寝たきりの主要因に対する縦断介入研究を基礎にした介護予防ガイドライン策定研究

文献情報

文献番号
200400347A
報告書区分
総括
研究課題名
寝たきりの主要因に対する縦断介入研究を基礎にした介護予防ガイドライン策定研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鳥羽 研二(杏林大学医学部高齢医学教室)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学医学部・公衆衛生学)
  • 松林 公蔵(京都大学東南アジアセンター)
  • 高橋 泰(国際医療福祉大学・医療福祉学部・医療経理管理学)
  • 西永 正典(高知大学医学部老年病・循環器・神経内科学・老年医学)
  • 秋下 雅弘(杏林大学医学部高齢医学教室)
  • 桜井 孝(神戸大学医学部・老年内科学)
  • 山田 思鶴(老人保健施設まほろばの郷)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 痴呆・骨折臨床研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
31,672,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
寝たきり高齢者が100万人を越え大きな国民的課題であるが、脳卒中や骨折などの後、そのまま寝たきりになるのは3分の1に過ぎず、残りは寝たきりの直接間接の原因や寝たきりになっていく過程が不明なままである。 本研究では機能低下プロセスの解明と、これに立脚した医療福祉政策として実現可能な有効性のある介護予防のガイドラインの策定を目的とする。
研究方法
1)転倒予防の効果的な方策
在宅高齢者1300名に対し転倒ハイリスク者発見のための問診表(転倒スコア)を調査。
2)在宅維持要素の解明
対象:大三島町、相良村高齢者3097名に5年間の追跡調査を行い在宅の維持条件を検討
3)小規模介護施設の寝たきり予防に関する研究
全国15グループホーム入居者136名に認知機能、周辺症状、日常生活動作を縦断的に調査。一部は運動強化を行い介護予防効果を検定。
4)早期の介護予防プログラム策定に関する研究
継続的に運動をしている全国24都道府県のシステム三井島体操会員6000名に活力度36項目を縦断的に調査
結果と考察
1)過去の転倒リスクを用い、介護予防健診に資する7項目の「転倒スコア」(つまずく、めまい、家の中に障害物がある、タオルがきつく絞れない、杖を使っている、膝が痛む、横断歩道の青のうちの歩行)を開発し、70%以上の感度、特異度を有する有用性を確認。
2)家族が同居していなければ在宅維持可能率は2/3未満に低下、女性は男性より1.5倍在宅に済み続けられ、機能面では、移動能力や認知機能が維持されていることが、2倍以上在宅維持を可能。 自治体間の較差も最大で1.7倍。
3)グループホームのADL低下が6ヶ月まで縦断的に確認され、新しい小規模多機能施設における課題(運動療法の導入の必要性)が解明され、運動介入がグループホームの介護予防に効果的であることが明らかになった。 
4)大規模縦断研究1年面の成績で、運動による活力度(IADL、交流、運動機能、健康意識、うつ)の向上が認められた。
結論
介護予防対象者の選定は、ADL特に移動能力を評価し、移動介助者は従来の介護保険給付とする。
総合的機能評価を踏まえた健康長寿計画:寝たきり危険因子チェック表を、老人健診問診表に加える(転倒、物忘れ、意欲)ことは医療費削減に有効。
マシンを用いない均整柔軟体操の継続は活力度維持に極めて有効である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-