健康寿命および ADL,QOL低下に影響を与える要因の分析と健康寿命危険度評価テーブル作成に関する研究:NIPPON DATA80・90の19年、10年の追跡調査より

文献情報

文献番号
200400310A
報告書区分
総括
研究課題名
健康寿命および ADL,QOL低下に影響を与える要因の分析と健康寿命危険度評価テーブル作成に関する研究:NIPPON DATA80・90の19年、10年の追跡調査より
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上島 弘嗣(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 明(国立循環器病センター 循環器病予防検診部)
  • 岡村 智教(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
  • 早川 岳人(国立大学法人 島根大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 児玉 和紀(財団法人 放射線影響研究所 疫学部)
  • 笠置 文善(財団法人 放射線影響研究所 疫学部)
  • 斎藤 重幸(国立大学法人 札幌医科大学医学部 内科学第二講座)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部 衛生学公衆衛生学講座)
  • 簑輪 眞澄(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 堀部 博(恵泉クリニック)
  • 中村 好一(自治医科大学 保健科学講座公衆衛生学部門)
  • 谷原 真一(国立大学法人 島根大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 喜多 義邦(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,066,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NIPPON DATA80・90は、それぞれ全国の約300地区から無作為抽出された厚生労働省の第3次(1980年)、第4次(1990年)の循環器疾患基礎調査対象者 1万人及び8,000人の追跡調査である。本研究はNIPPON DATAの追跡結果に基づいて、全国民で普遍的に利用可能な健康寿命危険度評価テーブルを作成することを目的とした。
研究方法
危険度評価テーブル作成の根拠となる検査所見について解析を進め、危険度評価テーブルの根拠を明らかにした。循環器疾患の主要危険因子のうち、血圧(J Hum Hypertens 2003)、コレステロール(J Intern Med 2003)、耐糖能(厚生の指標2004)については既に公表済みであり、今年度は喫煙、ADLについて解析を進め、最終的にpeer-review journalに掲載された危険因子でテーブルを作成した。死亡の場合、Cox比例ハザ-ドモデルを用いて、集団の危険因子の平均 と対象者の危険因子レベルの差を求め、基準ハザ-ドに対応する生存確率の変化量を推定した。また集団全体のADL低下者数の将来推計が可能なテーブルも作成した。
結果と考察
循環器疾患既往歴のない8,929人を分析対象とし、喫煙のリスクを血圧、BMI、血清総コレステロール値、飲酒習慣、糖尿病既往歴を調整して算出した。男性では、非喫煙者に比し、毎日2箱以上の喫煙者で循環器疾患死亡の確率が高く、脳梗塞3.3倍、全脳卒中2.2倍、心筋梗塞4.3倍と有意に高かった。女性でも全脳卒中で3.9倍であった。毎日1箱の喫煙でも、男性では脳梗塞3.0倍、全循環器疾患1.5倍と有意に死亡率が高かった(Stroke 2004)。65歳以上の対象者で5年間のADLの推移をみた。当初自立で5年後も自立の割合は男性で71.1%、女性で76.7%、自立からADL低下に移行した者は男性で8.1%、女性で13.2%であった。またADL低下から自立への回復率は約20%であった(厚生の指標 2004)。これらの結果を元に危険度評価、要介護者数予測テーブルを作成した。
結論
NIPPON DATAは地域的な偏りがなく、人口ベースで70%以上の高い参加率を示し、すべての対象者が血圧や総コレステロールなどの検査所見を実測値で持っており、この日本人を代表する集団で広く利用可能な健康危険度テーブルを作成することができた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400310B
報告書区分
総合
研究課題名
健康寿命および ADL,QOL低下に影響を与える要因の分析と健康寿命危険度評価テーブル作成に関する研究:NIPPON DATA80・90の19年、10年の追跡調査より
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
上島 弘嗣(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 明(国立循環器病センター 循環器病予防検診部)
  • 岡村 智教(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
  • 早川 岳人(国立大学法人 島根大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 児玉 和紀(財団法人 放射線影響研究所 疫学部)
  • 笠置 文善(財団法人 放射線影響研究所 疫学部)
  • 斎藤 重幸(国立大学法人 札幌医科大学医学部 内科学第二講座)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部 衛生学公衆衛生学講座講座)
  • 簑輪 眞澄(国立保健医療科学院 疫学部)
  • 堀部 博(恵泉クリニック)
  • 中村 好一(自治医科大学 保健科学講座公衆衛生学部門)
  • 谷原 真一(国立大学法人 島根大学医学部 公衆衛生学講座)
  • 喜多 義邦(国立大学法人 滋賀医科大学 福祉保健医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
NIPPON DATA80・90は、それぞれ全国約300地区から無作為抽出された厚生労働省第3次(1980年)、第4次(1990年)循環器疾患基礎調査対象者 1万人及び8,000人の追跡調査である。本研究はNIPPON DATAの追跡結果に基づいて、国民が一般健診の場などで利用できる健康寿命危険度評価テーブルを作成することを目的とした
研究方法
各危険因子と死因別死亡の関連をCox比例ハザ-ドモデルで解析した。危険因子が平均x1の時間tにおける生存率を求めれば、それをexp(β(x2-x1)に乗じた形で危険因子がx2の場合の生存確率S(t:x2)が推定され、死亡確率は1-S(t:x2)となる。回帰係数β及び基準ハザ-ドに対応する生存率は、統計ソフトSASを用いた。また65歳以上を対象としてADL等の調査を実施し、理論的には健康寿命のリスクテーブル作成が可能であるが、1)イベント発生時点が不明のためCoxモデルを使用できない、2)基礎調査時に測定されていないため観察期間が短く統計学的検出力が弱いという問題があり、本研究では集団全体のADL低下者数の将来推計テーブルを作成した
結果と考察
各危険因子のあらゆる組み合わせで10年以内の死亡率が計算され、算出した死亡率に応じて危険度評価テーブルを作成した。例えば、男性の10年以内の冠動脈疾患死亡確率は、0.5?10%以上までの6区分に色分けされ、個人の危険因子レベルに応じて冠動脈疾患死亡率が一目でわかるようにした。年齢65歳、喫煙者、最大血圧170mmHg、コレステロ-ル210mg/dl、随時血糖160mg/dlの場合、10年以内に5?10%の確率で冠動脈疾患死亡がおこると推測される。ADLについては、当初自立で5年後も自立の割合は男性71.1%、女性76.7%、自立からADL低下に移行した者は男性8.1%、女性13.2%であった。さらに死亡率やADL低下から自立への回復率(約20%)なども考慮し、性年齢別の発症係数を算出し、5年後のADL低下(要介護)者数を予測するテーブルを作成した
結論
疾患死亡に対する健康度評価テーブルを実際の保健指導や外来診療の場で利用するには、コンピュ-タ上での視覚的な表示が必要であり、今回、本研究班ではマンツ-マンで保健指導に供するシステムも作成した。生活習慣の改善や予防対策を講ずる際の個人への動機付けにこのテーブルは有用である

公開日・更新日

公開日
2005-04-11
更新日
-