障害者本人支援の在り方と地域生活支援システムに関する研究

文献情報

文献番号
200400564A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者本人支援の在り方と地域生活支援システムに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
河東田 博(立教大学コミュニティ福祉学部)
研究分担者(所属機関)
  • 新保 穏子(立教女学院短期大学幼児教育科)
  • 孫 良(大阪人間科学大学人間科学部)
  • 遠藤美貴(立教大学地域移行研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 障害保健福祉総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
障害者本人が入所施設からグループホーム等の地域の住まいへ移行する際、本人にどのような説明をし、どのようなスキルを身につけてもらったらよいのか、また、移行後の地域生活を充実させるためにどのような支援システムを用意し、それをいかに構築していくことができるのかを明らかにすること。
研究方法
先行研究を基に新たなアンケート用紙を作成し、2004年2月から3月にかけ、全国の知的障害者施設2036施設を対象に、郵送によるアンケート調査を実施した。
施設A、施設Cにおいて、2003年7月から2004年2月にかけ、面接調査が行われた。調査は、①入所施設での居住経験がある地域生活者20人、②その家族10人、③関わりのあった職員10人を対象に、インタビューガイド(個別情報、地域の住まいへの移行プロセス、居住状況、日中活動、余暇活動、会議への参加、対人関係、自己理解・自己決定、地域生活支援システムなどの質問項目を盛り込んだもの)に沿って、一人ずつ面接形式で行われた。
結果と考察
毎年度地域に移行していっている人たちは、入所施設利用者の2.5%にしか過ぎないことが判明した。移行先は半数近くがグループホームで、地域移行を促進するために国が制度化した自活訓練事業はあまり有効に機能していなかった。地域移行の際、本人たちが決定プロセスにほとんど関わっていなかった。地域居住者をバックアップしているのは同法人の入所施設が多く、施設時代の職員対利用者の関係が温存されている可能性が見られた。地域住民とのかかわりも希薄だった。日中活動も余暇活動も様々な展開が見られたが、総じて不十分であった。地域生活の拠点としてのグループホームでは、一人ひとりのニーズになかなか応えられていない実態が浮かび上がってきた。
結論
現在行われている地域移行、本人支援、地域生活支援ネットワーク構築の取り組みには多くの問題と課題が見出されてきており、障害を持つ人が自由に自分の住む場所が選べ、またホームヘルプなどの個別支援を受けることができるように現行制度を見直していく必要がある。また、地域で質の高い自分らしい生活が送れるように本人支援、地域生活支援ネットワーク構築と連動させながら地域移行の取り組みを進めていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-