンブロット解析、ルシフェラーゼリポーターアッセイ、定量的RT-PCRなどによって解析した。また、ZNK216ノックアウトマウスを樹立し、坐骨神経切除による筋萎縮モデル実験を行った。
結果と考察
FOXOはH2O2処理やグルコース枯渇培地処理などによる酸化ストレスに応答して速やかに核内に蓄積することを明らかにした。また、酸化ストレスに応答したFOXOの核内移行は、プロテインフォスファターゼPP2Aによる選択的脱リン酸化によって制御させていることを明らかにした。活性酸素(ROS)などの酸化ストレスに応答してFOXOが筋萎縮を誘導することを見出した。また、筋萎縮時にFOXOによって誘導される新規ユビキチン結合因子ZNF216がタンパク質分解系に関わり、筋萎縮過程で重要な働きを担っていることを見いだした。
結論
1.FOXOファミリーは、酸化ストレスに応答してプロテインフォスファターゼPP2Aに部位選択的に脱リン酸化され核内に蓄積し、ターゲット遺伝子の発現制御を行っている。

2.ZNF216が実際にin vivoの筋萎縮時に関与していることが明らかになり、老人性筋肉萎縮症や廃用性筋萎縮の抑制の創薬ターゲットとなる可能性が考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

文献情報

文献番号
200500301B
報告書区分
総合
研究課題名
健康寿命延長に関する戦略的研究
課題番号
H16-長寿-003
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
本山 昇(国立長寿医療センター・研究所・老年病研究部・早期老化症研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 澤 洋文(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 分子病態・診断部門)
  • 渡辺 研(国立長寿医療センター・研究所・運動器疾患研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
カロリー制限(CR)による健康寿命の延長とゲノムDNAの安定化機構の関連を明らかにすることを目的とする。
研究方法
種々の細胞にFOXO、FOXO変異体及びSIRT1、SIRT1変異体を導入し、FOXOの転写活性におけるSIRT1の機能を免疫沈降法、ウエスタンブロット解析、ルシフェラーゼリポーターアッセイなどによって解析した。細胞に過酸化水素処理やグルコース欠乏培地での培養によって酸化ストレスを与え、FOXOの転写活性化を免疫染色、免疫沈降法、ウエスタンブロット解析、定量PCR解析などによって解析した。早期老化症モデルマウス(ATM KO)の骨髄より細胞を調整し分化試験を行った。
結果と考察
酸化ストレスによるFOXO依存的なGADD45の発現誘導においてSIRT1は重要な機能を果たしていることを明らかにした。また、FOXO転写因子は酸化ストレスに応答してB’-PP2Aに脱リン酸化され核に速やかに移行し活性化され、ストレス応答性の遺伝子の発現を制御していることを明らかにした。早期老化症モデルマウスATM KOマウスにおける骨量減少が骨芽細胞系機能低下、とりわけ多分化能を有する骨髄間葉系細胞の増殖不全により引き起こされている可能性を明らかにした。筋萎縮時にFOXOによって誘導される新規ユビキチン結合因子ZNF216がタンパク質分解系に関わり、筋萎縮過程で重要な働きを担っていることを見いだした。
結論
1.SIRT1はNAD依存性脱アセチル化活性を介してFOXOファミリーの転写活性を制御していることが明らかになった。

2.ATMKOマウスは老人性骨粗鬆症様骨病態を呈し、間葉系幹細胞の増殖能低下による組織再生不良がその原因と考えられた。

3.FOXOファミリーは、酸化ストレスに応答してプロテインフォスファターゼPP2Aに部位選択的に脱リン酸化され核内に蓄積し、ターゲット遺伝子の発現制御を行っている。

4.ZNF216が実際にin vivoの筋萎縮時に関与していることが明らかになり、老人性筋肉萎縮症や廃用性筋萎縮の抑制の創薬ターゲットとなる可能性が考えられる。

公開日・更新日

公開日
2006-04-12
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200500301C