特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究

文献情報

文献番号
200401324A
報告書区分
総括
研究課題名
特定建築物における屋内化学物質汚染の実態と健康影響との関連に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
嵐谷 奎一(産業医科大学 産業保健学部)
研究分担者(所属機関)
  • 欅田 尚樹(産業医科大学 産業保健学部)
  • 内山 巌雄(京都大学大学院 工学研究科)
  • 加藤 貴彦(宮崎大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 健康科学総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特定建築物は比較的多くの人が利用し、また従業員の生活の場となるため、健康影響防止のためにはまず空気環境の状態を調べることが重要である。本研究は特定建築物として、大学内の図書館、事務室及び病院内の理容室・美容室、百貨店内の売り場(4フロア)・レストラン、パチンコ店、ボーリング場内の空気環境状態と個人曝露濃度及び健康度について調査した。
研究方法
(1)調査対象建築物は教育関係として大学、商業関係として百貨店、興行関係としてパチンコ店、ボーリング場、店舗関係として飲食店、理容・美容室である。
(2)計測した化学物質はすべてこれらの化学物質はパッシブサンプラーを用い、24時間放置して捕集した。揮発性有機化合物(VOCs)はガスクロマトグラフ、アルデヒド類は高速液体クロマトグラフ、NO2は吸光光度法によってそれぞれ測定した。
(3)物理的因子の測定は温・湿度、照度、輻射熱、風速、粉じんである。
(4)健康度意識調査はMillerらの化学物質曝露及び過敏症の質問票を参考にして作成したものを用いた。また、疫学調査は厚生労働省「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」の作成したアンケートを用いて行った。
結果と考察
VOCsは調査箇所ごとに検出した種類や濃度が異なっていた。図書館、事務室のVOCs濃度はいずれも低く、理容室・美容室は酢酸エチル、トルエン、デカンは高く、百貨店は売り場ごとに扱う品物の違いでVOCs濃度に差があり、酢酸エチル、トルエン、デカン、スチレンが比較的高値であった。ボーリング場内はデカン、トリメチルベンゼン、ウンデカンが高値であった。ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドは比較的低い濃度レベルであった。NO2濃度は火力を用いる店舗で高い濃度であり、それ以外の場所は比較的低い濃度レベルであった。物理因子については営業内容で騒音、粉じんが高いレベルが認められた。それ以外の物理因子は比較的低い値であった。総揮発性有機化合物はいずれの箇所とも60ppb以下と暫定目標値より低い濃度レベルであった。仕事に於いては疲労、精神的ストレスを感じる従業員が比較的多いことが認められた。
結論
室内のVOCs濃度は業種により異なり、また室内に用いられる建材の種類の違いで、気中濃度に違いが認められた。NO2は熱源のある業種のみで高値であり、騒音及び粉じんは興業性のある業種で高く、いずれも業種内容に依存している。

公開日・更新日

公開日
2005-05-23
更新日
-