その他、がんに対する標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400482A
報告書区分
総括
研究課題名
その他、がんに対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 正博(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 文生(大阪府立成人病センター 呼吸器内科)
  • 大江 裕一郎(国立がんセンター中央病院 呼吸器内科)
  • 加藤 治文(東京医科大学 外科学第一講座)
  • 河原 正明(独立行政法人近畿中央胸部疾患センター 内科)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 杉浦 孝彦(愛知県立がんセンター)
  • 根来 俊一(兵庫県立成人病センター 呼吸器内科)
  • 西村 恭昌(近畿大学医学部 放射線医学教室)
  • 西脇 裕(国立がんセンター東病院)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 野田 和正(神奈川県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 早川 和重(北里大学医学部 放射線科学)
  • 松井 薫(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 森 清志(栃木県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 山本 信之(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院 内科)
  • 渡辺 古志郎(横浜市立市民病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺癌の死亡数は年間55,000人以上でその治療成績は極めて不良である。その中で切除不能Ⅲ期の非小細胞肺癌(NSCLC)が約30%を占めるが、その標準治療は化学療法と胸部放射線治療(TRT)の併用で5年生存率は15%程度である。最近、NSCLCに有効性な分子標的薬として上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤のゲフィチニブが開発され、標準的治療への導入が期待されている。本研究では、切除不能Ⅲ期NSCLCの治療成績向上を目的とし、化学療法とTRTにゲフィチニブを組み込んだ新しい治療法の効果と安全性を検討することとした。
研究方法
16年度は、化学療法後にゲフィチニブとTRTの併用を行う方法の認容性試験を実施開始した。対象は切除不能Ⅲ期NSCLCでPS 0,1、20歳以上70歳以下とし、シスプラチン80mg/m2 Day 1、ビノレルビン25mg/m2 Day 1、8を3週間隔で2サイクル投与、43日目よりゲフィチニブ250mg/dayを2週間内服し、肺障害のないことを確認してからTRT 2Gyを週5日で6週間(総量 60 Gy)併用する。この試験の主要評価項目は、治療を完遂できた割合とし、期待値を90%、閾値を55%、α=0.1、β=0.2、必要症例数を37例とした。この試験が終了した後、シスプラチンとビノレルビン併用化学療法後にゲフィチニブとTRTを併用する新しい試験治療法とシスプラチンとビノレルビン併用化学療法にTRTを同時併用する標準治療群の無作為化第Ⅲ相試験を実施する。
結果と考察
本研究は、JCOGのプロトコール審査委員会の承認を得(JCOG0402)、平成16年8月より開始した。現在まで5例が治療されているが重篤な副作用は見られていない。その後、ゲフィチニブが腺癌、非喫煙者、女性、東洋人に有効性が高いことが示され、扁平上皮癌、重喫煙者を対象から除くなど選択基準を変更した。平成18年度には第Ⅲ相試験が開始できるもと考えている。最近では腫瘍組織のEGFR変異が有効性の予測に有用であることが示され本研究でも検討する予定である。
結論
本試験(JCOG0402)は未だ5例が治療されているのみであるが、現在のところ重篤な副作用は見られておらず、実施可能な治療法と思われる。前臨床試験においてEGFR阻害剤と放射線治療の強い相乗効果が認められており、ゲフィチニブとTRTを併用する治療法は切除不能Ⅲ期NSCLCに有効な新しい治療法となることを期待している。

公開日・更新日

公開日
2005-08-26
更新日
-

文献情報

文献番号
200400482B
報告書区分
総合
研究課題名
その他、がんに対する標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福岡 正博(近畿大学医学部 内科学腫瘍内科部門)
研究分担者(所属機関)
  • 今村 文生(大阪府立成人病センター 呼吸器内科)
  • 大江 裕一郎(国立がんセンター中央病院 呼吸器内科)
  • 加藤 治文(東京医科大学 外科学第一講座)
  • 河原 正明(独立行政法人近畿中央胸部疾患センター 内科)
  • 西條 長宏(国立がんセンター東病院)
  • 杉浦 孝彦(愛知県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 根来 俊一(兵庫県立成人病センター 呼吸器科)
  • 西村 恭昌(近畿大学医学部 放射線医学教室)
  • 西脇 裕(国立がんセンター東病院 呼吸器内科)
  • 武田 晃司(大阪市立総合医療センター 臨床腫瘍科)
  • 野田 和正(神奈川県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 早川 和重(北里大学医学部 放射線科学)
  • 松井 薫(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
  • 森 清志(栃木県立がんセンター 呼吸器内科)
  • 山本 信之(静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科)
  • 横山 晶(新潟県立がんセンター新潟病院 内科)
  • 渡辺 古志郎(横浜市立市民病院 呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 がん臨床研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肺癌の死亡数は年間55,000人以上でその治療成績は極めて不良である。その中で切除不能Ⅲ期の非小細胞肺癌(NSCLC)が約30%を占めるが、その標準治療は化学療法と胸部放射線治療(TRT)の併用で5年生存率は15%程度である。本研究では、切除不能Ⅲ期NSCLCの治療成績向上を目的とし、標準的治療である化学療法とTRT併用療法上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤のゲフィチニブを組み込んだ新しい治療法の有用性を検討することとした。
研究方法
まず、ゲフィチニブとTRTの併用療法の認容性試験(試験1)と化学療法後にゲフィチニブとTRTを併用する試験(試験2)を実施することにした。対象は両試験とも切除不能Ⅲ期NSCLCで試験2では扁平上皮がんを除いた。治療法は試験1ではゲフィチニブ250mg1日1回を2週間投与し肺障害のないことを確認後にTRT1日1回2Gy、合計60Gy照射する。試験2ではシスプラチン80mg/m2 Day 1、ビノレルビン25mg/m2 Day 1、8を3週間隔で2サイクル投与、43日目よりゲフィチニブ250mg/dayを2週間内服してからTRT 2Gyを週5日、6週間併用する。試験の主要評価項目は、治療を完遂できた割合とした。症例数は試験1では28例、試験2で37例とした。試験2が終了した後、試験2の治療法とシスプラチンとビノレルビンにTRTを同時併用する標準治療との無作為化第Ⅲ相試験を実施する。
結果と考察
本研究ではゲフィチニブと放射線治療の併用により肺障害が高頻度に出現する可能性が危惧されたために慎重な研究計画となった。試験1では7例が適格例で6例が治療を完遂し、5例にPRが得られた。試験2はJCOGのプロトコール審査委員会の承認を得(JCOG0402)、平成16年8月より開始した。現在まで5例が治療されているが重篤な副作用は見られていない。その後、ゲフィチニブが腺癌、非喫煙者、女性、東洋人に有効性が高いことが示され、重喫煙者を対象から除くなど選択基準を変更した。平成18年度には第Ⅲ相試験が開始できると考えている。
結論
本研究では試験2(JCOG0402)は未だ5例が治療されているのみで、効果は明確でないが、現在のところ重篤な副作用は見られておらず、実施可能な治療法と思われる。試験2の結果をみて第Ⅲ相試験に進む予定であるが、ゲフィチニブを導入した治療法が切除不能Ⅲ期NSCLCに有効な新しい治療法となるとことを期待している。

公開日・更新日

公開日
2005-08-26
更新日
-