文献情報
文献番号
200500273A
報告書区分
総括
研究課題名
要介護状態の予防ならびに介護の質を改善するための方策に関する研究
課題番号
H16-長寿-018
研究年度
平成17(2005)年度
研究代表者(所属機関)
岸 玲子(北海道大学大学院医学研究科 予防医学講座公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
- 笹谷 春美(北海道教育大学札幌校社会学研究室)
- 太田 貞司(神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部)
- 佐藤 直樹((財団法人)北海道高齢者問題研究協会)
- 安田 素次(市立札幌病院付属静療院)
- 中川 仁(医療法人札幌山の上病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究 【長寿科学総合研究分野】
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高齢者の要介護状態の予防および介護の質を改善するため、サポートネットワークの評価は重要である。自治体と病院ベースの調査からその関連要因や適切な社会的サポートのあり方を明らかにし、新しい介護予防戦略の提示を目指す。
研究方法
要介護状態、抑うつ状態、早期死亡、検診受診行動と社会的サポートネットワークの関連を解明するために北海道農村高齢者769名に対する追跡調査データを解析した。北海道3町150名の後期高齢者を対象に認知機能に影響を与える要因に関する前向き疫学調査を開始した。
介護者の負担感や認知症患者の周辺症状BPSDとサポートネットワークの関係を解明するために、精神科認知症外来通院患者と主介護者103名に対して前向き研究を実施した。脳卒中後の在宅復帰を阻害する要因の解明に114名への自記式調査を行なった。
自治体関係者や介護労働者に地域の特質を把握した支援策を提供するために、北海道と神奈川県の4自治体で要介護認定者発生率の地域差を把握するインタビューを、大都市近郊の村でウェンガーのアセスメント票を基にした高齢者ネットワークの類型化を試みた。
介護者の負担感や認知症患者の周辺症状BPSDとサポートネットワークの関係を解明するために、精神科認知症外来通院患者と主介護者103名に対して前向き研究を実施した。脳卒中後の在宅復帰を阻害する要因の解明に114名への自記式調査を行なった。
自治体関係者や介護労働者に地域の特質を把握した支援策を提供するために、北海道と神奈川県の4自治体で要介護認定者発生率の地域差を把握するインタビューを、大都市近郊の村でウェンガーのアセスメント票を基にした高齢者ネットワークの類型化を試みた。
結果と考察
社会的サポートネットワークは、前期高齢者の親しい友人や団体活動参加、後期高齢者の近隣交流や親しい友人、近所づきあいによるSDSの低下、12年の追跡調査期間後半に男性で出現した家族構成の影響や女性の死亡リスクを低めた配偶者と現職を有すること、検診受診行動と関連した。
精神科通院患者主介護者の高負担は、被介護者のADL、介護者の学歴、BPSD項目の「物を隠す、歪んだ解釈」に関連した。 脳卒中患者の退院先は、自立度J・Aランクは自宅退院やグループホーム入居、自立度B2・Cランクは長期療養目的の転院で、在宅生活維持にはデイケアや住宅改修が重要だった。
4自治体へのインタビューでは、北海道で施設利用率が高く神奈川は低いなど地域支援モデル作成のための現状を質的に把握できた。
大都市近郊A村におけるネットワーク類型化では、親族内に限定されたA型とC型が最も多く、対象者の48.5%は新予防給付サービス、地域介護予防事業のターゲットだった。
精神科通院患者主介護者の高負担は、被介護者のADL、介護者の学歴、BPSD項目の「物を隠す、歪んだ解釈」に関連した。 脳卒中患者の退院先は、自立度J・Aランクは自宅退院やグループホーム入居、自立度B2・Cランクは長期療養目的の転院で、在宅生活維持にはデイケアや住宅改修が重要だった。
4自治体へのインタビューでは、北海道で施設利用率が高く神奈川は低いなど地域支援モデル作成のための現状を質的に把握できた。
大都市近郊A村におけるネットワーク類型化では、親族内に限定されたA型とC型が最も多く、対象者の48.5%は新予防給付サービス、地域介護予防事業のターゲットだった。
結論
社会的サポートやネットワークが要介護状態や抑うつ状態のリスクを低減させた。回復期リハビリ病棟を退院し在宅復帰後、転帰の分岐点となる自立度を解明した。認知機能に影響する要因、認知症高齢者のBPSDに影響する要因、要介護認定者の地域差を明らかにした。介護保険制度施行後もインフォーマルなネットワークが中心であることがわかった。
公開日・更新日
公開日
2006-05-15
更新日
-