自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究

文献情報

文献番号
200400766A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上田 茂(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 竹島 正(国立精神・神経センター精神保健研究所)
  • 山崎 健太郎(筑波剖検センター)
  • 張 賢徳(帝京大学医学部 溝口病院)
  • 影山 隆之(大分県立看護科学大学 精神看護学)
  • 川上 憲人(岡山大学大学院 医歯学総合研究科衛生学・予防医学分野)
  • 石上 和男(新潟県福祉保健部 健康対策課)
  • 根本 嘉昭(神奈川県立保健福祉大学 社会福祉学科 )
  • 高橋 祥友(防衛医科大学校 防衛医学研究センター)
  • 清水 新二(奈良女子大学 生活環境学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、先行する「自殺と防止対策の実態に関する研究」の成果を引継ぐものであり、3分野の研究を総括することにより、自殺予防対策の推進基盤を明らかにすることを目的とした。
研究方法
本研究では、研究方法を異にする複数の研究により、自殺の実態把握と背景要因の解明、ライフサイクルと対象に応じた自殺予防対策の確立、社会における自殺予防・援助対策のあり方等を検討した。
結果と考察
①自殺の実態把握と背景要因の解明に関する研究では、警察庁「自殺の概要資料」の作成手順などが明らかになり、自殺の実態解明と予防対策のための基礎資料が得られ、また、わが国における心理学的剖検調査の実行可能性と方法論の一端が明らかになった。②ライフサイクルと対象に応じた自殺予防対策の確立に関する研究では、小中高等学校における自殺予防教育の実践例などが明らかになった。成人期の自殺予防対策の立案に向けては、気分・不安障害のスクリーニング調査票(K6/K10)の有用性などが示された。老年期の自殺予防対策においては、生きがい・社会参加対策の有用性が明らかになった。③社会における自殺予防・援助対策のあり方に関する研究では、相談援助体制における課題がいくつか抽出され、また、長期的視点に立った自殺予防対策が必要であることが示唆された。そして、自死遺族サポートグループが共通して直面している4つの必要課題が明らかになった。研究協力報告からは、「行政担当者のための自殺予防マニュアル」をコンパクトに整理し、具体的な手順を記すなど、より実践的なものにする必要性が示された。自殺予防対策ホームページには、普及啓発、行政が行う自殺予防対策への支援など、幅広い期待と関心が寄せられていた。
結論
本研究によって、エビデンスに基づく自殺予防対策および自殺予防学の構築が可能になると期待されるが、初年度である16年度はその端緒となる知見が数多く得られた。学術的には、警察や監察医務院のデータ活用を含めて、自殺の実態把握について多様な観点からアプローチしたこと、またこれまでわが国で知見が乏しかった自殺の心理学的剖検の実行可能性および方法論の検討がなされた点において、本研究は意義が大きい。また行政的にも、ライフサイクル等に応じた自殺予防対策、自殺予防のための危機介入機関のあり方等を検討する上で重要な示唆に富んでおり、種々の施策に直結するものであると考える。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-