変形性膝関節症の生活機能維持・再建に関する研究

文献情報

文献番号
200400719A
報告書区分
総括
研究課題名
変形性膝関節症の生活機能維持・再建に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
守屋 秀繁(千葉大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学医学部整形外科・脊椎外科)
  • 西田圭一郎(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 牛田多加志(東京大学大学院医学系研究科)
  • 池平 博夫(放射線医学総合研究所分子情報研究室)
  • 松本 秀男(慶應義塾大学医学部整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
39,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における変形性膝関節症(以下膝OA)を統括的に研究し、高齢化社会における医療経済上の損失を最小限にくい止め、国民福祉の向上を目指す。
研究方法
1)原因究明①遺伝分子生物学的素因の解明…関節不安定性誘発マウスOAモデルの関節軟骨で初期にCOL10陽性の病的肥大軟骨細胞の出現と、MMP-13の発現による軟骨基質の分解が見られたことより、それらの上流転写因子であるRunx2のヘテロ欠損マウス(Runx2+/-)にOA誘発モデルを作製した。②メカニカルストレスと一酸化窒素(NO)との関連の解明…ラット軟骨細胞のメカニカルストレスおよび低酸素ストレスに対する遺伝子発現の変化と、rhIL-4投与の効果を検討した。③バイオメカニクス的要因の解明…三次元動作解析装置を用いて、膝OA患者の日常生活動作中の膝関節負荷を計測した。2)早期診断法の確立…MRIを用いて、組織内成分分析法による関節軟骨の病期診断の臨床実用化をめざす。3)治療法の確立①軟骨欠損に対する再生医学…長期静水圧負荷軟骨細胞培養システムを構築し、間欠的静水圧の周波数変化が軟骨細胞の分化機能に及ぼす効果について調べた。②機能再建術に関する研究…鏡視下後内側解離術(PMR)の適応に関して、MRI画像学的に検討した。
結果と考察
1)①Runx2+/-では軟骨破壊の程度が野生型より軽度であった。Runx2の機能不全はOAにおける関節軟骨の病的肥大化のみならず、軟骨基質の分解をも著明に抑制した。②rhIL-4は、メカニカルストレスによって発現が亢進するiNOSなどの遺伝子群の発現を抑制し、rhIL-4の関節内投与はラット膝実験的OAにおける軟骨破壊を抑制した。③患者では動作中の屈曲角度や大腿四頭筋力の低下、内反変形の増大が見られた。また足底板の有用性が示された。2) 造影前のR1 (=1/T1) 値と造影後のR1値の差から、軟骨組織中の造影剤濃度を求める方法より、関節軟骨中のグリコサミノグリカン濃度を非侵襲的に評価できた。3)①ガス平衡下に軟骨組織に対し間欠的静水圧を負荷しつつ長期培養することが実現した。5MPa, 1/2Hzの静水圧負荷が効果的である。②MRIプロトン強調矢状断像を用いた大腿骨内側顆の軟骨下骨の輪郭の不整度の評価がPMRの術後の長期成績予測に有用である。
結論
膝OAによる日常生活動作障害の根絶につながる研究成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400719B
報告書区分
総合
研究課題名
変形性膝関節症の生活機能維持・再建に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
守屋 秀繁(千葉大学大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 耕三(東京大学医学部整形外科・脊椎外科)
  • 西田圭一郎(岡山大学大学院医歯学総合研究科)
  • 牛田多加志(東京大学大学院医学系研究科)
  • 池平 博夫(放射線医学総合研究所分子情報研究室)
  • 松本 秀男(慶應義塾大学医学部整形外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における変形性膝関節症(以下膝OA)を統括的に研究し、高齢化社会における医療経済上の損失を最小限にくい止め、国民福祉の向上を目指す。
研究方法
1)原因究明①遺伝分子学的素因の解明…関節不安定性を利用したマウスOAモデルの確立を目指した。また、そのモデルを用いて、OA候補遺伝子の遺伝子改変マウスに応用することによって、OAの発症における各遺伝子の関与を検討した。②メカニカルストレスと一酸化窒素(NO)との関連の解明…メカニカルストレスおよび低酸素ストレス下での軟骨組織での遺伝子発現の変化と、rhIL-4投与の効果をin vitroおよびin vivoで検討した。③バイオメカニクス的要因の解明…三次元動作解析装置を用いて、膝OA患者の日常生活動作中の膝関節負荷を計測した。2)早期診断法の確立…MRIを用いて、組織内成分分析法による関節軟骨の病期診断の臨床実用化を図る。3)治療法の確立①軟骨欠損に対する再生医学…静水圧刺激に対する関節軟骨細胞の応答に関与するシグナルを探り、長期静水圧負荷培養システムの構築を目指した。②機能再建術に関する研究…鏡視下後内側解離術(PMR)の長期的効果、適応の検討をおこなった。
結果と考察
①膝関節の靱帯と半月板の切除の組み合わせによる4つのタイプのマウス膝OA誘発モデルの作製に成功し、Runx2が軟骨破壊に、cystatin 10が骨棘形成にとって重要なシグナル分子であることが示された。②メカニカルストレスによりiNOS、MMP-1、-13、Cathepsin B、 D遺伝子群の発現は亢進し、rhIL-4により抑制された。rhIL-4の関節内投与はラット膝実験的OAにおける軟骨破壊を抑制した。③OA患者では動作中の屈曲角度や大腿四頭筋力の低下、内反変形の増大が見られた。また足底装具の有用性が示された。2)造影前と造影後のR1値 (=1/T1) の差から、関節軟骨中のグリコサミノグリカン濃度を非侵襲的に評価できた。3)①静水圧による軟骨細胞の再分化の過程にはERK signalおよび細胞内外のCa2+濃度変化が関与していた。静水圧負荷下での長期の軟骨細胞培養システムを確立した。②PMR は比較的長期にわたり術後成績が良好であり、臨床症状評価、X線学的評価、MRIを用いた評価にて、PMRの適応をより確立した。
結論
膝OAによる日常生活動作障害の根絶につながる研究成果が得られた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-